【ひと】

フラメンコひとすじに生きる
エスメラルダ・エンリケさん


カナダ在住のフラメンコダンサーとしてはトップレベルと賞賛される女性、エスメラルダ・エンリケさん。つい先日も、4月19日から21日までトロントのハーバーフロント・フレックダンスシアターで彼女が運営するスパニッシュダンスカンパニーの創立30周年を記念するショー「Aguas / Waters」が開かれ、エスメラルダさんとカンパニーのベテランメンバーたちが情熱的なスペインのダンスを舞い、大成功をおさめた。長年にわたり内外でフラメンコを披露してきたエスメラルダさんにインタビュー。〈取材・色本信夫〉


▲エスメラルダさん。トロントのエスメラルダ・エンリケ・スパニッシュダンスカンパニー事務所にて


▲スタジオでフラメンコの指導をするエスメラルダさん

「エスメラルダ・エンリケ・スパニッシュダンスカンパニー」のスタジオはトロント市内リッチモンド・ストリート・ウエスト(スパダイナのすぐ東)にある。エスメラルダさんは笑顔で迎えてくれた。
生まれは米テキサス州サンアントニオ。「アラモの砦(とりで)」で有名な町だ。メキシコ人の父、スペイン人の母のもと、幼少よりダンスに関心を示し、メキシコの民族舞踊などを踊っていた。ある時、ステージショーでフラメンコを見てすっかりはまってしまった。8歳の時、姉とともに先生についてフラメンコを習い始める。熱心に練習に励んだエスメラルダさんは生来の素質とも相まって、なんと14歳にしてプロのダンサーとして認定される。

アメリカで著名なフラメンコのダンサー・指導者で有名なルイサ・トリアーナ、ホセ・グレコらに同行して各国をツアー。そしてスペインの首都マドリードに13年間滞在した。その間、シアター、レストラン、テレビ、映画、プライベートな催しなどからお声がかかり、出演の日々が続いた。

1981年、トロントのスペイン料理レストランと6カ月間の契約を結び、来加。当時、市内カレッジ×スパダイナにあった「ドンキホーテ」などで本場スペイン仕込みのフラメンコを披露して大評判となった。トロント滞在中、イタリア系の男性サルバトーレ・プリンシパートさんと出会い、結婚。カナダに根を張ることになる。


▲情熱的に踊る

何事にも積極的なエスメラルダさんは、翌1982年、トロントにフラメンコのダンススクールを開設。これが「エスメラルダ・エンリケ・スパニッシュダンス・カンパニー」のスタートとなる。今年、創立30周年を迎えたわけだ。
「あの頃、トロントにはそれほど多くのフラメンコ舞踊カンパニーはなかったのです。私のカンパニーは、最初は生徒が10人から12人くらいで、個人とグループのレッスンを週2回ほど開いていました。それが、だんだん増えてきて、今では規模がだいぶ大きくなってきました」とエスメラルダさん。


▲ダンサーたちが一体となって・・・

現在は、生徒数が平均およそ130人でスタジオがいっぱいといった感じだ。生徒の出身国はじつにさまざま。日本人の若い女性で学んでいる人もいるそうだ。レッスンは、6歳−14歳のクラス、大人のクラスがあって、大人クラスは初級からプロ養成クラスまでいくつかのレベルに分かれている。指導する教師は、現在、エスメラルダさんのほかに5人いるという。
「私の教え子だった人たちの中には、それぞれ自分のカンパニーを持っている人もけっこういますよ」と目を細める。


▲コスチュームの色調も鮮やかに・・・


▲真の感情を表現する。 ESMERALDA  by Hamid Karimi


▲Esmeralda white wings by John Lauener


▲華麗な舞い

エスメラルダさんは、今や、「ダンス公演」と「ダンススクール」の2つを経営するビジネスウーマンでもある。カナダ国内のみならず海外での公演スケジュールも目白押しだ。ダンサーたちの手配もさることながら、フラメンコに欠かせないギターや歌手など音楽担当の人員も配置しなくてはならない。必要に応じて、本場スペインからダンサー、歌手などを呼び寄せることもある。
カナダ国内の差し当たってのスケジュールの例をあげてみよう。
・5月11日(金)ミシサウガ市 Living Arts Centre
・7月23日(月)〜28日(土)Adela Campallo と共に夏期集中ワークショップ
・8月1日(水)ケベック州の「Festival des Arts de Saint-Sauveur」に参加(モントリオールの北、ローレンシャン地方の町)

海外公演で日本を訪れたことはありますか?
「いや、まだ、日本には行っていません。日本にはフラメンコ・ファンがたくさんいることは知っています。いつか近い将来、ぜひ訪問したいです」

ところで、エスメラルダさんにとって、フラメンコの魅力とは何ですか?
「まず、自分自身を知らなくてはいけないと感じることができる。真の感情を表現するのがフラメンコです。見せかけ、にせものではなく、真実を感じ取るという魅力があります。踊ることによって人間性をもっと高め、清廉な境地に入るよう努めています。ですから、ダンサーとして私自身がエンジョイすると同時に、多くの生徒たちにいかに感情を表現するかを教えています」

将来の計画は?
「フラメンコのスタジオはこれからも続けていきます。そして来年(2013年)はフラメンコ・カンファランスを開催してフラメンコについて討論する予定です。これは2年ごとに開いていきたい。また、コンピューターライブラリーを開設してダンスに関する情報をカナダだけではなく外国にも伝えたい。さらに、ダンスカンパニーのツアーを増やし、トロントだけでなく他の地域にももっと普及させていきたいと考えています」

多様民族が集うトロントで、フラメンコは浸透しつつあるようだが、もっともっと多くの人に知ってほしいと願うエスメラルダさん。 「日本人の皆さんも、ぜひ、私のスタジオに来てフラメンコのクラスを見学してください。生徒になる必要はありませんから・・・」と呼びかけている。
【ステージの写真提供=エスメラルダ・エンリケ・スパニッシュカンパニー】

Esmeralda Enrique Spanish Dance Company
Academy of Spanish Dance
401 Richmond Street West, Suite B104 (at Spadina)
Toronto, Ontario M5V 3A8
Tel : 416-595-5753
E-mail : academy@flamencos.net
Website : www.flamencos.net

(2012年5月3日号)



 
 


 
 
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