【世界の街角から】

陶磁器とワインの町
ドイツ東部マイセン



〈トロント 中村智子・記〉

陶磁器とワインの町、ドイツ東部マイセン(Meissen =ドイツ語ではマイシェンかマイシュンに近い発音だと思う)。陶磁器を見るのが大好きな私は、いつかこの町に行ってみたいとずっと昔から思っていた。
本当は陶磁器を収集してみたい。が、阪神大震災を体験し、母が大切に使っていた萩焼のお抹茶用お茶碗など、99%の食器という食器が、食器棚ごと粉々に砕け散った様を目の当たりにした私は、割れ物を収集する楽しみよりも虚(むな)しさの方が勝り、眺めるだけで十分に満足するのである。

マイセンへはドレスデンから電車で30分弱。ヨーロッパは、小さな町へも電車で気軽に行けるのが良い。マイセン中央駅から町へはバスも出ているらしいが、バス停が見当たらず、英語を解す人が駅にいなかったので、遠足らしき子供たちの集団の後をついて行くことにした。
ちなみに、ドイツでは英語が通じるといろいろな人から言われて安心して旅立ったのだが、実際現地で感じたのは、結構通じないということであった。それでも、身振り手振りを交えて、皆親切に教えてくれた。


▲マイセン中央駅側から望むマイセンの町とエルベ川。右側はマイセン大聖堂とアルブレヒツ城

マイセン中央駅から歩くこと約15分。町を流れるエルベ川にかかる大きな橋を渡ると、観光案内所が見える。そこで地図を入手し町歩きへ出発。まず目指したのは、お目当てのマイセン陶磁器工場(http://www.meissen-jp.com/)。
宮中晩餐会に出てくるような華やかで美しい食器の数々が展示されていて、その製造工程を見学することができる。ここで (それはそれはお高い)陶磁器を購入した場合、日本へ直送してくれる。恐らくカナダへも直送してくれるだろうが、工場内には日本語の案内がわざわざ置いてあり、日本語のホームページもあるので、相当な数の日本人がここを訪れるのであろう。


▲二本の剣のマークが入っているマイセン陶磁器

1700年代から続くマイセン陶磁器の歴史は古い。近辺に原料の採れる鉱山があり、また、エルベ川を利用して材料や製品の輸送が容易にできるという立地条件の良さが、今日までの繁栄につながっているようである。贋作(がんさく)を防止するために、マイセン陶磁器には交差した二本の剣のマークが施されている。


▲マイセンの町並み。赤茶色の屋根が映える


▲アルブレヒツ城から望むエルベ川とマイセンの町

その後、町を散策。ヨーロッパはどこへ行っても、人が自然と集うような広場とおしゃれでかわいらしい石畳の小道がある。第二次世界大戦にも耐えた石畳の広場や道は、相当古いものもあるだろうが、古さを感じさせない。また、赤茶色の屋根もメルヘンチックで心が和む。
急な坂を登った所にある町のシンボル、マイセン大聖堂とアルブレヒツ城から眺めるマイセンの町並みは赤茶色一色。ドイツの青空に映えて美しい。大聖堂は残念ながら修復工事中で、中には入れなかった。


▲マイセン大聖堂とアルブレヒツ城に向かう


▲第二次世界大戦で焼け残った教会


▲町のシンボル、マイセン大聖堂

マイセンのもう一つ特筆すべき点は、ワインである。今回初めて東ドイツのワインをマイセンで頂いた。ワイン通ではないので、うんちくを垂れるよりも、とにかく飲んで味わえ!というスタンスのため、通り一遍の感想だが、とてもおいしかった。あまりのおいしさに飲む方ばかりが進んで、ブドウの種類を失念したのだが、冷えた白ワインは特に絶品であった。


▲町の広場にあるレストラン。冷えたマイセンワイン(白ワイン)が・・・

カナダではなかなか入手できない珍品とあって、大量に買い込んでしまった。我が家の近所にあるLCBO(リカーストア)はトロントでも大規模で、アルコール類の品揃えが豊富なのだが、今まで東ドイツのワインを見たことは一度もない。 ドイツはビールが主流とばかり思い込んでいたので、思いがけずおいしいワインに出会ってうれしくなった。


▲町の広場でくつろぐ人々

一日中のんびりと時間をかけて陶磁器工場を見学し、ワインを楽しみ、マイセンの町を散策したが、半日あれば十分に見て回れる大きさの町なので、陶磁器とワインに興味のある人に(ない人にも)ぜひともおすすめしたい町である。

(2013年10月10日号)



 



 
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