【ひと】

インコの色に魅せられて・・・
ろうけつ染め染色家、SAYAKA 三輪清香さん


3年ほど前、京都のろうけつ染め工房を退職してトロントにやってきたろうけつ染め染色家の三輪清香(みわ・さやか=SAYAKA MIWA)さん。「海外はアーティストが活動しやすいところ」という周囲の評判を聞いてこの町を選んだという。目下、12月9日(日)にトロントの The Great Hall で開催されるファッションイベント「HANABI Market and Show 2012」(主宰:倉掛俊大朗)に出展する作品作りに追われている。 SAYAKA さんの染色人生と作品を紹介しよう。


▲ろうけつ染め染色家、三輪清香(みわ・さやか)さん。取材中、いちばん簡単なろうけつ染めのデモンストレーションをしてくれた


▲イベント「HANABI」に出展するストール。ただいま制作中です

■絵と動物好きからインコのろうけつ染めを
清香さんは鹿児島県鹿屋(かのや)市出身。地元の高校を卒業後、兵庫県西宮市の大手前大学美術科に入学。入学後、1年目で染色科を選んだ。


▲大手前大学時代の専攻科展 に出展した作品(2008年、同大学にて)

「小さいころから絵が好きだったのですが、きっかけは山下清さんのちぎり絵を見て、あの色使いに幼いながら目を奪われました」
ろうけつ染めは大学に入って、美術全般の1基礎課程で学んだのが初めてだった。
「ろうを色を染めたくない部分に筆で浸透させ防染し、その上から色を染めていきます。その工程を何回も繰り返していくうちに時には自分では想像も出来ない柄が出来る時もあります。その染料で染め重ねていく色の変化に大変興味を持ち、ろうけつ染めで作品を作って行きたいと思いました」


▲作品「インコ」。何羽かのコンゴウインコ、岩肌、枝は別々に染色し、取り外して場所を入れ替えることが出来るようになっている


▲動物のろうけつ染めをジグソーパズル用に箱に張りつけた作品(2007年、大阪での展覧会に出展)

作品を見るとインコの中でも色が鮮やかなコンゴウインコを柄にしたものが目立つ。
「もともと動物が好きでいろいろな動物を柄にして染めていたのですが、インコの鮮やかな色に魅せられました。大学の卒業作品もインコをテーマにしています」
動物好きは実家の父親が獣医さん、ということもあるようだ。


▲京都の工房で働いていた時の作品(2007年、 ニ人展に出展)


▲着物の柄の一部(2007年)


▲上の写真と同じ着物の柄の一部

大学4年を卒業後、さらに2年間、同大学の染色専科で学ぶ。その後、京都のろうけつ工房で2年半、ろうけつ染め職人として働く。

■トロントに活動の場を求めて
日本では工房に勤務するかたわら、京都や大阪で作品をグループ展に出品したり、一見、順調に進んでいた。しかし、清香さんは「このままでいいのだろうか?」という疑問を持ち始めた。と同時に「いつか海外で制作活動してみたい」という思いがつのってきた。
そんなとき、「海外はアーティストにとって活動しやすい」というちまたの情報を得、とりあえずワーキングホリデービザで来加することになった。28歳のときである。
「どの世界でもそうかも知れませんが、日本はあまりにもしがらみが強いと思います。その点、カナダは何のしがらみもなくて自由でいいですね。反面、すべて自分で切り開いて行かなければなりませんが・・・」。
トロントに来た当初は、まず、語学学校に行って英語の勉強をした。ある程度会話ができるようになってカナディアンのレストランで働きながら、自宅で制作を続けている。今年3月に開催された東日本大震災支援の義援金募金イベント「IRO 〜A Night of Fashion and Music for Japan〜」(主宰・倉掛俊大朗)にも作品を出展した。
当面は12月9日にトロントのThe Great Hall で開催されるファッションイベント「HANABI Market and Show 2012」に出展する作品の制作に追われている。

■将来の夢はお店を持つこと、ろうけつ染め教室を開くこと
いくら自由な活動ができるトロントでも作品の価値を認められるのは容易ではない。染め付けからパネルにしたり、ストールなどは全部自分でつくる。さすがに着物は自分では縫えないそうだが・・・。
「カナダでは絵とろうけつ染めのちがいを分かってもらえないことが多いので説明するのに苦労します」と。染め物は素材の生地と色が勝負である。染色の良さをわかってもらうのが難しいゆえに値段のつけ方も難しい。
それでもトロントの生活が気に入っている 清香さんは、これからもトロントを拠点に制作活動を続けていきたいそうだ。 将来は、自分の作品をクラフト店に置かせてもらったり、さらには「自分の店が持てればいいですね」。また「ろうけつ染め教室を開いて教えることができればいいなあ、と思っています」
http://chayakamiwa.web.fc2.com/

〈 取材・いろもとのりこ 〉

(2012年11月29日号)



 
 


 
 
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