【世界の街角から】

キューバを知る旅(2)
オールドハバナを散策


〈 トロント 松井祐実・記 / 写真撮影: Richard Severin 〉


滞在先のリゾート地、バラデロ(Varadero)のホテルに入っている旅行業者に、キューバの首都、ハバナツアーを申し込んで日帰り観光をすることにした。たいてい主要なホテルには旅行代理店が入っているので、簡単にツアーを申し込むことができる。キューバは社会主義なので、どこでも一律同じ金額である。クレジットカードも使える。ただし、アメリカ発行のカードは使えないので気をつけよう。


▲世界遺産にもなっているモロ要塞。ハバナに4つある要塞の中で一番眺めがいいところ


▲モロ要塞から見たオールドハバナの町

ツアー当日、午前8時30分にバスが来る予定であったが、15分ほど遅れて到着。キューバらしい。行きがけに他のホテルを何軒か回り、お客さんをピックアップして、目指すはハバナ(Havana)。
ハバナへの途中、マタンザス(Matanzas)という町を通り過ぎる。この町は、革命前はハバナと並び第2の都市として栄えていて、漁師の町として知られていたとのこと。
マタンザスからハバナへ向かう大通りに出ると、たくさんの人がヒッチハイクをしているのが見える。キューバは交通事情がとても悪いのでバスを待っていても時間通りに来ないことは当たり前。何時間も待たされることもあるようだ。人を乗せているタクシーはもとより、観光バスにまでヒッチハイクを求めてくる。ヒッチハイクをしている人たちは真剣そのもの。不謹慎だが見ていて楽しい。

最初の観光場所は、ハバナの町に入る手前のハバナ港先端に位置するモロ要塞(ようさい)。ハバナには、4つほど要塞があるが、その中でこのモロ要塞は一番有名だそうだ。特にモロ要塞から見る対岸のハバナ旧市街「オールドハバナ」の景色はとてもすばらしい。ちなみに、4つの要塞とオールドハバナは世界遺産である。
バスに乗り、対岸のオールドハバナ市内へと観光が続く。私が人から聞いて想像していたハバナはもっと崩壊しているイメージがあったが、実際に行ってみると、かなり改修工事などが盛んに行われていて、そのイメージは覆された。


▲革命博物館


▲革命広場。左手に見える内務省の建物にはチェ・ゲバラの顔、右手の郵政省の建物にはカミーロ・シエンフエゴスの顔が描かれている。いずれもキューバの歴史に残る革命家である

バスから降りたのは、オールドハバナにある革命博物館の前。約15分ほどのフリータイムで、周辺を一周してみることに。この革命博物館は革命前は大統領官邸として使われていて、革命後は博物館として利用されている。
次に、革命広場へ。ここはどのツアーも必ず行く場所である。私たちには何もない、ただ、だだっ広いだけの広場であるが、キューバ人にとってはとても重要な場所なのであろう。政府の建物が並んでいて、その建物の壁には革命家のチェ・ゲバラとカミーロ・シエンフエゴスの顔が描かれている。その建物の反対側にはやはり革命家のホセ・マルティの記念碑が建っている。

30分ほどのフリータイムの後、葉巻好きにはたまらない高級葉巻 Cohiba のお店訪問。お店に入ったとたん葉巻の強烈なにおいが立ち込め、私はすぐにおいに負け、せき込み、お店から出ることにした。お店を出ても咳(せき)はとまらず、具合が悪くなり、30分ほど他のツアー客を待ち、やっと次の場所へ移動となる。タバコなどのにおいがダメな人は最初からこういうお店に入ってはいけませんね。


▲キューバの旧国会議事堂。アメリカ合衆国議会議事堂をモデルに造られたとのことだ


▲ガルシア・ロルカ劇場。キューバ・クラッシック・バレエの本部である。とても立派な建物で歴史を感じる


▲レストラン「エル・フロリディータ」の中にある文豪アーネスト・ヘミングウェーの銅像。たくさんの観光客がここを訪れる


▲とても感じのよい中庭があるレストラン兼ホテル。スペインの建築様式がそのまま取り入れられた造り。暑い場所がら吹き抜けで暑さをしのげるように考えられた建築様式だとか

バスを走らせ、次はお待ちかねのランチ。レストランは街中にあり、約10分歩く。その途中、市民公園、旧国会議事堂、劇場などを横切る。レストラン「El Floridita(エル・フロリディータ)」に到着。ここは、文豪アーネスト・ヘミングウェーが通いつめるほど愛したといわれるキューバン・ダイキリの発祥の地だ。メニューには今でもラム酒2倍で砂糖抜きの「パパ・ヘミングウェー」と呼ばれるダイキリがあるという。そして、ヘミングウェーがいつも座っていた席には彼の銅像がある。観光客でとてもにぎわっている。ツアーのメニューにはダイキリが1杯含まれていたので、私はアルコール抜きのダイキリを飲んだ。

食事後、レストランから出ると、ものすごい土砂降りになっていた。バスが来るのを待ち、雨がやむのを待つが一向にやみそうにもない。予定ではウォーキングツアーだったのだが、急きょ、マーケットで1時間ほど時間をつぶすことに変更。マーケットの中にまで雨水が入り込んでいた。

1時間後、バスから車窓にて教会などを観光をすることになった。やがて雨も小降りになってきたので、バスから降りて、ウォーキングツアー再開。カフェなどがある路地を通り抜け、まずはバレンシアホテルへ。ここは18世紀後半に建てられた政治家アルデルマン・ソトロンゴの私邸で、現在は1階がパエーリャがおいしいと評判のレストラン、シガーショップ(葉巻のお店)、2階がホテルとなっている。中庭がとても美しい、スペインの建築様式をかもし出している。


▲市立博物館。もともとはスペイン総督官邸だった。中庭の中央に建っているのはコロンブスの銅像

続いて市立博物館へ。ここはもともとはスペイン総督官邸だったが、その後、大統領官邸、さらに市庁舎として使われ、現在は市立博物館として使われている。建物の前の道はキューバ産の木材が石畳のように敷かれて いるが、これはその昔、スペイン総督が馬車のひづめの音がうるさいということで、石畳が石から木へ変えられたということだ。


▲ヘミングウェーが定宿にしていたホテル「Ambos Mundos」。「誰がために鐘は鳴る」を執筆していた部屋を見学することもできる

ここから私たちはヘミングウェーがとても気に入って定宿としていたことで知られるホテルアンボス・ムンドス(Ambos Mundos)へ。1階のロビーにはヘミングウェーの写真が壁にたくさん飾られ、多くの観光客が訪れている。1階にはカウンターバーがあり、モヒートが1ドルと格安で飲める。
ホテルをあとにし、オールドハバナの中心、カテドラル広場を拠点に30分ほど自由散策となる。カテドラル広場は普段はもっと観光客やお店などでにぎわっているそうだが、雨のためかそれほど観光客は見かけなかった。観光客を目当てに、キューバ人が写真を撮ってと言ってくるから気をつけよう。写真を撮った後は必ずお金を要求してくる。同じツアーに参加したイギリス人は2人の女性に囲まれ、15ドルを請求されたが、3ドルに負けさせたと言っていた。


▲オールドハバナの中心にあるカテドラル広場。中央の建物がカテドラル


▲地元キューバ人のおじさん。「写真を一緒に撮ってくれ」と言ってきた。「お金ないよ」と返事したら、「それでもいいから撮って・・・」

カテドラル広場からいくつかの小さい通りがつながっているので、散策してみることにした。古い町並みの残る通りであった。キューバとスペインの文化が入り混じった面白いところである。
散策も終わり、バスに乗り、各ホテルへの送迎、ツアーも終わりを告げる。途中から雨のお天気に変わったのが残念であり、またハバナのことをもっとよく調べてからツアーに参加したら、もっと違った目で見られたと思った。それでも、とても充実した内容のツアーであった。〈おわり〉

(2013年1月24日号)



 



 
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