【長寿】

ギネスに挑戦!105歳で世界一周講演旅行
地三郎さん、バンクーバーで特別講演


福岡県福岡市にある知的障害児施設しいのみ学園は、創設者の著書がベストセラーとなり1955年に映画化され、その主題歌も大ヒットした。その創設者である地三郎(しょうち・さぶろう)さんがバンクーバーを訪問、7月18日に市内のコースト・コールハーバー・ホテルで長寿、健康の秘訣、障害児教育などについて特別講演会が行われた。地さんは現在105歳。1906年(明治39年)8月16日北海道生まれ。


▲トレードマークの帽子と赤いマントで講演会場に姿を見せた地三郎(しょうち・さぶろう)さん(7月18日、バンクーバーにて)

地さんは7月22日から27日まで南アフリカ共和国ケープタウンで行われる第30回国際心理学会に出席する目的を兼ねて、2005年から始めたギネス世界記録に挑戦するための1カ月世界一周講演旅行の途中、バンクーバーに立ち寄ったものである。
【編集部注】地三郎さんは4年前の2008年8月にトロントのカナダSGI(カナダ創価学会インタナショナル)で講演し、そのときのインタビュー記事が当時の日加タイムス紙8月22日号に掲載されました。


地さん考案の棒体操を出席者全員で実習。94歳の寝たきり老人が起き上がれるようになった症例もある

バンクーバーでの講演会の日、トレードマークの帽子と赤いマントで会場に現れた地さんは足取りもしっかりして百歳を越えたとは思えない生き生きとした容姿であった。7月16日夕に福岡市を出発し、ロサンゼルスまわりでバンクーバー着。そして18日午前11時からの講演でも時差ボケの気配もなく、予定時間を超過しての講演やスライドショー、地さんが考案した棒体操体験などが繰り広げられた。

「小さいときから虚弱児だったので、食事の一口を30回噛むことを母親から厳しく教わり、それも長生きの秘訣となったのです。それにどもりで緊張すると言葉も出なくなるほどだったが、 一生懸命訓練して治したりと頑張ってきた。災いを避けていたら福も逃げてしまう。災いを試練と受け止めて前進せよと言いたいです」と教える。


▲1リットルのミルクカートンから作られたカエルのおもちゃ。その辺にころがっているものや廃棄物などすべてに目を向けて、おもちゃを考案


▲講演最後には「黒田節」の舞を披露。扇さばきが見事であった。何か一つ芸を持つことも大切と・・・


▲今回主催者側から贈られた赤いベスト。2012年福岡発バンクーバー、ケープタウン、フランクフルトなど今回の旅行滞在地や105〜106(歳)の字が刻まれている。「これからこのベストが私のトレーマークです。ギネス発表の日にもこれを着ます」とすっかりお気に入り

時差ボケを感じない、とおっしゃる地さんの対策は腹時計(体内時計)をその都市に合わせることで食事の時間を調整。体内時計研究者の上田泰己さんの研究にも協力している。

規則正しくリズミカルな生活習慣が健康の秘訣。75歳から総入れ歯だが高級な技術で作ってもらうと全く違和感はなし。口は命の入り口、社会への出口「食べることと話すこと」をモットーにしている。語学の学習欲も旺盛で、ポルトガル語には101歳から挑戦した。姿勢がよければ転ばない。そのためにはへこまないベッドで仰向けに寝ることが大切。疲労回復にも効果が大きいし、肝臓へ流れる血が30%も増量する。地さんの脳は70歳。記憶をつかさどる海馬の萎縮がないという。


▲各世代への地氏からのメッセージ


地氏の十大習慣健康法

食事の際、1回に30回ずつ噛む効果は、(1)小食で済むことで長寿要因となる。(2)唾液がたくさん出て免疫力を高める。(3)あごの運動になって顔のしわが増えない。(4)脳を刺激するので海馬の萎縮を防ぐ。(5)同時にヒスタミン分泌、筋肉の緊張の効果。サルの実験でもカロリー制限をすると、普通の食事を与えたサルより顔のしわが少ない。

急増する100歳人口は、昭和38年(1963年)には日本全国に135人だったのが、平成23年(2011年)には47,756人にもなった。楽しさがお金で買えるとおもったら大間違い。楽しんで生活をすれば、お金はついてくる。母親が「三郎は頭が悪いが、腕がある」といつも励ましてくれたことなど、体験談をふんだんに交えての講演。そして最後には「黒田節」の舞を披露してくれた。

今回、世界一周旅行に出発する2カ月前の5月18日に硬膜下出血で緊急手術が行われ、旅行の計画も一時中断された。それでも5月30日に退院し、6月19日にはバンクーバーに講演会開催の連絡が入り、7月17日に来加することになり、急いで実行委員会を立ち上げることとなった次第。この一件も驚異的な出来事である。

「脳性小児まひの子供を2人抱えての生活も大変であったが、今は妻や3人の子供達も見送り、95歳になって初めて自分の自由な時間を見いだし、そこからが青春です」とおっしゃる地さん。「旧制教育制度の時代に医学博士と文学博士の両学位を有する人は森外と私の二人だけです」とも。
今回、世界一周を思い立った最大の目的は、養護施設の子どもたちとおもちゃ作りを通じて子どもたちの障害を取り除くことに成功した成果を国際心理学会で報告すること。この世界一周講演旅行は地さんの誕生日である8月16日(日本時間)に日本に到着し106歳の誕生日を迎えて、ギネス最高齢者世界一周達成!となる予定。 その後の彼のブログには「今回のバンクーバー講演会は、一時の不安をぬぐい去る、すべての項目を盛り込んだ講演会として終わることが出来ました。私の不死鳥ぶりを披露することになりましたが、今回の講演会は、これまでにはない感激を致しました」と書かれていた。

地 三郎(しょうち さぶろう、旧姓:山本)──日本の教育者、教育学者。教育学・心理学・精神医学が専門。福岡教育大学名誉教授、元社会福祉法人しいのみ学園理事長兼園長。広島文理科大学(旧制)文学博士、九州大学医学博士。中国・長春大学名誉教授、上海・華東師範大学名誉教授、モスクワ心理教育大学名誉教授。ペスタロッチー教育賞受賞。
http://blogs.yahoo.co.jp/shiinomi100  

〈 リポート・妹尾 翠 〉

(2012年7月26日号)



 
 


 
 
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