【トロント・ジャズフェス】

世界にはばたくソロギタリスト
山木将平さんにインタビュー


〈 インタビュア:デムスキー恵美 〉

2010年度、サッポロ・シティジャズのコンテストで優勝して以来、「山木将平の世界」は大きく動き出した。今年1月にリリースされた待望のデビューアルバム「North Wind」の評判も高く、ギター専門誌に取り上げられることもしばしば。


▲トロント・ジャズフェスティバルに日本から来演する山木将平さん

そして2011年6月27日には、アレサ・フランクリン、デーブ・ブルーベック、チック・コリアなど、世界のトップアーティストの名がラインナップに並ぶ「トロント・ジャズフェスティバル」のビッグステージに立つ。トロントでの演奏を間近にひかえた山木さんに、中学、高校時代の音楽体験、曲作り、将来に向けての思いなどについてEメール通信にてお話をうかがった。


▲2010年度サッポロ・シティジャズの「パークライブコンテスト」で優勝

渡航を間近にひかえ、今の心境を。今回が海外初公演となりますか?
およそ1年前に、トロント国際ジャズフェス出演が決定しましたが、この1年間がとても早く感じられました。海外公演は初めてですし、海外に行くのも初めてです。自身のギター、音楽と共に海外へ渡れることをうれしく思うとともに、感謝しています。トロント行きが決定してからはカウントダウンの日々でしたので、渡航を目前にひかえ、楽しみでしかたなく、興奮しています。

プロフィールには13歳からギター演奏を始められたとありますが、そのころから周りやご家庭のなかに後押してくださるような音楽環境があったのでしょうか。
私の家庭はまったく音楽家庭ではなく、親戚でギターを弾く人が数人いるといった感じでした。はじめ両親は「趣味でやってるんだな」程度に思っていたでしょうが、段々とそれしかやらなくなっていったので、私がいかに本気であるかが伝わっていったと思います。現在は全面的に応援してくれていますので、私もその期待に応えるよう、日々努力しています。

もう初めからアコースティック一筋で行こうと決めていたのですか。あるいはエレクトリックの世界なども経験したあとでの決心ですか。また、ソロで行こう、と決めたきっかけなどは特にありますか。
いえ、エレキはよく弾いていました。というのも、私はギターを始めてすぐにブルースにのめり込んで、ジミ・ヘンドリックスやスティービー・レイ・ボーン、ジョニー・ウィンターのコピーに励んでいました。高校の時は、エレキでブルースセッションに通っていました。ですが、中学、高校の時にブルースバンドを組もうと思っても、周りに賛同してくれる人がいなかったので組むことができませんでした。その頃にソロ・アコギインスト(ソロ・アコースティックギター・インストゥルメンタル)に出会い、一人で活動する決心をしました。

国籍、ジャンルを問わず、これまでに大きな影響を受けたアーティストは?
ブルースづけの中学、高校時代は前にも言いましたように、ジミ・ヘンドリックス、スティービー・レイ・ボーン、ジョニー・ウィンター、エリック・クラプトンなどですね。アコギソロをやるようになってからは、押尾コータロー、マイケル・ヘッジス、そしてカナダ出身のドン・ロス、アントワン・デュフールなどです。普段はギターミュージックに関わらず、アッシャーやクリス・ブラウン、リル・エディーのようなR&Bやヒップホップもよく聴いています。

デビューアルバム「North Wind」が今年初めにリリースされましたが、やはりデビューアルバムには特別な重みがありますか。曲を作るにあたって、特にインスピレーションとなるようなものとの出会いはありましたか。
そうですね。CDデビューは昔からの夢でしたので、感慨深いものがありました。曲を作るにあたっては、いろいろなところからインスピレーションを受けています。私が住んでいる北海道という場所は、とても自然が豊富で美しいです。私の中で「芸術の根源は自然にあり」という考えがありまして、それを考えてみると、北海道に生まれ育ったことはとても恵まれていたと思います。それと、音楽は人が発して人が受け取るものなので、「人間味」というのも私の音楽のテーマです。デビューアルバム「North Wind」は、私が21年間感じてきた、「自然」と「人間味」を音で表現した集大成といえます。

ラジオ番組も担当されているそうですが、どんな内容の番組ですか。
札幌発信のFM放送で「山木将平のNEWOLD」というコーナーなのですが、21歳と割と若い世代でありながら、昔ながらのブルースのような音楽を好んでるという特徴を生かし、毎週ブルースにまつわる楽曲を紹介したりしています。

トロントでの演奏会場はジャズライブのしにせ「The Rex」というクラブですが、日本での演奏活動の場はどんなところが多いですか。個人的に大きなステージよりも、クラブセッティングのほうが心地良いということはありますか。
日本では野外、小さなライブバー、ホールでの演奏とさまざまです。大きなステージでの演奏はもちろん大好きですが、クラブのような、お客さんとの距離が近いステージも面白くて好きです。会場の雰囲気もライブでは大きな要素となってくるので、お客さんとの距離が近いと、ライブ中のトークが雰囲気でころころ変わっていったりするので、まさにその時にしかない「ライブ」になりますよね。

最後に、トロント・ジャズ後の活動予定、そして、将来の目標や夢などを語ってください。
ジャズフェス出演は、間違いなく自分に大きな刺激があるとは思いますが、今後もミュージシャンとして貪欲(どんよく)に音楽に向き合っていきたいです。私はインスト・ギタープレイヤーですから、本当にボーダーレスの世界です。ギターとともに、再びカナダを訪れたいのはもちろんのこと、世界中を回りたいです。ですが、その瞬間瞬間は、聴いてくれる人と私の一対一のコミュニケーション。その素晴らしい瞬間に感謝したいです。

それから、音楽ばかりやっていても駄目だと思います。結局、音楽は日常生活の一場面を表現していたりするものですから、常に刺激のある生活を送りたいです。私は、音楽とギターと人の可能性を信じていますから、私が生きている間、一人でも多くの人に「あの人の音楽に出会えてよかった。あの人に出会えてよかった」と思っていただけるようにがんばりたいです。私の音楽で世界を変える、というような大それたことは言えませんが、私の音楽で一人の人生を変えることは出来ると信じています。

お話をうかがって、トロントでの演奏がますます楽しみになってきました。お忙しいところ、ありがとうございました。

■山木将平 演奏スケジュール
・6月27日(月) 12:30pm
・The Rex Jazz & Blues Bar 
194 Queen Street West, Toronto 
(416)598−2475
・入場無料
www.therex.ca

(2011年6月16日号)

 
 


 
 
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