【世界の街角から】

中世と近代の雰囲気を併せ持つ
フランクフルトの魅力


〈トロント 中村智子・記〉


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ドイツ経済、金融の中心地、フランクフルト。北米や欧州各地からの直行便が多く、中継地としての役割が大きいが、実は中世と近代の両方の雰囲気を併せ持った都市である。第二次世界大戦では多くを失ったものの、今となっては、ヨーロッパでは数少ないスカイラインを有する都市としても有名であると同時に、古い町並みも残された、とても魅力的な観光地でもある。

トロントから Air Transat で約7時間のフライト(この路線は現在は廃止されている)を経て着いたフランクフルト。空港の税関では、穏やかな表情のおじさんが「JAPAN」のパスポートを見るなりスタンプを押して、一切の質問なしに通してくれた。カナダの隣国とはえらい違いだ。


▲フランクフルト中央駅

空港からダウンタウンへは地下鉄一本で15分弱と便利である。フランクフルト中央駅は内部も外部も荘厳な造りで、産業革命時代の映画に出てきそうな雰囲気だ。毎日の通勤に利用する市民、バカンスで遠出をする家族連れ、そして私のような観光客が大勢ひしめき合う活気のある駅だ。かわいらしい花屋さんやパン屋さんがあるのも、ヨーロッパならでは・・・。

今回のドイツ旅行で、行きたい場所や、やりたいことの目星は前もってつけていたのだが、宿は予約をせず現地に到着した。これが功を奏し、ロケーションのいい宿をオンラインでもかなわない格安でとることができた。
ヨーロッパへの便は大抵のものが、トロントを夜に出発し午前中に現地に着く。その足で宿を探せば当日チェックインということで、ホテル側も安い料金で提供してくれる。空き室にしておくよりは安くても部屋を売った方が売り上げが伸びるということだ。
また、3泊以上連泊するとディスカウントしてくれるホテルがたくさんあるのもヨーロッパの特徴。ちなみに、フランクフルト中央駅正面口から真っ直ぐ伸びている町のメインストリート、カイザー通り(Kaiserstrasse )周辺にはホテルが散在している。


▲中世と近代の町並みを走るトラム(市電)


▲レーマー広場(Roemer)。フランクフルトの絵はがきと言えば、この風景が有名だ

荷物をホテルの部屋に置いて、早速お昼ごはんを食べに行くことにした。ボリュームのあるフランクフルトソーセージ、サワークラウト、ポテトサラダに、ドイツの青空の下で頂く地ビールは格別だ。しかも安い。それから、シュニッツェルも忘れてはいけない。じゃがいもは北米のそれよりも格段においしい。秋に収穫される北海道の新じゃがいもを彷彿させるおいしさだ。
ビールに関してだが、カナダでも日本でもおいしいドイツビールは売っている。が、ドイツで味わうビールはおいしさが全然違うから不思議だ。ドイツには、日本のような全国統一独占ビールメーカーというものはなく、地ビールが中心なので、その土地土地の特産ビールを味わうことができるのも醍醐味。


▲町を流れるマイン川対岸(南側)


▲18世紀のバロック風建物ハウプトヴァッヘ。今はレストラン。ここで食べたシュニッツェルがおいしかった

ドイツのパブでは、ピルスナーグラスといわれる背の高いグラスが主流だ。あまり量を飲めない人には半分のハーフパイントがおすすめ。ドイツに限らずヨーロッパのパブやレストランのいい所は、歩道が広く、そこに椅子とテーブルを並べてオープンになっている点だと私は思う。
トロントはというと、広い歩道がある場所にもかかわらず、フェンスで囲まれた狭いパティオが至る所に存在する。道路法で定められているのだろうが、カナダは世界で二番目に広い国土を持つ国なのに、猫の額(ひたい)ほどの広さのパティオで盛り上がっているのは何とも滑稽な話だ。


▲旧オペラ座、アルテ・オペラ


▲アルテ・オペラ周辺。近代的なビルと古い建物が混在している

フランクフルトはショッピングも充実している。ハウプトヴァッヘ(Hauptwache)周辺や歩行者天国のツァイル(Zeil)と呼ばれる大通りに並んだ店々、小道にあるブティックは見て回るだけでも楽しい。小柄な私にとって、トロントで服を買うのは至難のわざで、日本に一時帰国、もしくはヨーロッパに旅をした際に買い込むのが常。フランクフルトでは実におしゃれでセンスのいい服や靴をたくさん見つけることができた。

今回は残念ながら機会がなかったのだが、フランクフルトは劇場や美術館や博物館の宝庫で、国際的にも高い評価を得ているものもある。次回訪れる際には芸術三昧(ざんまい)もいいかもしれない。

(2013年9月19日号)



 



 
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