【世界の街角から】

エルサルバドルは暑かった!
太陽の一人舞台のなか自然に親しむ


〈 オンタリオ州ロンドン市 ウィルソン夏子 〉

11月の中米エルサルバドルの暑さは、厳しい暑さだった。極寒という言葉があるが、極暑(ごくしょ)という言葉もあることを知った。人が耐えられるか、どうか、という瀬戸際の暑さである。


▲緑と川。空から見たエルサバドルの国土

午前11時を過ぎると、太陽がぎらぎら照り始める。多分、35度以上はあるかもしれない。猛暑、激暑。太陽の光線が荒々しいのだ。肌を傷めつけるような、刺すような光である。それは、太陽が、太陽のためにあるような、太陽の一人舞台だ。そして、その暑さは、午後の4時ごろまで続いていた。嵐の中を歩きたくないように、この暑さでは、外にも出たくないのだった。

なんと、この暑さは、この国に滞在した1週間、続いた。この光線の中で、私は、骨よ、ぐんぐん伸びろ、と言いたかったが、むしろ骨はぐにゃぐにゃになりそうだった。でも、こうして日常の世界から離れられたのだった。

この強烈な太陽熱を受けて、どんどん成長するのは、植物だ。この葉のたくましさが、それを語っている。


▲木と葉の共存。たくましく生きる植物たち


▲バナナ畑

そして、バナナの葉っぱが、なぜあんなに大きくなるのか、そして、なぜバナナという実をつけるのか、初めて納得した。

太平洋岸から20キロほど内陸に行ったソンソナテ(Sonsonate)という町にある「デカメロン」という名のホテル。このホテルの庭で珍しい果実を見た。木にしがみつく虫のようだ。実の中には、ゼラチンのような甘ずっぱい種と液がある。


▲木になる実


▲早朝のホテルのプールサイド

私は、太陽が昇りはじめた頃の早朝に、ホテル内を散歩することにした。静けさを味わうには、太陽がまだ眠たそうにしている時間がいい。
太陽が輝き始める前の早朝のホテルのプールは静寂そのもの。暑さの心配もなく、プールサイドを散歩するのは心地よい。

ホテル内では、エルサルバドルで人気のある食べ物「ププサ」を作るお店に出くわす。ホットケーキに似て、中にはハムのみじん切りや、ひき肉などが入っている。庶民の人気フードのようだ。


▲ププサを売るお店

エルサルバドルは、中米5カ国の中で国土が最も小さい。人口は約630万人。主な産業として綿花(繊維製品)、コーヒー、砂糖などが挙げられる。
スペイン支配による植民地時代を経て、19世紀に入り、独立闘争が本格化し、1821年スペイン支配から解放された。その後、対外戦争や独裁打倒運動が繰り返される。20世紀になり、第二次世界大戦に親米派として連合軍に加わるが、その後も国内では独裁政権との戦いが続いた。
1992年に内戦が終わったが、治安は不安定で、凶悪犯罪があちこちで起こっている。また地震に見舞われたりして、天災にも直面。観光業は、まだ始まったばかりのようだ。だから、コスタリカなど他の中米の国に行くよりは、旅費が比較的安く来られるのだという。

ある町を訪れた時、街角で「武器なしで暮らしましょう」のサインが目に入った。治安の状態が推測できる。現地の住民だけではなく、観光客も注意が必要だということを痛感した。


▲買い物客でにぎわう日曜日の風景。写真右上に「銃はダメ」のサインが見える


▲エルサルバドルの子どもたち

エルサルバドルでは、酷暑のなか、花が鳥のように見える極楽鳥花と呼ばれる花があちこちで私たちにほほ笑んでくれて、心が癒やされた。


▲極楽鳥花

太陽の
光を燃やし
あでやかな
衣装まとって
花よ 飛べ飛べ

〈来週は「グアテマラの旅」を掲載します〉

(2013年1月30日号)



 



 
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