【留学センター】

利用者の身になってサービス、広いネットワークを駆使
トロント「ウィル留学センター」


1986年に始まったワーキングホリデー制度。このビザを利用して日本からカナダに大勢の若い人たちが訪れるようになった。それにともなって留学を希望する人も増えた。当初はカナダ側の受け入れが十分でなかったこともあって、「こんなはずじゃなかった」という人も少なくなかった。
しかし、現在は彼らがより楽しく、また有意義にカナダでの生活を送ることができるような民間のサポートセンターができていて、めぐまれた状況といえよう。そうしたセンターのひとつ、サービスの良さとネットワークの広さを誇るトロントの「ウィル留学センター」を訪ね、ディレクター兼マネジャーの山根耕治(やまね・こうじ)さんにお話を伺った。

■豊富なサービス内容
「ウィル留学センター」は2004年に「オール・イン・ワン・トロント」という名称で日本人と韓国人を対象に発足したが、2007年に日本人部門を分社化し「ウィル留学センター」と名称を改めた。場所はトロントの中心街、ヤング×エグリントン角で、地下鉄駅構内から直接行けるという便利のよさ。
「センターが発足した2004年ごろはワーキングホリデーの人たちが急激に増えた時期でして、以前は日本のエージェントでこちらの英語学校やホームステイ先を契約してくる人が多かったのです。彼らの中には法外な手数料をとられたり、希望していたのとはかなり違った条件だったりと、トラブルも多かったようです」と山根さん。
これらのトラブルは日本のエージェントが実際にはトロントの状況を知らなかったり、ホームステイ先もペーパーだけで判断していたことによるものが多いそうだ。


▲ヤング×エグリントン角にある「ウィル留学センター」のオフィス


▲「各種パンフレットや生活情報に関するファイルも豊富です」と、マネジャーの山根耕治さん

「ウィル留学センター」のおもな仕事(サービス)をあげてもらった。

◎語学学校の紹介・・・日本ですでに学校を決めてくる人も多いが、「ウィル留学センター」では毎週水曜に語学学校から先生を招き1時間の無料英語クラスを開催している。
「授業のあと、実際に学校で無料の体験入学を受けて、学校やコースを決めてもらうというサービスや、オフィスに来られたお客様に学校カウンセリングをさせていただいて、数校の体験入学後、ご自身に合った学校を紹介しています」


▲センター内で行われる英語の無料授業風景

◎ホームステイの紹介・・・基本的に期間は4週間から。ホームステイを受け入れる家庭にスタッフが直接行って条件に見合っているかどうかチェックした上で紹介することになっている。
「受け入れ先は英語を話す家庭ですが、多民族のトロントですから必ずしも白人ばかりではなく、さまざまな国籍を持った家庭ということもあるわけです。そのことはもちろん、前もって伝えています」
ホームステイの料金は平均3食付きで月750ドルと、かなりお得な価格設定だ。ホームステイを経験したあとはルームシェアやアパートを借りて自分たちでカナダの生活を体験する人が多い。中にはホームステイを長く続ける人もいる。

◎セミナーやイベント開催・・・テーマは生徒たちからの要望やアンケートで決めるのがほとんど。特に要望が多いのは旅行や仕事探しに関すること。カナダ国内、南北アメリカのおすすめ旅行先などを旅行会社の専門家に来てもらって講習してもらう。これらのセミナーにはだれでも無料で参加できる。またワーキングホリデーの人のためのジョブセミナーや飲食業を希望する人のためのセミナーなども行っている。


▲イベントのひとつ「ハロウィーン・パーティー」


▲食べ会イベントも・・・


▲トロントのロジャースセンター球場で日本人選手の応援を

イベントでは野球観戦(ブルージェイズのチケット販売)やトロントでの多国籍レストランの食べ歩きツアー、そのほか季節の催しものへの参加など多岐にわたっている。

◎学生ビザ&移住ビザのアドバイス・・・基本的にはセンターで直接ビザに関しての手続きはできないが、専門家とのエージェント契約により、専門家を紹介したり、アドバイスをするサービスを行っている。

◎仕事の紹介・・・特に仕事の斡旋(あっせん)事業は行っていないが、センター内の掲示板に求人欄があり、そこで見つけることができたり、紹介することもある。またセンターに企業やレストランから人材紹介の連絡が入ることもある。
利用者は主にワーキングホリデーで来加する人、留学生のほか、観光で短期滞在する人や駐在員や駐在員の奥さんなどもいて、個人レッスンのチューターの紹介も行っている。

■努力が実ったネットワークの広さ
「ウィル留学センター」が信用を高めてきた理由のひとつに明確な料金システムとネットワークの広さがある。サービスの料金は細かく有料と無料が明確にされていて、利用者が安心して申し込めるようになっている。また、メンバーシップの制度もあり、これにも多種の無料サービスが含まれている(詳細は後述のウェブサイト参照)。
「うちのセンターで一番の特色はネットワークの豊富さです。特にここ1年間でのネットワークの広がりは日本はもちろん、アジア各国、南米、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパなどと通じていますし、海外生活のすべてを網羅しています。特にトロントでの医者、弁護士、移民コンサルタントとのコネクションもありますから、何か困ったときはお役に立つと思います。これらは一朝一夕にできたわけではなく、長い年月を経てやっとここまでこぎつけたという思いです」
常駐のスタッフは現在4人。全員がカレッジ以上を卒業し、留学経験のある人。それだけに日本から来たばかりの人の苦労も理解できるという。
「スタッフが親身になってお世話をし、定着しているので助かります。スタッフの入れ替わりが頻繁に行われるトロントの留学センターの昨今の現状で、利用する側もいつ行っても同じ人がいることで安心するのです」
たとえば、観光で来て利用した人が今度は留学やワーキングホリデーで来て、再度利用する人もおり、そんな時でも同じスタッフがいれば「安心」というわけだ。
しかし、利用者の中には「何でも頼めばやってくれる」と勘違いする人もいる。「あまりに私的なことは自分で解決するのも海外生活を経験する上で大事なことですから、本人のためにお断りすることもあります」

■語学だけでなく人間の成長を助けるのを生きがいに
日本から海外へ留学するというと、まず、「語学の上達」が重要視される。もちろん、それも大切だが、山根さんはそれだけではないことをある経験から学び、それを生きがいのひとつにしたいと思うようになった。
「ある時、ワーキングホリデーでいわゆる今風の女性が『語学学校を紹介してほしい』とやってきました。その人は日本で大学を卒業したあと、数年フリーターをしていて特に目的もなくカナダにやってきたという感じでした。3カ月ほど学校に行ったあと、『仕事を探している』というので、たまたま知り合いの居酒屋に求人があって紹介しました。内心、勤まるか心配でした。その後、なんの連絡もないのでなんとかなっているのだろうとは思っていました。そして、ビザが切れるころ『お世話になりました』と挨拶にきたのです。結局、同じところに約9カ月働いていたのでした。彼女は『こんなに楽しく働けたのは初めてです』と話してくれ、初めて来たときと比べて大きく成長したのを見て感動しました」と語る山根さん。
「海外で生活することは語学だけでなく、人間として成長することができるのだということを目の当たりにしました。海外生活を通して人としての成長をサポートできれば、そして最終的に『ありがとう』といわれるようにしたいと思っています」
また、さらなるネットワークの充実にも力を入れていき、留学プラン、専門技術研修など各種、点と点がつながるよう目下努力中だという。
www.willca-ryugaku.com
facebook.com/willcanada

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山根耕治マネジャーのプロフィール
兵庫県神戸市出身、34歳。大阪学院大学経済学部卒業後、1年間トロントに語学留学する。帰国後、食品会社に就職し、大丸デパートに出向。主に外国人との対応を任されていた。2年間勤務したあと、2005年、再度海外に挑戦したいとの思いでワーキングホリデーで再びトロントへ。
「中学生のとき阪神淡路大震災を経験して、人生観が変わりましたね。人生一瞬先はわからない、と。生かされているという思いと同時にやりたいことをやらなければ後悔すると強く感じました。学生時代に母とアメリカ旅行しまして、そのときもっと語学ができれば楽しめるのに・・・と思ったのが留学のきっかけです」


▲2007年2月、フロリダ州タンパでのヤンキース・スプリングトレーニングで松井秀喜選手の取材をした時の山根さん

「山根耕治」の名前で2005年から2008年にかけて、日加タイムスにたびたびブルージェイズや大リーグについて記事を執筆していたのを記憶している読者も多いだろう。なんと彼は高校時代、1996年甲子園に出場した経験を持つ「甲子園球児」なのである。小学校、中学、そして神戸の神港学園(しんこうがくえん)に進学して野球に励む野球少年だった。守備は外野。しかし大学時代に肩を痛めて現役を退いた。
トロントではジョージブラウン・カレッジで1年間「Sport and Event Marketing」のコースを学び、ブルージェイズの球団関係者とのコネもある。
2008年「ウィル留学センター」に勤務し、昨年からディレクター兼マネジャーとして活躍している。

〈 取材・いろもとのりこ 〉

(2013年4月25日号)



 
 


 
 
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