【ニッポン企業・イン・カナダ】

来年の創業50周年を前に・・・
カナダトヨタ・一井誠二社長にインタビュー



▲カナダトヨタ・一井誠二(いちい・せいじ)社長

カナダトヨタ社は、カナダ全国にトヨタ販売店247カ所、レクサス販売店37カ所を展開、従業員は580名(2013年2月現在)と、大規模な販売ネットワークを擁している。
社長の一井誠二(いちい・せいじ)氏は、かつて、1989年から1993年まで日本から出向してトロントに駐在したことがある。カナダの自動車マーケットに精通しているビジネスマンといえよう。3月15日、トロント市スカーボロにあるカナダトヨタ社を訪ね、一井社長にインタビューした。〈取材・色本信夫〉


▲カナダトヨタ社

まず、カナダにおける自動車マーケットの概要についてうかがった。
「マーケットは好調です。昨年は、自動車メーカー全体で167万5,000台を販売しました。これは過去最高であった2002年の170万台に迫るもので、史上2番目の実績です。アメリカはリーマンショックで打撃を受けたあとだいぶ戻ってきてはいますが、カナダはアメリカほどの落ち込みは見られなかった。こうした中、たとえば不動産が下降ぎみといったように、このところカナダの経済がスローダウンしているのが私たちの気がかりとなっています」
カナダにおけるトヨタ車の工場は、オンタリオ州のケンブリッジとウッドストックの2カ所に工場、、BC州バンクーバーにアルミホイール工場がある。
カナダで生産している車種と台数は?
「カローラ、マトリックス、RAV4、レクサスRXで、これら4車種で年産50万台です。カナダトヨタ社で昨年は4車種を含め19万2,000台の販売を達成しています。市場でのシェアは11.5%です」
2012年の年間販売実績の内訳は、カローラ4万1,000台、マトリックス1万3,000台、RAV4は2万6,000台、カムリ1万8,000台など。
ここで、一井社長にトヨタの人気車種をおうかがいすると、ベストスリーは販売台数の多い順に、カローラ、RAV4、カムリを挙げる。これらはカナダトヨタ社の販売全体の44%を占めるそうだ。


▲Corolla


▲RAV4


▲Camry


▲Matrix

何をセールスポイントにしているのでしょうか。
「耐久性と信頼性ですね。これがベースになってお客様に買っていただいています。値段的にもサイズ的にもお求めやすいのだと思います。それからディーラーには高度なトレーニングを受けたサービスマンが配置され、充実したアフターサービスを行っています」
カナダトヨタ社の販売戦略についてお聞かせください。
「基本的には、品質の良い商品をお届けしているということです。『 Fun to Drive 』つまり、運転を楽しんでもらうことにも配慮を怠りません。きちんとしたアフターサービスも重要ポイントです。これらを総合して、お客様には気持ちよく買っていただいて、安心して楽しく乗っていただく。この気持ちを販売のモットーにしています」

日本は昨年末、安倍政権に変わり、「アベノミクス」経済政策により円高から円安に移りつつある。このため産業界に影響が出てきていると報じられている。自動車業界はどうなのだろうか。
「円安で、私どものビジネスはすぐに変化することはなかったです。円高とか円安によって値段をすぐ変えるわけにはいかないですからね。しかし、中長期的に考えれば、円安は企業としては助かるといえるでしょう」
為替問題でどの企業も損益の影響にさらされるのは避けられない。トヨタ車の場合は?
「カナダで販売しているトヨタの車は、2割が日本からの輸入です。カナダ製は5割、アメリカ製は3割となっていますので、ほとんどが北米製ということになります。ですから、日本で円が上がり下がりしても、その影響は少ないといえるかも知れません」
今、マスコミをにぎわせているTPP(環太平洋経済連携協定)は響くのでしょうか?
「自動車産業は基本的に自由貿易を考えに入れています。現在、日本からの車に対するカナダの関税は6.1%です。これがTPP参加によって緩和されると、だいぶ輸出しやすくなるのではないでしょうか。カナダのトヨタの場合、現地生産が高い比率を占めているので、TPPに大きく左右されることはないとは思います」



カナダトヨタ社は、来年2014年に創業50周年を迎える。前述の通り、カナダに3カ所の工場(組立工場2カ所、アルミホイール工場1カ所)を構え、年産50万台をあげている。この生産台数はGM、クライスラーとほとんど変わらず、フォードより多い数となっている。 一井社長は、「半世紀もの長い間、トヨタをご愛顧くださったカナダの消費者に感謝します。私どもトヨタは現地に完全に根を下ろしていることを申し上げたい。それだけカナダを重要視しているのです。今後とも魅力ある商品をお届けする予定です。お楽しみに・・・」と、創業50周年を前に、大いに意気を燃やす。

【一井誠二氏】
京都出身、55歳。京都大学経済学部卒、国際大学修士課程(国際関係学)修了。1981年トヨタ自動車入社。1989−1993年カナダトヨタ出向。その後、本社の調達部、北米部、TMMNA(Toyota Motor Manufacturing North America =トヨタモーターマニュファクチャリング)などでシニアポジションを歴任。2008−2011年アフリカ部部長。2012年1月カナダトヨタ社長に就任、現在にいたる。

(2013年4月11日号)



 



 
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