【食べある記・トロント編】

環境にやさしいオリジナルメニュー
リトルイタリーの魚料理店「redfish」

トロントのリトルイタリーと呼ばれるイタリア街につい数週間前、ユニークな魚料理店がオープンした。店名は一目瞭然(いちもくりょうぜん)、「redfish」。もちろんそんな魚はないが、象徴として分かりやすく覚えやすい。メニューはすべてオリジナルメニューで独創性にあふれている。


▲夏はパティオも好評の redfish 魚料理店

もう一つ、この店は最近トロントでもだんだん増えてきた「Ocean Wise Partner」の看板を掲げているのが特色。Ocean Wise とは「海の資源、環境を破壊することなく、利用し続けるために守っていこう」という主旨でバンクーバー水族館が立ち上げ、レストランや卸し業者などに賛同を呼びかけたもの。資源保護に影響がなく、健康にもよい魚介類を指定し、これらを積極的に取り入れているレストランに魚の頭のシンボルマーク「Ocean Wise Partner」のサインを出すことを許可している。加盟店はバンクーバー近辺が最も多いが、現在は西海岸から中部、東海岸までカナダ全国に広がってきている。


▲ Ocean Wise のマークが店のガラス戸に掲示してある

健康志向から肉類より野菜、魚を好む人がますます増えてきていることで、魚料理を売りにしているレストランも多くなった。しかし、魚の種類といい、料理法といい、似たようなメニューが大半を占めている。その点、「redfish」はすべてのメニューが他にはない独創的なもので、しかも味がいい。当然のことながら一番気にとめているのは新鮮な材料を仕入れること。そのため魚はその日によってメニューが変わることもあるそうだ。野菜などはトロントから100キロ以内のローカルものを使っている。これも「環境のため」ということらしい。


▲人気メニューのひとつ、chef's bored(キハダマグロ、ニシン、トラウトの刺し身風)


▲octopus ssam(タコのピリ辛みそソースあえ)

料理は何系の料理?と問われると、イタリア系でもフランス料理でもなく、そうかと言って奇をてらったフュージョンでもない。Redfish 料理なのだ。メニューを見ただけではどんな料理か想像できない。それだけ楽しみでもあるのだが・・・。シェフのデービッド・フリードマンさんは日本の富山県に4年間住んだことがあるそうで、日本料理の影響を少なからず受けている感じがする。それと店のオーナーが南米チリ出身ということで多少、南米的な香りもする。

オードブル的なものとして chef’s bored(刺し身風と野菜の盛り合わせ)、わかさぎのフライ、octopus ssam(タコのピリ辛みそ風味ソース和え)、pan fried herring(ニシンのパン粉付け焼き)のほか、ホタテやトラウト、カニの料理がある。パンは自家製で、ちょっと塩気のきいたムッチリした食感がワインに合う。


▲arctic char(小マスのソテー、ニョッキときのこ添え)


▲shrimp & grits(エビのアドボ風味、コラード菜のマッシュ添え)


▲blue sea bream(タイの姿焼き)

メインに当たるものに arctic char(小マスの一種のニョッキ添え)、shrimp & grits(エビのアドボ風味コラード菜のマッシュ)、whole sustainable blue sea bream(タイの一種の姿焼き、ポテト添え)、さらに B.C. ling cod(アイナメ科の魚)やナスのカレー風など。すべてのメニューの共通点は添え物に工夫がされていること。ありきたりのものではなく、バラエティーに富んだ材料を用い、調理法もさまざまだ。


▲デザートの Olive Oil Cake

ホームメイドのデザートで人気があるのは、Olive Oil Cake(小パウンドケーキ、スローローストしたあんずとマスカポーネチーズクリーム添え)や Pot Au Creme(チョコレートムース)など。

お値段のほうは、オードブル的な料理が10ドル前後から17ドル(時価のものもある)、メイン的なものが20ドルから32ドルと平均よりやや高め。しかし、メニューのクリエーティブさや手の込んだ添え物を味わうと納得してしまう。トロントのダウンタウンで庶民的なイタリア街にこういう店がオープン・・・時代の流れを感じる。

Redfish レストラン
■アドレス:890 College Street, Toronto(Ossington Ave. の西)
■Tel:416-733-3474
■ディナーのみオープン。月曜休業
■リカーライセンスあり
www.redfishresto.com

〈 リポート・いろもとのりこ 〉

(2012 年8月23日号)

 



 
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