【インタビュー】

モントリオールで上演された「IN BETWEEN」
出演の大野慶人さん


〈インタビュア・Nico/ココ・モントリオール誌 〉


「舞踏」の創始者・故大野一雄氏を父に持ち、自らも第一線で活躍中の大野慶人(おおの・よしと)氏が、カナダを代表するダンサーLucie GREGOIREさんと共演。「IN BETWEEN」は、2011年11月にモントリオールのAGORA劇場で上演された。


▲「舞踏」について語る大野慶人さん(撮影・森田武志)


▲表情豊かに語る(撮影・森田武志)

Lucieさんと共演のきっかけは?
横浜の稽古場には世界中から訪問者が相次いでいますが、その中で、Lucie Gregoire さんはカナダの音楽を聴かせてくれました。
人間の愛や命の大切さをどう伝えるかを模索するのが舞踏ですが、モダンダンサーの Lucie さんと共演することで、舞踏という分野を超えて普遍的なものに近づく作業ができると思いました。

「祈り」という言葉が出ましたが?
今回の公演に、うさぎが祈りを捧げるシーンがあります。これは、「大洪水の後の荒れ地でウサギが祈りを捧げた」というランボーの詩の一節から作っています。
2011年3月の東日本大震災という出来事を経験した日本で、自分にできることは祈ることだと思いました。
津波という大きな「動」に対して、「静」なる祈りこそが、時を運ぶ風になってくれると感じます。

悲しみの場面もあればユーモアあふれる踊りもありますね。
まだまだ未熟ではありますが、悲しみの中で笑うことを忘れている人に笑っていただくのはうれしいです。
亡き父が申していたように、大切な「命」とは、すなわち「痛み」と「愛」から成っています。ユーモアはその「命」への愛にほかなりません。

御歳(おんとし)73歳。これからの夢は?
舞踏の創始者である亡き父との共演23年。これまでもこれからも、世界中の方々と共演します。近所の幼稚園のサンタクロースにもなる予定です(笑)。 2010年に父が亡くなってから初めて、自分がもう高齢だということに気づきました。自分が教わってきた技術はもちろんのこと、「舞踏」の心がけ、命を大切に愛して育むということを、これからも多くの方に伝えていきたいです。

【インタビューを終えて】
すっと伸びた背筋はそのまま、天と地をつなぐ絹糸。大野さんの真摯(しんし)な思いが天に通じて、世界中に美しい絹織物がますます広がっていきますように・・・。

(2012年2月16日号)

 
 


 
 
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