【企業訪問】

「美しくなりたい──お客さまの化粧生活にお手伝いを」
資生堂カナダ社・藤井恵一社長に聞く


「美しくなりたい」という女性の永遠の願望に化粧品の分野で貢献している資生堂。創業140年の実績を誇っている。そして、1992年に創立された資生堂カナダ社は、今年、20周年を迎える。資生堂カナダ社の藤井恵一社長にお話をおうかがいした。〈 取材・色本信夫 〉

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▲資生堂カナダ社の藤井恵一社長

カナダにおける資生堂の製品は、1969年、モントリオールの代理店を通じて「ZEN」(「禅」オリジナル)を発売したのがはじまり。その後、1992年、資生堂カナダ社が創立され、本格的に営業体制が立ち上げられた。


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▲資生堂のメーキャップ用化粧品

現在、資生堂カナダ社は SHISEIDO ブランドのカナダでの販売元になっているほか、メーキャップのブランド「NARS(ナーズ)」を取り扱っている。さらにフレグランス(香り)の「ISSEY MIYAKE(イッセイ・ミヤケ)」(日本)、「Jean Paul Gaultier(ジャン・ポール・ゴルチェ)」(フランス)、「narciso rodriguez(ナルシソ・ロドリゲス)」(アメリカ)、「Elie Saab(エリー・サーブ)」(レバノン)も取り扱っている。これらのフレグランスは4つとも世界的に著名なデザイナーのブランドで、資生堂が100%出資の子会社ポーテ・プレステージ・インターナショナル(パリ)がフランス国内にある資生堂の工場で作っている。

カナダでの販売網はベイ、シアーズ、ショッパーズドラッグマート、セフォラなど広範囲にわたる。
「SHISEIDO ブランドはいちばん売り上げが大きいです。お客様満足100%志向は、昔も今も変わらず継続しています。カナダではアジアでの資生堂の知名度が高いおかげで、SHISEIDO ブランドの認知度と信頼感が強い。とくに中国系人のお客様は多いですね。中国には販売会社はもちろんのこと工場もあります」(藤井社長)

資生堂のポリシーは?
「美しくなりたい──お客さまの化粧生活にどれだけのお手伝いができるか。それが我々のミッション(使命)といえましょう。資生堂のコーポレートメッセージは『一瞬も一生も美しく』です。お客さまの化粧生活をサポートさせていただくために、化粧と健康も含めて業務に励んでいるところです」

健康も含めてというと、どのようなビジネスを手がけているのですか。
「サプリメントとか健康飲料といった健康関連商品。それにレストラン事業も展開、資生堂パーラーでクッキーなども販売しています。また、東京・銀座には資生堂直営のイタリアンレストラン『ファロ』(ミシュラン一つ星)とフレンチレストラン『ロジェ』(ミシュラン三ツ星)があって好評をいただいています」
2009年のリーマン・ショックは世界の経済に大きな影響を与えた。化粧品業界も打撃をうけたのだろうか。
「リーマン・ショックは、カナダでは影響はあっても、アメリカほどではなかったと思います。化粧品業界もカナダに限っていえば、大きな落ち込みはなかったですね。資生堂も同じです」

リーマン・ショックとともに、円高もかなり厳しいですが・・・。
「その点、資生堂は早くから生産工場を日本地区、そして海外のアメリカ地区、ヨーロッパ地区に分散しているため、円高の影響はそれほど受けていません。資生堂の売り上げ比率は、海外44%、日本56%です」
日本の化粧品メーカーの海外での売り上げ比率としては、花王、カネボーなどと比べて資生堂が最も大きい。140年の歴史がものをいっているともいえよう。
「ただ、米ドル対カナダドルとの関係で、ドルの上がり下がりによってお客様の購買構造に影響を与えていることは、多少あるかも知れません」

ここで、藤井氏に、資生堂の新製品を紹介していただいた。

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▲新製品のアイクリーム SHISEIDO WHITE LUCENT 資生堂ホワイトルーセント

「アイクリーム『WHITE LUCENT』(ホワイトルーセント)。今年の春に出たばかりの最新の目元用クリームです。現在カナダでも発売されています。これは、目の周りの悩みのなかで、くま(Dark Circles)に対応したクリームです。青みがかったくま、ちょっと茶色っぽいくまなどの見え方を改善するクリームです。資生堂独自の美白有効成分の働きでメラニン色素の生成を効率的に抑制しながら、キメの整ったみずみずしい美透白肌に導きます」

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▲今年の一押しアイテム SHISEIDO EUDERMINE 資生堂オイデルミン

さらに、今年の一押しアイテムとして、「EUDERMINE オイデルミン」が紹介された。
「オイデルミンは、低温時に保水性が高く、高湿度時にはべたつきの少ない保湿成分を配合。どんな環境でも肌のうるおいを理想的に保ち、肌の生まれ変わりのリズムを整えます。EU は『良い』、DERMA は『肌』。ギリシャ語の『良い肌』からその名を受け、100年以上前に日本で生まれた化粧液です。1997年に現在の処方に生まれ変わりました」

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▲資生堂独特のオーデコロン「 ZEN 禅」

化粧品の効果は「気持ち」から表れるという研究データから、資生堂では「資生堂ライフクオリティー・ビューティーセミナー」を開講している。これは、主に、高齢者や障がいのある人などを対象にした美容セミナーで、一人ひとりがより快適で健やかな日々を過ごせることを願い、地域に密着した活動として日本全国で展開している。
「高齢者福祉施設や障がい者施設などを訪問し、化粧品の基本的な使い方、美容情報をお伝えし、ご自分で肌の手入れ、化粧を体験していただきます。この活動は海外でも、現地のニーズに合わせて実施しています。カナダでも既に数年前からトロントの高齢者福祉施設 Momiji Senior Centre で美容セミナーを実施しており、非常に好評です」
資生堂グループのミッション(使命)は、「私たちは、多くの人々との出会いを通じて、新しく深みのある価値を発見し、美しい生活文化を創造します」と謳(うた)っている。藤井氏はこの使命をつねにかみしめながら、「いかに世の中の女性をきれいにするか」を念頭に仕事に励んでいるところだ。

【藤井恵一氏プロフィール】
1960年3月23日生まれ。横浜出身。1983年早稲田大学商学部卒、資生堂入社。国内営業に約9年間従事した後、1991年、本社に異動、国内向けの商品企画およびマーケティングを担当する。
2001年から2006年まで4年半、パリに駐在、本社リエゾンオフィス(本社国際マーケティング部のヨーロッパの出先機関)で活躍。2006年から本社国際マーケティング部に勤務、SHISEIDO ブランドの商品企画およびマーケティングにたずさわる。2010年3月資生堂カナダ社に社長として着任。
業務に励む傍ら、日系コミュニティーで開催される各種チャリティーイベントに積極的に参加するなどボランティア精神も旺盛である。
「単身赴任なので健康には気をつけています」と語る。趣味はテニス、料理、コンサート、バレエの鑑賞。「今年はゴルフをがんばりたい」と意気込んでいる。


(2012年4月12日号)

 
 


 
 
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