エジプト、インドなどエスニック系のお店
パリのパサージュ(アーケード商店街)【その2】


〈リポート・いろもとのりこ〉

先週号に引き続き、歴史のあるパリのパサージュ(アーケード)を紹介しよう。今回は、比較的移民の多い地区を訪れ、特色のあるパサージュを取り上げてみる。

■パサージュ・ドュ・ケール(Passage du Caire)

6月5日号で紹介した「モントルグイユ街」の北側の道路、rue Reaumur を渡って rue Caire に面したところに、かなり分かりにくい小さな入り口「パサージュ・ドュ・ケール」がある。ただ、入り口の上にエジプト像の彫刻があるのが、唯一目印といえよう。そういえば、ケールとはカイロの意味である。


▲上にエジプトの像があるパサージュ・ドュ・ケールの入り口


▲服飾関係の店が大半を占めている

このパサージュは、1798年から1799年にかけてナポレオンが行ったエジプト遠征直後に建設されたそうだ。中に入ると右へ左へと枝別れしていて、まるで迷路のようになっている。現在はほとんどが服飾関係の卸し屋が軒を連ねている。もちろん、小売り店もあるが、ここの商品はおよそ、すぐれたセンスのパリモードとはかけ離れた「別物」である。ただ、お値段の方もぐっと安い。

■パサージュ・ブラディ(Passage Brady)

「パサージュ・ドュ・ケール」を出て rue de St. Denis を北へ向かうと有名な「サン・ドニの門」がでーんと立ちはだかる。1672年、ルイ14世がライン河で戦勝したのを記念して造られたもので、パリで一番古い門といわれる。ここからさらに北へ rue de Faubourg を2ブロック行くと右手に「パサージュ・ブラディ」の入り口がある。


▲ストラスブール通りにあるサン・ド二の門


▲パサージュ・ブラディの入り口

このパサージュは現在、見事にインド街になっていて、インド食料品店、香辛料専門店、レストラン、インドファッションの衣料品店、インド物産店などインド関係のあらゆるものがそろっている。


▲インド系の店が並ぶ


▲インド料理店。本場に負けない味だとか

■パサージュ・デュ・グラン・セール(Passage du Grand Cerf)

6月5日号で紹介したモントルグイユ通りをレ・アールから北へ3〜4通り行った右側に rue Marie Stuart という小さな通りがある。その通りの行きづまりに「パサージュ・デュ・グラン・セール」がある。アールヌボー調の天井の飾りがいかにもレトロ風で懐かしさを感じる。


▲パサージュ・デュ・グラン・セールの入り口


▲アールヌボー調の天井の飾りが優雅で、いかにもレトロを感じさせる


▲新品から古道具までいろいろ・・・

このパサージュは、まず地元の人でないと分からないようなところにあるせいか、かなりひっそりしている。しかし、オリジナリティー色の強いアクセサリーやファッション、小物の店が多く、きっと「知る人ぞ知る」で顧客がついているのかもしれない。値段もけっこういい値段の店が多かった。

【取材を終えて】
1971年、初めてパリに行って住んだのが「サン・ドニ門」のすぐ近くだった。夜中に叫び声やドアをたたく音が聞こえてこわくなり、体調がおかしくなったのを思い出す。パリに住む知人から「あそこは別名『犯罪通り』と呼ばれ、パリで一番治安が悪いところだから、すぐに引っ越しなさい」と言われて1週間後に今度は閑静な住宅街に引っ越した。今は昔に比べ、だんぜん治安がよくなっているが、それでも真っ昼間から、派手なメイクの胸を大きくあけた元娘さんたちがズラリ並んでお客を引いている光景が見られた。

(2014年6月19日号)



 



 
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