【活躍する新移住者二世】

注目のファストフード店
「ブリート・ボーイズ」を経営する
島貫 厳(ゲン)さん


一般的にフランチャイズのファストフードというとマクドナルドやケンタッキーが思い浮かべられるが、最近は野菜をふんだんに使った健康志向型ファストフードも登場している。メキシカンフードの「BURRITO BOYZ=ブリート・ボーイズ」もそのひとつ。


▲ヤング通りに面した「BURRITO BOYZ=ブリート・ボーイズ」

「ブリート・ボーイズ」はカナダ資本で、現在オンタリオ州に15店舗、そのうちトロント市内に6店舗ある。他の同業に比べるとフランチャイズとしては小規模だが、これから伸びる企業として注目されている。


▲経営者のひとり、島貫厳(しまぬき・げん)さん

トロント市内のうち、一番新しいのがノースヨークに昨年12月初めにオープンした「ブリート・ボーイズ、ノースヨーク店」。経営者は島貫厳(しまぬき・げん)さん、33歳。新移住者の二世として、若き経営者ぶりを発揮するゲンさんにビジネスにかける意気込みをうかがった。

いろいろなジャンルの職歴が役に立つ

ゲンさんは1980年、トロントに生まれ、トロント大学サイエンス学科生物科を卒業。日本語学校の国語教室にも4歳から17歳まで通い、普通の日本語会話には不自由しない。

大学卒業後は、イベントプランナー、レストランのウエーター、株の取引、コンピューター関連会社などいろいろな職種を経験した。
「本格的にファストフードビジネスを考え始めたのは2年ほど前からで、今まで経験した仕事が役に立っています」とゲンさん。

店を経営することに関しては、大学時代の友人、ジョン・ホーさん(中国系カナダ人)とパートナーシップを組むことで合意した。まずは最初の準備。フランチャイズショーなどのイベントに参加してどのフード店がよいかマーケットリサーチに約1年間費やした。

フランチャイズのフードの内容、ロイヤリティー(フランチャイズ権利使用料)、お客の志向、店舗の場所などをリサーチした結果、現在の「BURRITO BOYZ=ブリート・ボーイズ」に決めた。しかし、申し込んでから本部のトレーニングなどがあり、オープンするまでさらに約1年かかった。
現在の場所を選んだわけは、「トロントのメイン通りであるヤング・ストリートに面していること、周囲にビジネスビルディングがあり、レストランもたくさんあって、お客が通ることで店の存在を知られるチャンスもあります」という。

味と健康志向が決め手

数多くあるフランチャイズで、なぜ「ブリート・ボーイズ」を選んだのだろうか? それについて次のように語る。
「まず、味がいいこと。それは新鮮な材料を本部から直接仕入れ、各店舗で料理するからです。冷凍でセントラルキッチンから配られるフードとは全然ちがいます。そのおかげでトロント・ダウンタウンのブリート・ボーイズが大変有名になり、評判がよくなりました。各メニューに野菜を多く使っている上、グルテンフリーやベジタリアンのメニューもあり、健康志向のところがこのフランチャイズを選んだ理由です」


▲新鮮な野菜が並ぶケースはいつも清潔に

しかし、よいことばかりでもない。「ロイヤリティーは他に比べると安いのですが、材料を本部から購入しなければいけないという条件があり、質が良い分、値段が高いのが悩みです。でもお客さんにおいしいものを出すためには仕方ありません」

豊富な中身と選択肢の多いトッピング

「ブリート・ボーイズ」のメニューを見てみよう。
大きく分けて、トルティーヤ(小麦粉で作られたメキシコ独特のお好み焼き風皮)に好みの材料を包んで焼き目を入れた「ブリート」(BURRITO)と、トルティーヤで材料を挟んで両面を焼くパニーニ風の「ケサディーヤ」(QUESADILLA)がある。


▲ブリートやケサディーヤは中身を包んだり挟んだあと、焼き目を入れて香ばしく仕上げる


▲ボリュームたっぷりのブリート


▲パニーニ風トルティーヤのケサディーヤ

中身は、チキン、ステーキ、スイートポテト、ベジタリアン、ビーンズ&チーズ、シュリンプ、タラ、ハリバットなどがあり、好みの物を選べる。野菜はレタス、キュウリ、ピーマン、赤玉ねぎ、コーン、豆類、アボカドデップ、ライス、チーズ、トマトなど。これも好みで選ぶことができるし、全部入れてもいい。トルティーヤは普通の小麦粉のほか、ウイート、グルテンフリーなどからも選ぶことができる。

値段は小サイズで$5.97〜$9.29、大サイズは$7.08〜$10.18となっている。このほか、トルティーヤを使わない中身だけのサラダ風、その名もネイキッド(NAKED)というのがある。ダイエットしている人に人気があるそうだ。

役割分担制,将来は2号店も

ゲンさんは週に3回は店に出てキッチンで働き、スタッフのスケジュールなどを受け持っている。ビジネスパートナーのジョンさんは店には出ず、ブックキーピング(簿記)や他との交渉などを担当している。パートナーはもう1人、料理担当の人が少し負担している。
「それぞれ、得意な分野で仕事をするのが一番いいです」


▲店内には「BURRITO BOYZ」をサポートする企業や店の推薦プラークが掲示されている。店舗の広さはキッチンも入れて1,200スクエアフィートある。


▲スタッフたちに采配をふるのも和気あいあいと

スタッフはのべ20人が交替で働き、最低4人が、常時、店にいるようにしている。「お客によいサービスをするにはスタッフのトレーニングが大変重要です」

「今年の冬は寒さが厳しくビジネスはスローでしたが、4月に入ってぐ〜んと伸びてきたので、これからはさらに売り上げがよくなるでしょう。来年は2号店が出せるよう、計画を考えています」

お客はリピーターが多く、中には毎日来る人もいるそうだ。まさにおなじみさんである。客層は20代〜30代が中心だが、最近は子供も来るようになった。

ダウンタウンにスポーツバー「WA BAR」も経営

「ブリート・ボーイズ」のほかに、ゲンさんとジョンさんは、さらにもう2人のパートナーを加えた4人で、別にダウンタウンでスポーツバー「WA BAR」も経営している。
「ブリート・ボーイズ」がなかなか開店できなかったので、その間にたまたま「WA BAR」を経営する話がまとまり、去年4月にオープンしたそうだ。

「こちらのほうは冬、オリンピックやホッケー、バスケットなどもあり、スポーツバーなのでビジネスはとてもよかったです」

▲WA BARの入り口 ▲店内にはスポーツ観戦用の大型スクリーンTVがあちこちに設置されている


「WA BAR」にも週2回は店で働いている。こちらはスタッフ6人と、「ブリート・ボーイズ」に比べ、人数は少ない。

それにしてもほぼ同時期に2店を経営するのは大変ではないだろうか?
「1人で経営しているのではなく、ビジネスパ−トナーがいるので気分的にも資金や仕事を分担できるのがメリットです」

若い経営者、ゲンさんの今後の活躍に期待したい。

■ BURRITO BOYZ=ブリート・ボーイズ
5314 Yonge St.(ノースヨーク地区)
フィンチの数ブロック南。店前に路上メーターパーキングあり。
Tel:416-221-2699
営業時間:毎日午前11時〜午後11時(金曜&土曜は午前4時までオープン)
www.burritoboyz.ca

■ WA BAR
3 Isabella St.(Bloor St. の3ブロック南、Yonge St. から2軒東)
Tel : 647-352-3351
営業時間:火曜〜日曜午後5時〜午前2時(月曜休み)
www.wabar.ca

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【取材を終えて】
ゲンさんとはまだ彼が10代半ばのころ会ったきり。久しぶりに再会したゲンさんは、意欲に燃えるビジネスマンに成長していた。「人ってこんなにも成長するものだ」と、一種の感動を覚えた。

〈取材・いろもとのりこ〉

(2014年4月24日号)



 



 
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