【食べある記・モントリオール編】

ブルターニュ地方の伝統菓子店
Kouign Amann


〈 リポート・NICO/モントリオール・ココモン誌より 〉

“Le vrai progress, c’est une tradition qui se prolonge”──Michel Crepeau
「真の進歩とは、伝統の延長にある」ミシェル・クレポー


▲「Kouign Amann」お店の外観

モントリオールのMont Royal通りにたたずむお店「Kouign Amann」の前を通り過ぎるたびに、NICOは幼いころ読んだ物語、Virginia Lee Burton作「ちいさいおうち」を思い出します。心のぬくもりを教えてくれた物語同様、Mont Royal通りの「ちいさいおうち」は、小さい間口から大きい存在感を発して輝いています。


▲フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子「Kouign Amann」(手前)

Kouign Amannは、フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子。ブルトン語で「バター菓子」のことです。お店のオーナー、ニコラさんは、ブルターニュのお隣、ノルマンディー出身。デザートとパンの中間に位置するヴィエノワーズリー(Viennoiserie =リッチな発酵菓子・食事パン)は、正確さとデリケートさとが要求される難しい分野。それはニコラさんの好奇心と知性を心地よく刺激したのです。


▲りんごがたっぷり。タルトタタンの仕込み

できるだけ伝統に忠実に、シンプルに仕上げることがお店のモットーです。伝統にこだわるのは、作り手、技術、菓子自体の経験が凝縮した歴史そのものだから・・・。Kouign Amannの美味しさの秘密です。日に何回も焼かれるパンの香りで満ち満ちたお店は、その働き続けるオーブンのおかげで、真冬でも暖房なし! そしてお店の暖かさはそのまま、ヴィエノワーズリーを口に運ぶと同時に温まるハートに寄り添います。


▲オーナーのニコラさん(中央)とスタッフ

モントリオールで一番美味しいとの評判さえあるクロワッサンは、美しく重ねられた波状のパン皮が、口中で良質のバターを優しく溶かします。サクサクの食感としっとりした味わいの二重奏は思わず胃袋をうならせる名演。


▲焼きたてのお菓子やパンを買い求めるお客

クラフティ(Clafoutis)というお菓子はブルターニュではファルズ(Farz)と名を変えます。プルーンとラム酒を入れるのがブルターニュ風。プルプルに揺れるプリン状の生地とプルーンのみずみずしさをラム酒の芳醇(ほうじゅん)な香りがつなぎ合わせて、口中がしばしのブルターニュ旅行を楽しみます。

りんごをふんだんに使ったタルトタタン(Tarte Tatin)の焼き上がりは見もの。りんご特有の甘酸っぱさが、誇らしげに湯気を立てながら一気に香り、目と鼻から食欲を刺激します。

お店に降り注ぐ伝統のぬくもり。その光に包まれて、ブルターニュに思いを馳せ、今日も Bon Appetit & Bon Voyage〜

Patisserie Kouign Amann
■場所:322 Mont−Royal Est, Montreal
    Tel:514-845-8813
■営業時間:毎日オープン。月〜金曜午前7時〜午後7時、土&日曜午前7時〜午後6時

(2012年5月31日号)

 



 
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