モネが愛した睡蓮の池がある庭
パリ郊外、ジヴェルニーを訪ねて


〈 リポート・いろもとのりこ 〉

フランスの印象派の代表的画家、クロード・モネ(Claude Monet=1840〜1926年)と聞けば、すぐに浮かぶのは一連の睡蓮(すいれん)の絵だろう。「光の画家」の別称があり、時間や季節とともに移りゆく光と色彩の変化を生涯にわたり追求した画家だったといわれている。

特に日本人、それも女性に圧倒的ファンが多い。やわらかな光に包まれた彼の絵をじっと見ていると、吸い込まれるような何ともいえない心地よさを感じさせてくれるからだろうか・・・。

モネが43歳から亡くなる86歳まで住んだのが、パリからセーヌ川にそって西へ80キロほどのジヴェルニー(Giverny)という小さな村である。今ではジヴェルニーといえば、「モネの家と庭」がすぐに結びつくくらいモネの村になっている。

お得なツアーを利用して
ジヴェルニーはパリからそう遠くはないが、車がないと交通の便が悪いところなので、今回はバスツアーに参加した(M.[みゅう]にトロントからインターネットで申し込んでおいた)。個人で行くより、結局、安く行けるメリットもあった。

集合場所はオペラ座の裏手にあるギャラリー・ラファイエットデパートの前。パリでツアーに参加したのは初めてなので、どんなものか興味しんしんだった。「どんな人が参加するのだろう?」とか・・・。

ところが、当日、参加者は筆者1人。あとはガイドさんとドライバーだけの3人で大きなワゴン車で出発した。何だか気の毒なような気がしたが、独占で話を聞けたのは幸いだった。ガイドさんはパリに20年ほど住んでいる日本人女性で、ドライバーはきれいなフランス語を話すモロッコ系の人。


▲モネの家と庭の見取り図(M[みゅう]より)

約1時間ほどのドライブでジヴェルニー村に到着。ガイドさんからモネの家と庭の解説をしてもらい、日本語のイラスト地図を手渡されて「あとはご自由に見てください。2時間後に駐車場の車に来てください」ということだった。その方が私も気楽に回れるので助かった。

まるでモネの絵のような池と睡蓮、花々が咲き乱れる庭


▲まるでモネの絵のような睡蓮のある池(花は6〜8月にかけて咲く。撮影したのは5月14日)


▲ネギ坊主のようなアガパンサスの花

まずは庭をめぐることにした。5月は睡蓮の花こそ咲いてはいないが、藤(ふじ)、しゃくなげ、チューリップ、バラ、アガパンサス(ねぎ坊主のような紫の花)など色とりどりの花が池のまわりに咲き乱れていて、まるでモネの絵のよう。この庭が作品「睡蓮の連作」になっているのだから、ごもっともなことなのだが・・・。また、モネは日本には行ったことがないのに日本びいきで、池に「日本橋」と呼ばれる太鼓橋まである。


▲庭園内にある日本風太鼓橋。紫と白の藤の花が真っ盛りに咲いている。右にあるのは竹林


▲庭園内にある記念植樹のサイン

そういえば、フランス庭園といえば幾何学的なきっちりトリミングした庭が思い浮かばれる。代表的なのがベルサイユ宮殿の庭である。しかし、モネは日本の花鳥風月的な自由な発想の庭を好んだ。竹林や柳の木が多いのも日本をしのばせてくれる。

花は季節によって、いろいろ変わるという。常に庭師が手入れをしていて訪れる人たちの目を楽しませてくれる。現在はクロード・モネ財団が運営しているそうだが、管理するだけでも大変だろうと、ついよけいな心配をしてしまう。

浮世絵のコレクターだったモネ


▲花畑の奥にモネの家がある


▲花がいっぱいの庭園を見下ろすモネの家

モネの家に入ると、まず、ものすごい数の浮世絵が飾られていることに驚く。所蔵は210点にものぼるそうで、ロンドンの美術商や他のコレクターから集めたものだという。展示されているのは全部ではないが、かなりの数である(残念ながら家の中は撮影禁止となっています)。ガイドさんの話によると、家に飾られているモネの絵はすべて本物ではないそうだ。しかし、浮世絵だけは全部本物だということである。


▲パリのオランジュリ美術館と同じ睡蓮の絵(レプリカ)があるギフトショップ

天窓のあるモネのアトリエだったところには、パリの「オランジュリ美術館」にあるパノラマ大連作「睡蓮」のレプリカが飾られている。実際、モネはこのアトリエで連作を製作したそうだ。現在、ここはギフトショップにもなっている。

ジヴェルニー村の散策


▲モネの家の前にある花に囲まれたレストラン


▲カフェやギャラリーがあるジヴェルニーの村

モネの家と庭を見たあと、時間があったので近くの村をぶらぶら歩いてみた。かわいいレストランやカフェ、ギフトショップ、ギャラリー、アンティーク店、博物館などいろいろあって散策するのも楽しい。

このツアーは半日コースで朝8時に出発し、昼の12時少し過ぎたころパリに帰着した。まあ、無理のないのんびりツアーで、モネを堪能することができた。何といっても客が1人でもツアーを実行してくれたことに感謝である。

M.[みゅう]のインフォメーション
◎ジヴェルニー・ツアーの料金/64ユーロ(モネの家&庭の入場料込み)
◎ジヴェルニー・ツアーは4月〜11月の間(その他の月はモネの家が閉館になる)

他に1日観光などいろいろなツアーが企画されていて、ネットで申し込みができる(クレジットカード払い)
www.myushop.net

(2014年5月29日号)



 



 
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