【世界の街角から】

個人収集家の味わいある絵が中心
パリの個性的な美術館めぐり


〈 いろもとのりこ・記 〉

パリにはルーブル、オランジュリー、オルセー、ピカソ、国立近代美術館をはじめ大きな美術館や、個人的な小さな美術館を入れると数え切れないくらいのアートギャラリーがある。これらのなかで比較的小さく、個人の収集家が集めた作品を中心に展示している個性的な美術館を紹介しよう。

■マルモッタン美術館(Musee Marmottan Monet)
パリ市内の西端、ブローニュの森に近い16 区の高級住宅街にある、一見、美術館らしくない美術館がマルモッタン美術館(Musee Marmottan Monet)である。館名にモネの名前が入っているようにクロード・モネのコレクションで有名。特に「印象・日の出」(1873年)はこの美術館を訪れる人たちに一番人気となっている。


▲パリ16区の高級住宅街にあるマルモッタン美術館


▲美術館の中庭

この建物は美術収集家のポール・マルモッタンの邸宅を改造したもので、彼の死後、アカデミー・デ・ボザールに寄贈され、1934年から美術館として公開されている。マルモッタン自身の収集には印象派の作品はなかったそうだが、モネの医者の関係やモネの親族がモネの作品を多数寄贈したり、ほかにも多くの個人コレクターからの寄贈を受けて今日のような印象派絵画の美術館として親しまれるようになった。
「印象・日の出」のほかにルノワールが描いた「クロード・モネの肖像」(1872年)やモネの「睡蓮」(1915年)、ベルト・モリゾーの「舞踏会にて」(1875年)、さらにシスレー、ピサロなどの作品がある。また、常時展示している作品とは別に季節によって個人の作品展も行っている。大きな美術館にはないアットホームな雰囲気がより作品に親しみをわかせてくれる。

Musee Marmottan Monet
◎アドレス:2 Rue Louis Boilly 16e
◎オープン時間;午前11時〜午後6時(月曜休館)
日本語のオーディオガイドあり
www.marmottan.com

■ジャックマール・アンドレ美術館(Musee Jacquemart-Andre)
パリの中心地に近いところにありながらお城のような雰囲気を持つクラッシックな美術館である。展示されている作品もイタリア、ルネサンス、18世紀のフランス、オランダなどの絵画、ルーベンス、ボティチェリー、レンブラントなどの作品やゴブランのタピストリー、工芸品などクラシックなものが多い。


▲まるで宮殿のようなジャックマール・アンドレ美術館。右の白い幌(ほろ)があるところがティールーム


▲豪華な内部

この建物は銀行家エドワール・アンドレと妻の画家ネリー・ジャックマールの邸宅として1869年に建てられたものが美術館として公開されている。美術館の所蔵品はふたりが収集したものが中心になっているが、季節によって近代画家の作品展を催すこともある。
この美術館の特色はルイ16世時代の豪華な様式を取り入れたお城のような邸宅と贅(ぜい)をつくした調度品の数々。夫妻のダイニングルームがティールームとなっているので、お茶をいただきながら、しばし、クラッシックな雰囲気にひたるのもいい。

Musee Jacquemart-Andre
◎アドレス:158 Blvd Haussemann 8e
◎オープン時間:午前10時〜午後6時(年中無休)
日本語のオーディオガイドあり
www.musee-jacquemart-andre.com

■ニッシム・ド・カモンド美術館(Musee Nissim de Camondo)
パリ市内、日本大使館近くの季節の花が美しいモンソー公園にほど近いところにあるニッシム・ド・カモンド美術館。ふつうの住宅街の一角にあるので入り口はあまり目立たない。ここは装飾芸術美術館として知る人ぞ知る美術館である。前述のジャックマール・アンドレ美術館とそれほど遠くない。


▲フランス国旗が目印になっているニッシム・ド・カモンド美術館


▲美術館の内部のポスター

ユダヤ系の銀行家、カモンド氏が20世紀の初めに建設した邸宅が美術館として寄贈されたもので、彼の息子の名前、ニッシムがつけられている。いかにも資産家の邸宅らしく、高度な調度品が見もの。家具や食器類、キッチンの銅なべ類も見事にそろっている。

Musee Nissim de Camondo
■アドレス:63 Rue de Monceau 8e
■オープン時間:水曜〜日曜、午前10時〜午後5時30分(月曜&火曜休館)
www.lesartsdecoratifs.fr

(2012年9月20日号)

 



 
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