カナディアンロッキー・ジャスパー国立公園
グレイシャー・スカイウォーク



〈 リポート・奈良由貴子 〉

地上280メートル、ロッキー山脈の岩肌から馬蹄(ばてい)形に30メートル突き出した空中のガラス張り遊歩道「グレイシャー・スカイウォーク」(Glacier Skywalk)が5月1日、アルバータ州ジャスパー国立公園内にオープンした。


▲今年5月1日にオープンしたスカイウォーク 

カナダ国立公園とブリュースター・トラベル・カナダ(Brewster Travel Canada)が提携して、建築期間2年、総工費2,100万ドルを費やし、ロッキー山脈の大自然の中に、人類の技術を集結、素材を吟味し、ペンキなどを使用せず、限りなく自然との調和を重視した建造物を完成させた。

グレイシャー・スカイウォークは、世界で最も美しい景色のトップ10に入る、国道93号、通称アイスフィールド・パークウエーにある。ジャスパーから南へ102キロ、車で約1時間、バンフからは北へ189キロ、車で約2時間半の所にある。現地への自家用車の乗り入れは出来ないので、コロンビア大氷原の向かいにあるアイスフィールドセンターに駐車し、そこからシャトルバスを利用する。


▲アイスフィールドセンターの建物とシャトルバス発着所(右手前)


▲アイスフィールドセンターから、氷河の眺め

新装されたアイスフィールドセンターは、一階がチケット売り場とギフトショップ、二階がカフェテリア、三階がホテルになっている。
チケット売り場では、グレイシャー・スカイウォークのほかに、雪上車に乗って氷河の上を歩くという観光で有名なグレイシャー・アドベンチャーのチケットも扱っている。

チケットを購入し、グレイシャー・スカイウォーク行きのシャトルバスに乗り、景色を楽しんでいると、約5分で現地に到着する。

入り口からスカイウォークまでの約180メートルの遊歩道には、「水を追って」というコンセプトに基づき、いかに雪、氷、水が素晴らしく、環境に大きな影響を与えているかとういう6つの展示があり、日本語にセットしたオーディオガイドで詳しい説明を聞くことが出来る。

1 渓谷について

氷河の力の強さや間氷期(かんぴょうき)に水に削られて形成されたサンワプタ渓谷の歴史や、厳しい寒さのために森林限界線以上には木々が育たないことなどの説明を聞くと、周りの景観にとても納得できる。

2 地質について

ロッキーの山々には同じような縞(しま)模様があるのはなぜ? という疑問に、オーディオガイドの説明にしたがって、スライド式のパネルを左に動かすと、氷河が動いて岩に縞模様をつけることが理解できる。また、アンモナイトの化石などが発掘されているということは、ロッキー山脈がかつて海の底であったことの証(あかし)である。


▲発掘されたアンモナイト化石

3 生物・生態について

続いて、ロッキー山脈に生息するカモなどの鳥たちが飛ぶトンネルをくぐると、生物・生態の展示がある。山の中で出くわすクマやヤギなどの実物大の鉄の模型や歩道にある足跡からそれぞれの動物の大きさや特徴の違いがよくわかる。


▲鳥たちが飛ぶゲートをくぐって・・・

4 テクノロジーについて

いよいよガラス張りの歩道に一歩踏み出す。空中を歩き進むと目の前の氷河を背負った山頂が一段と近づいてくる。そして、飛んでいる鳥の目線で下の谷底を眺めることができる。そこは、太古の地球と人類の技術が融合して作り出した空間なのである。

松の木は、枝を横に伸ばし幹の一点でその枝を支えている。この松の木の自然の原理にならって、スカイウォークの建築技法はカンチレバーという構造が用いられている。


▲スカイウォーク。歩道はガラス張り


▲飛んでいる鳥の目線ではるか下の谷底を見ることができる


▲スリル満点


▲がけから30メートル突き出しているスカイウォーク

長さ16メートルの柱(松の木の幹にあたる)が岩に打ち込まれ、重さ17万5,000キロの鉄を支え、軽トラック80台分の重みにも耐えることができるように設計されている。

松の枝が揺れるように、人が歩く振動でスカイウォークがふわふわと揺れている。この振動を放散して、揺れを軽減するために4つのダンパーがスカイウォークの床下に取り付けられている。ダンパーは黒い箱型をしていて、1つ0.5トンの重さがある。

5 植物・人類について

冬の厳しい寒さを乗り越え、この地に根を張る植物たちの生命力に驚かされる。

6 水について

コロンビア大氷原から溶け出た水は、世界の7つの海の中の3つ、北極海、大西洋、太平洋に流れ出している。そして、太平洋に出た水は海流に乗って日本や中国まで到達する。まさに、ここコロンビア大氷原が世界の水の源と言えるのである。


▲雄大なロッキー山脈を背景にハープ演奏

グレイシャー・スカイウォークは、ただ空中散歩のスリルを味わうだけでなく、カナディアンロッキーの自然を通して地球の歴史、生命の素晴らしさ、温暖化により氷河が年々縮小していることなど、自然環境保護の大切さなど多くのことを教えてくれた。

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グレイシャー・スカイウォークは、カルガリーから約320キロ、車で約4時間、日帰り観光も可能であるが、今回は、アイスフィールドセンターの3階に改築されたホテルに1泊することにした。お部屋は、白と赤を基調にし、清潔で、天井が高く、広々としていてとても居心地がよかった。

窓からは、氷河が一望でき、氷河の中ほどには雪上車の移動の後が細く黒い一本の線のように見えていた。山や氷河があまりにも大きいので、距離感がすっかりマヒしてしまった。


▲夜、月明かりに青白く浮かび上がる山々(ホテルの窓より)

夜には、月明かりで雪が青白く輝き、山は昼間とは違う神秘的な様相に包まれていた。ロッキーの自然を大満喫できる眺めに加え、こんな山の中で申し分のない設備を兼ね備えたこのホテルは、ロッキーの中でもおすすめのホテルである。

グレイシャー・スカイウォーク、グレイシャー・アドベンチャー、そしてホテルの経営は、ブリュースター・トラベル・カナダが行っている。スタッフの人たちは、皆明るく親切で、旅行者の旅の感動を盛り上げて心に残る旅作りの手助けをしてくれていた。

山はいつも同じ場所にあるのに、何度訪れてもそのたびに新鮮で、いつも新しい衝撃を与えてくれる。今回は、ロッキー山脈独り占めの感激、興奮を味わい、自然と生命との深いつながりに感謝する旅となった。

■グレイシャー・スカイウォークのウェブサイト
http://glacierskywalk.ca/

※グレイシャー・スカイウォークは、バリアフリー設計なので車椅子やストローラーの利用もできます。

開園期間・時間:
5月1日〜5月31日 午前10:00〜午後5:00
6月1日〜9月1日 午前9:00〜午後6:00
9月2日〜9月30日 午前10:00〜午後5:00
10月1日〜10月16日 午前10:00〜午後4:00

料金:
大人 $24.95
子供 $12.50(6歳以下無料)

グレイシャー・アドベンチャーやバンフのゴンドラやボートクルーズを合わせたパッケージがお得です。詳しくはウェブサイトでチェックしてください。

■グレイシャー・ビュー・イン(The Glacier View Inn)ウェブサイト
http://www.explorerockies.com/columbia-icefield/hotel.aspx

宿泊料金:
1泊 $139.00+TAX (氷河側の部屋)
料金は時期によって変わりますので、直接ホテルに問い合わせてください。

■ブリュースター・トラベル・カナダのウェブサイト
http://www.brewster.ca/

(2014年5月29日号)



 



 
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