【コンサート&インタビュー】

津軽三味線「山口晃司と山口晃司三弦会」大熱演
人の心の奥にまで感動を呼び起こす


迫力ある音から繊細な音まで、幅広い表現で多くの人々を魅了する津軽三味線。その津軽三味線界の若きプリンス、当年24歳の山口晃司(やまぐち・こうじ)さんと彼の率いる「山口晃司三絃会」総勢12名のコンサートが11月5日、トロント日系文化会館(JCCC)小林ホールで開催され、彼らの大熱演に観客は感動のうずに巻き込まれた。


▲山口晃司さん(前列中央)と「山口晃司三絃会」の皆さん(11月5日、JCCC小林ホールにて)

個性あふれる即興演奏スタイルが特徴の「山口晃司三絃会」。今回の公演では定番の「津軽じょんから節」「津軽あいや節」から「O Canada」(カナダ国歌)や「さくらさくら」、日本各地の民謡など幅広いおなじみの曲が演奏された。さらにロック調のビートが効いた曲、「上を向いて歩こう」などポピュラーな曲も披露された。


▲大熱演の山口さん(第1部)

コンサートは山口さん自身が司会をしながら曲の解説をしたり、会場に手拍子を呼びかけたり、観客と一体感を保ちながら進行した。ハードな演奏中でも笑みを絶やさない彼のパフォーマンスは観客の心をバッチリとられたにちがいない。


▲演奏中でも笑みを絶やさず・・・(第2部)

一行は11月3日夜遅くトロントに到着。翌4日、「モミジシニアセンター」で演奏を披露したあと、夜はJCCCでワークショップ。そして5日にコンサート開催、6日に帰国、という強行軍スケジュールであった。それにもかかわらず、ワークショップでも、また本番のコンサートでも疲れを感じさせない演奏ぶりに感心するばかり。


▲ワークショップ風景(11月4日、JCCCにて)


▲ワークショップ参加者を指導する山口さん

現在、出身地の名古屋で14歳から80歳まで計75名の弟子を指導している山口さん。今回のコンサートにはその中から12名(14歳〜65歳)が参加した。JCCCでお弟子さんたちと一緒に地元トロントの人たちに手を取って教えるワークショップの間、若さあふれる会主の山口晃司さんに彼の三味線人生をうかがった。

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パイロットの夢から津軽三味線演奏家に

僕が三味線を5歳のときに始めたきっかけは、祖母が三味線の先生をしていたことで、ちょっとした興味から自然の成り行きみたいなものでした。祖母が練習後にくれるおやつも魅力のひとつでした。小学校のころは将来、三味線の演奏家になるなんて考えてもいませんでした。夢は外交官かパイロットでしたね。特に飛行機のパイロットにはあこがれていました。

そうこうしているうちに、いろいろな大会に出ていい成績を残し、2003年の津軽三味線全国大会の青森弘前大会・学生の部で優勝、翌2004年東京大会で優勝するなどしてパイロットになるより、演奏家への道のほうが現実的になったのです。

人のDNAに語りかける津軽三味線の魅力、異種楽器とのコラボ

津軽三味線の魅力は、三味線のビートとメロディーが人のDNAの奥深いところに語りかけるような,人間の本質にふれるようなところです。

これまでにジャズやロック、ブラスバンドなど異種楽器とのコラボをやってきて、自分自身も刺激を受けながら楽しんできました。コラボの可能性は無限ではありません。やれることの可能性(有限性)と無限性との中で相手と接点にふれることが楽しみにひとつでもあります。

(※山口晃司さんは、トロントでも何度かコンサートを開催した「吉田兄弟」の弟、健一さんがプロデュースする三味線グループ「疾風(はやて)」のメンバーとしても活動している)


▲ワークショップでの山口晃司さん

モミジシニアセンターでの演奏で感激してもらったことに感激

これまでに海外公演は、ニューヨーク、アラバマ、アトランタなど米国をはじめ、マレーシア、シンガポール、中国などに行っていますが、カナダは初めてです。今回は短い滞在なのでカナダの良さをじっくり味わえないのが残念です。

でも日系人が住んでいらっしゃる「モミジシニアセンター」で演奏をしたときに皆さんが大変感激してくれたことで、こちらまで感激しました。カナダでの大きな思い出になりました。

人間として影響力の持てる人に、そしてグラミー賞を取りたい

現在演奏家としての活動のほかに指導者として生徒を教えています。生徒さんはほとんどの人が僕より年上です。僕は教えるときはあくまでアドバイザーであって、生徒の可能性を信じて一人ひとりの個性を大切にしています。

将来は演奏家としてだけではなく、人間として影響力を与えられる人になれたらいいなあ、そういう人になりたいですね。

そしてできれば30歳までにグラミー賞を取るのが目的です。これまであまり CD や YouTube などに重きを置いていなかったのですが、これからは力を入れて行きます。

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とにかく「若い!」。そして元気はつらつ。その上、しっかりと自分の考えを持っている。彼の笑顔と演奏の迫力は周囲の人々をも元気にしてくれるオーラさえ感じる。演奏家であり指導者、山口晃司さんの可能性は大きく広がっているようだ。今後の彼の活動に目を離せない。グラミー賞、ぜひ取ってください。

〈リポート・いろもとのりこ〉

(2013年11月7日号)



 
 


 
 
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