【世界の街角から】

ペルー紀行(その2)
インカ帝国の首都、クスコ


〈 いろもとのりこ・記 〉

5000年に及ぶとされているアンデス文明の中でもっとも栄えたのがインカ帝国である。政治と文化の中心としてクスコが首都になったのは15世紀前半、9代皇帝パチャクティの時代といわれる。次号で紹介する空中都市マチュピチュを造った王である。ちなみにクスコとはインカ族の公用語ケチュア語で「へそ」の意味。16世紀にスペインが征服するまで、まさにインカの中心として栄えていた。
リマから飛行機で約1時間のクスコは標高約3500メートルと、高地の都市である。訪れた3月は夏ではあるが、夜になると暖房が必要なくらい冷える。リマとちがって街行く人がインカ族の流れを感じる人が多い。クスコの人口は約32万人。現在は地方の小都市である。

■インカとスペインの文化・・・クスコ旧市街
リマと同じくクスコもスペイン式の街づくりで、まず中心にアルマス広場がある。広場に面して大きなカテドラルがあるのも同じ。周囲にはコロニアル風の建物が建ち並び、レストラン、お土産屋などが入っている。ホテルもこの近辺に多くある。広場から山手を見上げると赤かわらと白かべの家並みが美しい。


▲クスコのアルマス広場


▲アルマス広場から見える丘の家々


▲アルマス広場につながる通り。コロニアル風建物が並ぶ


▲クスコのあちこちで見かけた屋根の上の牛の像。守り神だそうで、沖縄のシーサーに似ている

現在広場から見える建物はほとんどスペイン人が建てたものであるが、インカ時代の石組みも残っている。「カミソリの刃」も通さないといわれるほど精密なインカの石組みは、その後、クスコ地方を襲った地震でもびくともしなかった。その代わり、その石組みの上にスペイン人が建てた建物はかなり崩壊したそうだ。

レストランシアター「Tunupa」
アルマス広場付近には何軒かペルーの民族音楽や踊りを見せてくれるレストランシアターがある。その中でも広場を見下ろし、カテドラルがよく見えるところにあるのが「Tunupa(トゥヌパ)」である。料理は昼、夜ともビュッフェ形式で好きなものを選んで食べられる。料金は一人75ソレス(約$37。ショーの料金込みの値段)。[注:文中の$マークはすべてカナダドルです]


▲レストラン「Tunupa」から見るアルマス広場の眺め

料理の種類は豊富。オードブルにはセビッチェ(係りのウエーターに好みの材料を言うと作ってくれる)、サラダ、パテ、巻き寿司まである。温かい料理はスープやペルーのアルパカ、チキン、牛肉、マス料理、パスタなど。デザートも約10種類ほどある。


▲ビュッフェ料理の中に巻き寿司もある

ところで、ペルーの飲み物とはどんなものがあるのだろう。ポップでは「インカコーラ」という黄色の甘い炭酸水が人気だ。ビールはクスコで生産している「クスケーニャ」やリマの「クリスタル」がよく飲まれている。クスケーニャは軽くてクセのない味で今回よく飲んだ。とうもろこしを発酵させて造るチチャというインカ帝国時代のアルコールもある。


▲「Tunupa」ではペルーの民族音楽と踊りが楽しめる

ショーは毎晩夜7時30分から9時30分まで行われる。5人の民族音楽楽団の演奏に始まり、途中でいろいろな民族衣装を着たダンサーたちが入れ代わり立ち代わり踊りを披露する。ペルー独特の竹笛サンポーニャの音色は哀愁をおびていて胸がきゅんとなる。
www.tunuparestaurant.com

■サービス行き届いたB&Bホテル「ガーデンハウス」
クスコで宿泊したのは、ダウンタウンのアルマス広場からタクシーで15分くらいかかる郊外の「ガーデンハウス」(Garden House)というB&B風ホテル。ここを紹介してくれたのは長年旅行のアドバイスをしてくれているトロントの加納トラベル。最初はちょっと不便かな?とも思ったが、ウェブサイトで見ると、雰囲気がアットホームな感じでよかったので、ここに決めた。これが正解だった。
クスコの空港に着くと、出口に私たちの名前を掲げた運転手が出迎えに来ていた。空港からは割合近く、10分ほどで到着。ホテルの門でオーナー自ら迎えてくれる。門からラベンダーのような紫の花がたくさん咲いている庭を通って建物に入る。スペイン風の中庭のある別荘のような造り。部屋に案内されてまた驚く。寝室とリビングが別になっていて、最初は広すぎて戸惑うほど。この時期はシーズンオフでお客は私たち1組だけだった。まるで貸し切りみたいなもの。


▲クスコのホテル「ガーデンハウス」は門から花いっぱいの庭を通って玄関へ・・・


▲ガーデンハウスの廊下。左側は中庭


▲ガーデンハウスのラウンジ

「ガーデンハウス」の経営者はマリアさんとセシルさんの姉妹。6年前に自宅をB&B風ホテルにしたという。マリアさんはバラ作りが趣味で、建物の周りにたくさんのバラが咲き乱れている。もっともバラは夏の季節だけで、冬(北半球の夏)は咲いていないそうだ。


▲ガーデンハウスのオーナー、セシルさん(左)とマリアさん(右)の姉妹。英語を完ぺきに話す


▲ガーデンハウスのバラ園

チェックインのときに手渡されたのは、いざというときの簡易携帯電話。泊まり客とホテルとの通話がボタンひとつで出来る電話だ。高山病になる観光客が多いため、「苦しくなったらすぐ呼んでください。酸素ボンベを持ってきますから・・・」と。また、街中に出た時、「帰りのタクシーも手配しますから、この携帯で呼んでください」と至れり尽くせり。タクシー料金はどこへ行くにも帰りも10ソレル(約$5)と決まっているとのことで安心。「そのかわり、他のタクシーは使わないように」と言われた。
朝食はお客の出発の時間に合わせて出してくれる。朝早い出発のときは早く、遅いときはおそめにと臨機応変。おいしいパンやジャム、ジュース、コーヒー、卵料理などが供される。きわめつきは、帰りのリマ行き飛行機のコンファメーションまでやってくれ、搭乗手続きもホテルのインターネットで済ませてくれたこと。
街中とちがって静かなおかげでぐっすり眠ることが出来、ゆったりした気分になれたことで高山病にかからなかったのではないかと思っている。この豪華な部屋は1泊$135(2人で)。 WiFi も入っていて、インターネットは問題なく通じる。時々、カナダの地方都市のホテルで接続が面倒なことがあるのに比べると、ペルーの方が進んでいるのかしら?と思ってしまう。ここにはマチュピチュの行きと帰りに泊まった。
www.cuscohouse.com

次回はいよいよマチュピチュへ。(つづく)

(2013年4月11日号)



 



 
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