【お店訪問】

フランス人パティシエ、インペリアルさん&由美子さん夫妻の店
「PATISSERIE SEBASTIEN」パティスリー・セバスティアン(トロント)


日本ではここ数年来「スイーツ・ブーム」で、各地にオリジナル・スイーツを販売する店がどんどんできている。それにともなってスイーツ関連の出版物がたくさん発行されている。ここトロントも、ブームとはいかないまでも以前に比べるとおいしいスイーツとコーヒーを楽しめるカフェがずいぶん増えた。そのひとつ、「PATISSERIE SEBASTIEN」(パティスリー・セバスティアン)をご紹介しよう。


▲Yonge 通りと Fairlawn 通りの角にある「PATISSERIE SEBASTIEN」

トロントの中心地より、少し北のヤング通りに面した「PATISSERIE SEBASTIEN」は、フランス人パティシエ、チャールズ・インペリアルさん&由美子さん夫妻が経営するベーカリー&カフェである。周囲は閑静な住宅街ですっかり地元の住民に定着したようで、週末はお客が列をなし、ケーキを買っていく人、店内で味わっていく人で大にぎわい。

■この道のベテラン、チャールズさん
「PATISSERIE SEBASTIEN」のオーナー・パティシエであるチャールズさんは、スイスアルプスとの国境に近いフランス・サボイ地方に生まれた。その後、近くの都市グルノーブルに移り、14歳で料理の専門学校に通う。ここで3年間、フランス料理全般を学んだ。もちろん、ケーキやデザート類もこの学校で学んだのが始まりだった。「しかし、このときはまだ若かったし、パティシエになろうと決めていたわけではありません」とチャールズさん。
その後、フランス国内のレストランなどで働いたのち、24歳のときにカナダへ。「最初、まず言葉の関係からもモントリオールへ行きました。でも当時はケベック独立運動が問題になっていて、経済も不安定でした」。というわけで1987年トロントに移る。

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▲チャールズ・インペリアルさんと由美子さん夫妻

トロントではいろいろなレストランで、料理人としてだけではなく、ウエーター、マネジャー、さらにワインの勉強もしてソムリエまで経験した。これらの経験が実際に店を経営することになって大いに役立ったことは言うまでもない。

■由美子さんとの出会い
チャールズさんがトロントダウンタウンのフレンチビストロ「Marcel’s Bistro」でマネジャーをしていた時、隣りにあった日本料理店「山勢(やませ)」でウエートレスとして働いていたのが由美子さんだった。「最初に会ったとき、笑顔が素敵だなあ、と思いました。一般に日本人女性は笑うとき口をかくしますが、彼女はおおらかに笑うのが印象的でした」

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▲お客の応対に忙しい・・・

出会って約5年後の2004年にふたりは結婚。2年後に一人息子のセバスティアン君が誕生。そう、店名の「PATISSERIE SEBASTIEN」は息子の名前から取ったのである。ただ今、かわいい盛りの6歳。すでにパティスリーに興味を持ち始めているとか・・・。

■「PATISSERIE SEBASTIEN」オープン
チャールズさんは由美子さんとの結婚、そしてセバスティアン君の誕生などを機に独立を考えた。米カリフォルニア、イタリア、フランスなど各国を2週間にわたって旅行。どんな店づくりをすればよいかを勉強する研修旅行だった。その結果、2009年5月に現在の店をオープンさせたのである。
「最初はもっとダウンタウンに近い、エグリントン×ヤング付近を探しました。しかし、あそこは商業地区でレントがものすごく高く、ここになったのです。結果的にはいい選択でした。周囲は住宅地なので家族的な雰囲気にあふれ、常連さんが多く足を運んでくれます」
チャールズさんは朝早くからケーキやパン作り。由美子さんは子育てのかたわら、店でキャッシャーとして忙しく働く毎日である。お客に接するのは経験ずみで、にこやかなスマイルが常連客に受けている。

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▲好評のエクレアやキッシュ類

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▲ババロワ風やムース系のケーキも人気

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▲大きめのクロワッサンやデニッシュ

作っているケーキの種類は約20種。中でも人気があるのがエクレア、セントヘレナ、ムースショコラ、アプリコットやりんごのタルト類。このほかマドレーヌやクロワッサン、バゲット、ブリオッシュ、デニッシュ、キッシュ類も作っているから仕事の量は大変なものである。その上、誕生ケーキやスペシャル記念ケーキ、クリスマスケーキなどの注文も受けている。

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▲ギフトにも向くプチ・マドレーヌのパッケージ

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▲カフェに続く工房で、チャールズさん

チャールズさんは日本にも4回行き、「日本のケーキは素晴らしい」と賞賛。チャールズさんのオリジナル・ケーキ作りにも参考になっていることだろう。現在、従業員は9名。フランス人、カナダ人、日本人などまさにトロントらしい国際色豊かな職場である。将来、チャンスがあれば第2号店も考えているそうだ。
最後に「息子さんのセバスティアン君が成長したら、店を継いでもらいたいですか?」の問いに「もちろん、彼がそれを望むなら・・・」と、笑顔がこぼれた。

【PATISSERIE SEBASTIEN】
■場所;3306 Yonge Street, Toronto(Lawrence Ave. の4ブロック北、西側)
Tel:416-544-0333
■営業時間:火〜土曜=午前8時〜午後6時、日曜=午前8時〜午後5時、月曜休み

〈 リポート・いろもとのりこ 〉   (2012年4月19日号)



 



 
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