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【トロントの話題】

タオ指圧創始者で僧職、京都の遠藤喨及さん
ヒーリングセンター経営者ペレクリタさん
新施設オープンにあたりタオ療法を語る


10月19日、トロント市内ジェーン・ストリートに「タオサンガ・ヒーリングセンター」(Tao Sangha Healing Centre)の新施設がオープン、このオープニング行事に京都からタオ指圧の創始者で浄土宗のお寺の住職でもある遠藤喨及(えんどう・りょうきゅう)さんが出席した。
タオサンガ・ヒーリングセンターは、カナダ人アレックス・ペレクリタ(Alex Pereklita)さんと秦(はた)ペレクリタ佐千子さん夫妻の経営によるもので、かつてアレックスさんが日本で遠藤さんに師事して指圧の修業に励んでいたという経緯がある。


▲遠藤喨及(えんどう・りょうきゅう)さん(左)とアレックス・ペレクリタさん(10月19日、トロントの「タオサンガ・ヒーリングセンター」にて)

オープニングレセプションの合間に、時間をいただいて遠藤さんとアレックスさんにお話をうかがった。〈取材・色本信夫〉

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遠藤喨及さんは1956年、東京・中野区生まれ。父親は東映に勤務、チャンバラ映画をアメリカに売る仕事をしていた。少年期には、親といっしょにニューヨークに3年ほど住んだことがある。
日本に帰ってから、20歳のとき、指圧の専門学校で学ぶ。その後、3年間、自分で指圧、つぼ、気などの治療を行うようになる。その間、浄土宗の仏教の修行も始める。現在、浄土宗和田寺(わだじ=島根県)の住職でもある。


▲僧衣をまとった遠藤喨及さん

遠藤さんは、中国の道教の「道(タオ)」が宇宙を表していることを学び、「気」「経絡(けいらく)」について人々に広めるようになる。

「経絡とは、いのち、すなわち気の流れる道のことです。内臓、関節、筋肉など、身体のすべてが経絡の動きによって機能しています。それを物理的にではなく、潜在的に心の深い所に働きかける、そして病気の原因となっている部分を治していくのです。タオ療法は、ひとことで言えば、経絡のつぼを施術して病気の原因である邪気を出す方法ということです」と遠藤さん。

「人間が手技でなし得る最高の医療を施すことを信条に、指圧による経絡の研究、武道による気の修練、そして僧侶として仏教の修行を積んできました。その結果、発見したのが、宇宙大霊の気の力で患者さんの経絡(潜在意識)に働きかけると、症状が取れるだけでなく、運命転換が起きるということです」
こうして、タオ療法が生まれたのだという。

1980年代に東京で治療所を開くとともに、沖縄のメンタルクリニックで医師、看護師に教えながら患者のケアもした。
遠藤さんは1986年当時、京都に住んでいたが、日本人だけでなく多くの欧米人も習いに来るようになった。1990年ごろからは、世界各地で、タオ指圧、気心道、念仏ワークショップなどの普及に努めた結果、北米、ヨーロッパなどでタオ指圧の道場が次々と誕生した。カナダでは、トロント、バンクーバー、モントリオールで道場が開かれている。

「これらの道場は、単なる指圧道場だけではなく、仏教のお寺でもあります。お寺が文化施設になって、教えたり援助をしたり、活動をしています。世界中のタオ指圧センターでは、定期的にチャリティー指圧を行い、その収益のすべてをタオサンガが運営するNPOユニに寄付し、タオ指圧師自身も施術代の中から毎月寄付をし、そうして集まった資金を元に世界各地でさまざまな支援を行っています」

どのような支援を行っているのだろうか。
「NPOユニの支援の一環として、バングラデシュの小学校3カ所の運営にたずさわっています。教師の給料を支払っているのです。ぼくは、毎年バングラデシュに行って小学校の様子を視察します。このほか、幼くして娼婦として働かされた揚げ句、エイズ患者になってしまったタイの少女たちの治療費に寄付しています。東日本大震災では、東北の被災地に指圧師を派遣して無料でタオ指圧をしました。パレスチナ難民の支援も行っています」
遠藤さんのエネルギッシュな活動ぶりがうかがえる。

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アレックス・ペレクリタさんは、日本で遠藤さんの指導を受けたのち、1999年、カナダに戻り、2001年からトロント市内のスパダイナ街で指圧道場を開いたが、このたび、規模の拡大にともない新しい場所に移転、「タオサンガ・ヒーリングセンター」をオープンした。タオ指圧のインストラクター、そしてセラピストである。
タオ指圧では、身体のどの部分でも、どんな症状でも、痛みも、病名の有る無しにかかわらず治療している。


▲タオサンガ・ヒーリングセンターを経営するアレックス・ペレクリタさんと妻・佐千子さん

「一階には来館した人たちが集う広間と指圧治療室などがあります。二階はアートスタジオになっていて、 日本文化や言語のクラスを中心に10名前後のワークショップを行うスペースになっています。さらにベースメントには関連する本が置いてあって、閲覧できます。今後はさらに歌やダンスなどバラエティーに富んだクラスを増やしていく予定ですので、ご期待ください」とアレックスさん。
それぞれ専門の人の指導により、仏教の教え、合気道、日本語クラス、書道、墨絵、絵てがみ、ギター指導などのクラスが開かれる。

アレックスさんは、「治療や文化活動を通して、コミュニティーや若い人のため、教えたり支援していきたい。仏教文化を人々に紹介して、その中から幸せを築いてもらうことを目指します」と意欲満々のところを見せてくれた。


▲広間ではギターのクラスが開かれたり、さまざまなアクティビティーが行われる


▲2階のアートスタジオ。書道作品や墨絵、絵てがみなどが展示してあり、日本文化や言語のワークショップも行われる


▲アートワークショップで描いた絵てがみの作品例

Tao Sangha Healing Centre
375 Jane Street, Toronto
(Annette St. 角の南)
Tel : 416-925-7575
www.taosangha-na.com

(2013年10月24日号)



 
 


 
 
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