【世界の街角から】

パリ市内で気軽にくつろげる
レストラン、ビストロ&カフェ


〈 いろもとのりこ・記 〉

夏の間、パリは観光地区以外はレストランや店も夏休み(バカンス)を取るところが多く、ひっそりとしている。それが9月に入るとたちまち活気を取り戻し、ふだんの暮らしにもどる。パリジャンたちの話題は、もっぱら夏に過ごしたバカンスのこと。ワイン片手にビストロやカフェがにぎわう。パリで気軽に行けるレストラン、穴場ビストロ&カフェを訪ねてみた。

■Restaurant Kigawa
ここ10年来、パリは日本人オーナーシェフのフランス料理店やケーキ屋さん(Patisserie=パティスリー)が増えている。いうなれば、本場の敵陣に乗り込むようなものである。それだけ日本人の料理感覚や技術が認められているのだろう。そんな店のひとつが「Restaurant Kigawa」。オーナーシェフの紀川倫広(きがわ・みちひろ)さんがパティシエである奥さんの順子さんと昨年オープンしたばかりのレストランだ。紀川シェフはパリのレストランで6年間修業を積んだのちの独立である。


▲こぢんまりした家庭的な雰囲気のレストラン「キガワ」


▲「キガワ」のオーナーシェフ、紀川倫広(きがわ・みちひろ)さん

モンパルナスの南にある「Kigawa」は大通りから一歩入ったところにあり、20席ほどのこぢんまりした家庭的な感じの店。味の評判をきいて、パリで修業する日本人料理人たちが食べ歩きにくるほどだ。


▲アントレのヤギのチーズとサラダ(今年5月のコース料理で当時は2品21.5ユーロだった、以下同じ)


▲メインの魚料理


▲デザート

メニューはア・ラ・カルトがいろいろあるが、一番の人気はコース(Le Menu)で、アントレ(オードブル)、メイン、デザートのうち、2品または3品を選ぶ。料理の内容はその日によって変わることもあり、コースの中でも選ぶことができる。2品は29ユーロで3品は32ユーロ(税&サービス込み)。料理は素材を生かすとともに深みのある味つけで、盛り付けはすっきりシンプル。ワインもいろいろ取り揃えている。(注:1ユーロ=カナダドル約$1.30)

【Restaurant Kigawa】
◎アドレス:186 Rue du Chateau 75014 Paris
◎Tel:01 43 35 31 61
◎営業:ランチ&ディナー(月曜のランチ休み、火曜は定休日)
www.kigawa.fr

■L’Assignat(ラシニャ)
美術館や歴史的建物がたくさんあるパリの観光地区のど真ん中、ポン・ヌフのすぐ近くにあってまるで観光客とは関係ないたたずまいのビストロ「L’Assignat」(ラシニャ)。地元の常連さんたちがたむろしそうな雰囲気のビストロだ。一歩、中に入るとタイムスリップしそうなインテリアが気分を落ち着かせてくれる。古き良き時代のビストロそのままって感じ。
ところであまり聞きなれない店名の「L’Assignat」とはどういう意味なのだろう。フランス革命期に発行されたアシニャ紙幣からきているようだ。当時没収された聖職者たちの財産を担保として発行された変換できない紙幣だという。


▲観光エリアの小路にあるL’Assignat(ラシニャ)


▲タイムスリップしそうなインテリア


▲古きよい時代のポスターや絵がしっくりマッチ

観光客相手ではないだけにお値段も信じられないくらいの安さ。決してお洒落(しゃれ)な料理ではないがそこそこにいただける。コース(Le Menu)はアントレとメイン、またはメインとデザートで12ユーロ。ハウスワインの小ピッチャー(グラス2杯分くらい)を入れても15ユーロ(税&サービス込み)。
料理はその日によって変わり、ボードに手書きされる。ラムのステーキやタルタルステーキ、チキンのカレー煮込みなど庶民的なメニューが多く、量もたっぷり。食事はランチのみで、夜はお酒だけの店になる。

【L’Assignat】
◎アドレス:7 Rue Guenegaud 75006 Paris
◎Tel:01 43 54 87 68
◎営業:日曜を除く毎日(祝日はオープン)

■Cafe Carlu(シャイヨー宮の中)
パリで一番の観光スポット、エッフェル塔の素晴らしい景色が一望のもとに見られるシャイヨー宮の中にある「Cafe Carlu」はごくカジュアルなカフェテリア形式のカフェ。メニューはサンドイッチ類やパスタなど軽いものがメインだが、歩きつかれたときに一休みするにはもってこいの穴場である。


▲エッフェル塔を見渡しながら一休みできるシャイヨー宮の中のCafe Carlu


▲シャイヨー宮の中央。ブロンズ像の真後ろに Cafe Carlu がある

シャイヨー宮は1937年のパリ万国博のときに建てられ、横に両翼を広げたような形が優雅である。建物の中には現在、海洋博物館、人類博物館、建築・文化財博物館、シャイヨー劇場など文化的な館が入っている。
「Cafe Carlu」は正面入り口から入ってまっすぐのところにあり、大きなブロンズ像やエッフェル塔をながめながら、なんとなく文化的雰囲気にひたることができるのがうれしい。博物館に入るにはそれぞれ入場料金がいるが、「Cafe Carlu」は入場料はいらない。
◎アドレス:1 Place du Trocadero, Paris 
◎営業:オープン日時は博物館に準じている。火曜は博物館と同様に定休日

(2012年9月13日号)

 



 
(c)e-Nikka all rights reserved