【カナダ観光めぐり】

バンクーバー島西海岸への旅
トフィーノ、ユクルーレット、そしてホエールウォッチング


〈 バンクーバー島コモックス ヒル厚子 〉

バンクーバー島はどこへ行っても美しいが、中でもとりわけ人気のあるのが西海岸(太平洋側)である。最近は東日本大震災のがれきが流れ着いてきているので、よく耳にする地域である。コモックス(Comox=バンクーバー島の東海岸)のような美しい場所に住んでいる人々でさえ、西海岸に別荘を持つ人や定期的に休暇で出かける人々も多い。
気候の良い3シーズンだけではない。冬にも人々は足しげく通う。冬の見せ場は嵐と高波である。高級リゾートなども建物の海側に大きな窓を設けて、部屋の中から突風と岩にたたきつける10メートル以上もある高波が見物できることを売り物にしている。
私も夏、秋、冬と何度か通ったが、いつも良いお天気で冬の名物「嵐」は幸か不幸か見物できなかった。


▲トフィーノの最長寿住民(?)Elk Cedar。樹齢700年以上。Jamie’s Whaling Station のすぐ隣にそびえ立っている【以下、写真は、クレジットが入っているもの以外はヒル厚子撮影】


▲トフィーノの港

今年の夏は、鯨を見に行こうということで足を運んだ。西海岸のホエールウオッチングは4月末から8月末がピークである。観光船はトフィーノ(Tofino)やユクルーレット(Ucluelet)という町から出ている。これらの地域へはナナイモ(Nanaimo)からハイウエー19号線→4W(またの名を Pacific Rim Hwy)をたどれば、ほぼ一本道で到達できる。
コモックスからもナナイモからも約200キロあまり3時間の旅である。ハイウエー4WがT字にどんづまりになる所で右に行けばトフィーノ、左に行けばユクルーレットで、トフィーノとユクルーレット間は約40キロ。どちらもそれぞれの町から先に道はない。
トフィーノ側には長い砂浜の続くPacific Rim National Park(パシフィック・リム国立公園)がある。
http://www.pc.gc.ca/eng/pn-np/bc/pacificrim/index.aspx

太平洋の広い水平線が見え、あの向こうに日本があるのだと思うと、なんとも懐かしい気分になる。太平洋にむき出し状態なので津波の危険も大きく、所々に避難案内のサインが立っている。「バンクーバーはバンクーバー島が防波堤になっているので、津波はバンクーバー島が沈むまでは大丈夫だ」と冗談を言う人がいる。この西海岸はまさにその最前線である。


▲白頭鷲。バンクーバー島ではあちこちに見られる鳥である(Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com

夏はサーフィンや海遊びで賑わう。ハイキングトレイルもあり美しい海や森の両方を楽しめる。国立公園なので使用料を払わないといけないが、トフィーノの町とユクルーレット側は国立公園ではないので公園内に停車しなければ使用料はいらない。
観光地といえども、これらの地域はまだまだ田舎なので、駐車場でクーガーに襲われたとかトレイルでオオカミに遭遇したというニュースを頻繁に耳にする。十分な注意が必要である(私たちも今回ユクルーレットの町はずれを散歩していてオオカミに遭遇した)。


▲今回利用した Jamie’s Whaling Station というホエールウオッチングを提供しているツアー会社。黒熊ツアーや温泉ツアー、カヤックツアーなど世界中からの観光客でごった返していた(Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com


▲Sea lion(シーライオン)の群れ。Seal(アザラシ)といまだによく見分けがつかないが、色が一色なのと耳のあることが特徴のようだ(Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com


▲よく写真に撮られているクジラの尾びれ。私たちももう少し遠くだったが、こういうポーズは何度か見ることができた(Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com


▲こんなポーズが見られたらよかったのだが・・・(Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com

ホエールウオッチングには、トフィーノの町から出発した。港を出て10分もしないうちに Gray Whale (コククジラ)が現れた。コククジラは体長12−14メートルで体重は30トン。クジラの中では小型といわれる。寿命は50年から70年と長い。体中にフジツボのような貝類が付着していて、まだら模様に見える。
一度現れてから次に現れるまで20分くらい潜っていることもあるので辛抱強く待たないといけない。しかも前回現れたのとは全く違う方向に現れるので、全方向に目を凝らしての長期戦だ。

ホエールウオッチングに出ているボートは、それぞれ無線で連絡を取ってクジラが見える場所を教え合っている。今度は Humpback Whale (ザトウクジラ)が現れたというので急いでボートをそちらに走らせる。ザトウクジラは体長12−16メートル、体重36トンの大型クジラである。

色は黒く、潜水艦のように見えた。ガイドが、今度はあの辺に現れるだろうと予測していた場所とは裏腹に、我々のボートのすぐ後ろに現れたので、皆シャッターチャンスを逃してしまったが、「ミューイン!」とでも表現するようなかわいい声と「シュワー」というような熱い息づかいが聞こえたのは迫力満点だった。


▲海の上で貝をお腹に乗せて寝転んでいるラッコ

クジラのほかにも、ラッコがたくさん海の上で寝転んでいてかわいかった。テレビで見たことのあるお腹に貝を乗せてのんびり日向ぼっこのポーズ。バンクーバー島ではおなじみのアザラシもゴロゴロ。このほか珍しい海鳥ではパフィンを見ることができた。
我々のホエールウオッチングではクジラがジャンプしているような大技ポーズは見ることができなかったが、クジラの種類が確認できるくらいの距離での鑑賞と良く写真に撮られている尾びれが水上に見えるポーズはたくさん見ることができた。まずまずの満足というところであろう。
運が良いとこんなポーズも見ることができると、ツアー会社からいくつか写真をお借りした。
Photo courtesy of www.jamies.com & www.matthewmaran.com

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ホエールウオッチングを終えると、お気に入りの町ユクルーレットへと向かった。キッチン付きのホテルに泊まるので、途中の民家で「カニ」の看板を見てカニを購入。一匹12ドル。今朝生け捕ったというだけあって、そのおいしさは格別であった。


▲ユクルーレットの町のウエルカムサイン。いつ行っても神秘的な町である






▲ユクルーレットにある Wild Pacific Trail

ユクルーレットは静かな港町である。トフィーノに比べてまだそれほど観光化されていないので、私はこの町のほうが断然お気に入りである。トフィーノとユクルーレットの雰囲気の違いは、ロッキー山脈のバンフとジャスパーの関係に似ていると思う。
隣り合わせで続いているとはいえ、トフィーノ側の海は砂浜が多いがユクルーレット側は岩場がほとんどである。ユクルーレット側には Wild Pacific Trailという実に美しい遊歩道が海岸沿いに整備されている。国立公園でないことが不思議なくらいである。将来はトフィーノ側の国立公園と接続される予定なのでその時には国立公園に指定されるのかもしれない。
http://www.wildpacifictrail.com/ 

人気(ひとけ)の少ない今のうちに訪問されることをお勧めする。灯台のある Light House Loop(2.5キロ)、Big Beach Trail(4.5キロ)、Brown's Beach & Artist Loop(8.4キロ)の3つのセクションに分かれていて、どのトレイルもすばらしい。高い崖っぷちから砂浜、岩場とさまざまな地形を楽しめる。
トレイルはみごとに整備されているので、夏でも冬でも四季折々の美しさを観賞できて飽きることがない。詳細についてはウェブサイトを参照していただきたい。

コモックスから西海岸への道程には樹齢800年以上の Douglas Fir (もみ)が林立する森、Cathedral Grove(http://www.env.gov.bc.ca/bcparks/explore/parkpgs/macmillan/)や、サケ漁で有名な Port Alberni という港町など、まだまだご紹介したい場所がたくさんある。
今年の夏も時間の許す限り島を探検して歩いたが、まだまだ奥の深いバンクーバー島である。乞うご期待!

(2013年8月29日号)



 



 
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