【Patisserie / べークショップ】

「手を抜かない、一つひとつ心をこめて・・・」
竜介(りょうすけ)のお菓子屋さん
「mon K patisserie」オープン


トロント日系文化会館の春祭りや新年会などで大人気のベーカリー・ブースのお菓子屋さん、喜多竜介(きた・りょうすけ)さんが、5月11日、ついにPatisserie(パティスリー=べークショップ)をオープンした。場所はイーストヨーク地域。店名「mon K patisserie」は、フランス語のmon(私の)とKは家族やキッチンを表している。もっか6月12日(水)のグランドオープンをひかえてプレ・オープンといったところ。


▲イーストヨーク地域に開店したおしゃれなケーキ屋、「mon K patisserie 」


▲オーナーシェフの喜多竜介(きた・りょうすけ)さん

竜介さんは大阪府岸和田市出身、39歳。コテコテの関西人である。トロントでのパティシエ(菓子職人)までの道のりをうかがってみた。

★出発点は日本料理の職人から
「日本では一品料理屋、今でいう居酒屋で8年間、日本料理を作っていました」と、意外な経歴。1999年にワーキンホリデービザでトロントへ。「最初から移住するつもりで来ました。知り合いを通じて一力レストランのオーナー、勢力稔(せいりき・みのる)さんを紹介してもらい、そこで働いて移住ビザも取ってもらいました」。ラッキーなスタートだったようだ。
「トロントに来る前はここで日本食を広めたい、と考えたのですが、勢力さんの紹介でフランス料理シェフ、田丸雅行(たまる・まさゆき)さんに会ってフランス料理の道に入ったのです」 
その後、インターコンチネンタルホテルのシェフ・デ・パーティーとして働くかたわら、かけもちでフランス料理店「Celestin」のデザートやパンを焼いたりして腕を磨いていた。当時は「働きに働きまくっていた」そうだ。
パティシエとしての始まりはこの「Celestin」のベーカリーシェフ(レストランのオーナーの弟、マルシアさん)に出会ったこと。いわば、お菓子作りに目覚めたわけである。「Celestin」のオーナーは車椅子シェフでありながら腕利きのシェフとして話題になっていた。ここで約8年間働いた竜介さんは「Celestin」のオーナーが代わったのをきっかけに隣のベーカリー部門「Thobors =トーボーズ」(マーク・トーボーさんがオーナー)に移り、ここで約5年間ペーストリーシェフとして働く。 この間にマークさんの紹介でパリのパティスリーでも1カ月ほど働いて本場の菓子作りを学んだ。「やはり、本場はちがいますね。すべてが勉強になりました」。

★40歳までには独立を
「前々から自分の店を持ちたいと考えていました。遅くとも40歳までには・・・と」と語る竜介さん。3年ほど前から物件を探していた。3年前にも独立のチャンスはあったが、ちょうど奥さんの直美さんが3人目の子供を妊娠していて「ちょっとムリ」ということに。現在、6歳、4歳、2歳の女の子2人、男の子1人、計3人の子育てをしながらお客の応対やキャッシャーなど店を仕切る直美さん。


▲すっきりした店内にはテーブル席もある


▲ずらり並んだケーキ類。下段中央が「ロック・カスタード」

こうした家庭環境から、店のロケーションは職住接近が第一条件である。トロント市内イーストヨーク地区に自宅があることから、お店も当然同じエリアを探していた。「ちょうど Coxwell と O’connor 近辺の小さな商店街にベーカリーの貸し店舗が出たんです。この店は代々ベーカリーが続いていて、私たちの店で3件目のベーカリーになります」。
「ヨークビルやクイーンなど、いわゆるトロントのおしゃれゾーンに店を出せればいいんですが、レントが高いので、それが商品に反映して高価なお菓子になってしまいます。トロントダウンタウンから少し離れたところですが、おいしいお菓子を提供し、地元の人に喜ばれる店に育てていきたいです」と。

★手を抜かずに確実に
朝4時起きでお菓子作りの仕込みにかかる竜介さん。お菓子作りのモットーは「手を抜かず、一つひとつを確実に心をこめて作り上げること」だそうだ。基本的にはフランス菓子をベースに自分のオリジナル性を生かして行くこと。
ここで、どんなパティスリー類やパン類があるのか、主なものを挙げてみよう。
◎ケーキ類:ロック・カスタード(一番人気の「かりっと、とろり」の岩シュー)、ガトー・ショコラ、ストロベリーケーキ、タルト(アップル、アプリコット、ペアー、ストロベリー)、ティラミス、エクレア、マンゴ・グリーンティーケーキ、フルーツ・パウンドケーキ、レモンメレンゲ、ほか



◎パン類:クロワッサン、アーモンドクロワッサン、デニッシュ、バゲット、キッシュ類、ほか


▲自慢のマカロンも人気のひとつ

◎マカロン:バラエティー味6種(季節ごとに変わる)


▲クロワッサン、デニッシュ類

ざっとこれだけの種類のものをたった一人で作るのである。当分はアシスタントも雇わず、直美さんと二人三脚で切り盛りしていくそうだ。

▲奥さんの直美さんはお客の対応に忙しい

口にふわっととけるおいしいケーキが人の心を和ませてくれる。そんなお菓子作りに人生をかけている竜介さん。これからも幸せを運んでくれるお菓子をいっぱい作ることだろう。

【mon K patisserie】
1040 Coxwell Ave., Toronto (Danforth Ave.の北、O’Connor Dr.の南)
■Tel:416-696-8181
■営業日時:水曜〜土曜午前9時〜午後4時
※6月12日から火曜〜土曜午前9時〜午後4時
www.monkpatisserie.com

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【インタビューを終えて】
「mon K patisserie」の前の道路にパーキングメーター付き駐車スペースが約20台分くらいある。1時間$1.50。思わず目を疑った。ダウンタウンでは30分$2.00〜$2.50がふつうだから。「いや〜それだけここは田舎ということですよ」と竜介さん。でも大丈夫、おいしければ少々遠くてもお客さんは行きますよ。ひところ話題になった、ソフトクリームを求めて東京から清里高原(山梨県)まで何時間もドライブし何時間も並んだり、讃岐うどんを食べるために夜行バスで四国まで行く国民性の日本人ですから。もし、遠くからトロント方面に足を伸ばすことがあれば、「mon K patisserie」に寄ってみてはいかがでしょうか。甘〜い幸せいっぱい気分に・・・。

〈 取材・いろもとのりこ 〉

(2013年5月30日号)



 
 


 
 
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