【世界の街角から】

桜島に見守られている鹿児島
豊富な温泉、海の幸、山の幸


〈 トロント 中村智子・記 〉


九州最南端に位置する鹿児島。桜島に見守られているこの県には、たくさんの見どころがある。
まず、鹿児島といえば温泉。活火山桜島のおかげで、県内随所に大小さまざまな温泉が出ている。しかも、安くて利用できるのがうれしい。鹿児島空港出入り口のすぐそばや、薩摩半島をちょっと南に行ったJR指宿(いぶすき)駅には、無料の足湯もある。


▲鹿児島市のドルフィンポートから望む桜島


▲雪景色の桜島

指宿といえば、砂蒸し風呂が有名だ。海岸に寝そべり上から砂をかけてもらうと、体の芯(しん)から徐々に温まり、汗がじわっと出てくる。体内の解毒作用のようなものが体感でき、ダイエットにはもってこいだ。

旅行会社に勤める知り合いから教えてもらったホテル旅館「白水館」は、砂蒸し風呂が体験できることで観光客の人気を集めている。ほかにも、江戸時代の銭湯をモチーフにした元禄風呂や、露天風呂などが楽しめる。また、四季折々の地元の新鮮な素材を使ったお料理もこの旅館の自慢である。

学校を出たての若い人達が多く働いていたのだが、サービスの良さに感心した。笑顔で挨拶はもちろんのこと、写真撮影の手伝いからタクシーの予約まで、客が頼みごとを言う前に(しかも押し付けではなく)率先してやってくれた。当たり前だと言ってしまえばそれまでなのだが、日頃、カナダ人のカスタマーサービスに満足していない私は、この至れり尽くせりの精神に感激してしまった。それにしても、南国の果てに、こんな素敵で豪華な宿があったとは・・・。外国人客もいたので、けっこう知名度の高い旅館のようだ。
http://www.hakusuikan.co.jp/


▲鹿児島名物「黒豚ラーメン」

ここで、鹿児島県の特産物の話をしよう。黒豚、キビナゴ(魚)、お茶、そして、さつまいもが代表格である。
黒豚ラーメンは、こくがあり、焼き豚は脂(あぶら)がのっていてとてもおいしい。もう20年も前だが、100円ラーメン(鹿児島弁では「ひゃっきんラーメン」という)の店でラーメンを食べたことがある。だしやスープをバケツで扱うのが売りで、初めて見た時はかなりショックだったが、味は100円とは到底思えないくらいにおいしいのだ。そう、鹿児島のラーメンには外れがない。だが、この店は果たして採算が取れていたのだろうか。

キビナゴは刺し身がスーパーで売っているのでお手軽に食べられる。酢味噌で頂くのが鹿児島流。鹿児島は三方を海に囲まれているので、他県よりも新鮮でおいしい魚介類が獲れる。

それから、鹿児島は日本有数の緑茶の産地でもある。父親が鹿児島出身、母親が関西出身だという知り合い一家が(一家は関西在住)鹿児島に行って帰って来ると、母親が「鹿児島の人達は、どうして朝から晩までお茶ばかり飲んで過ごすのかしら。朝出かける前にも必ずお茶を入れて、一服して。朝はバタバタとしてそんな暇なんかないのに。そして、晩ご飯の支度の前にもまた一服」と真顔で不思議がっていた。そうなのだ、鹿児島では「とりあえず、お茶」で物事が始まるのである。

お茶に合う特産の和菓子も見逃せない。かるかんはさつまいも(鹿児島県民は「唐芋=からいも」と呼ぶ)が使われた口当たりのよい和菓子で、冠婚葬祭、鹿児島ではいつでもお目にかかることができる。

そのほか、鹿児島名物といえば、薩摩揚げ(魚肉のすり身を油で揚げた練り製品)、焼酎、かき氷に練乳をかけフルーツやあんみつをたっぷり乗せた「白くま」、油で揚げた麺の上に片栗粉でとろみをつけて餡をかけ、さらに酢醤油をかけて食べる「焼きそば」がある。
(白くまと焼きそばは、鹿児島一の繁華街、天文館にある山形屋デパート内のレストランがおすすめです)

温泉につかり、豚の佃煮(これは前述の白水館で頂いた)とキビナゴの刺し身に舌鼓を打ち、デザートにはお茶とかるかんを頂く。これこそ、まさに鹿児島を旅する醍醐味である。

(2012年6月21日号)

 



 
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