【ハミルトン/ソロルド】

感謝の桜がいつか満開する日を夢見て
東洋英和女学院「桜プロジェクト」訪問団来訪



▲東洋英和女学院創立者、ミス・カートメル宣教師の出身教会にて(ハミルトン市、2014年6月15日撮影)

NHKで放送中の連続テレビ小説「花子とアン」。ドラマでは「修和女学校」になっているが、主人公である村岡花子さんの母校・東洋英和女学院(東京都港区六本木)がそのモデルである。東洋英和女学院では「桜プロジェクト」を発足させ、このたび23名の訪問団が、オンタリオ州ハミルトン市及びソロルド市への表敬訪問の旅を行った。

東洋英和女学院は今から130年前の1884年、カナダから派遣されたミス・カートメル(Martha Cartmell)宣教師により創立され、わずか2名の学生を擁する「東洋英和女学校」として始まった。その後、140名を超える婦人宣教師たちが次々と日本を訪れ、学院発展のために力を尽くしたことにより、現在では日本の子女教育に大きな役割を果たすまでに発展したという歴史を持つ伝統校である。


▲東洋英和女学院創立者、ミス・カートメル宣教師(ハミルトン市記念式典プログラムより)

「桜プロジェクト」は、この婦人宣教師たちの働きを末永く記憶・記念するため「ありがとうを桜に託して」というキャッチフレーズを決め、学院創立130年の今年、カナダで桜の植樹を行い感謝の思いを伝えることを目指したものである。

関係者によると、プロジェクトは10年前に刊行された「カナダ婦人宣教師物語」という小冊子に感動した一人の卒業生の強い思いが発端となったとのこと。2011年初頭には活動の内容と詳細が決まり、正式に「桜プロジェクト実行委員会」として発足。その後3年間の活動において、募金の輪は卒業生を中心に253件へと広がり、目標額を超える合計506万5千円という募金の実を結ぶまでになった。婦人宣教師ゆかりのハミルトン市に36本、ソロルド市に60本の桜が寄贈され、無事に植樹が行われた。


▲ハミルトン市に植樹された桜は、Centennial Park(Cootes Dr. と East St. N. の交差点北東角)の中央噴水そばにある(2014年6月17日撮影)


▲ソロルド市に植樹された桜は、Lakeview Cemetery(3651 Town Line Road East, Thorold)内の「マーサ・カートメル並木道(Martha Cartmell Way)」と名付けられた場所にある(2014年6月16日撮影)

この結果を受け、ハミルトン、ソロルド両市は桜の植樹を記念するための式典を計画。卒業生は両市の思いやりにあふれる人的交流の招待を受けて、カナダ観光局及びJTBの協力による訪問旅行を計画した。
自費参加として募られた総勢23名の訪問団は2014年6月13日(金)に日本を出発した。ほぼ1週間の旅程では、100年以上前に始まった両国の深い絆(きずな)を表す桜が植樹された場所に加え、宣教師たちが眠る墓地を訪れ、在りし日の恩師たちとの「再会」を果たす感謝の旅を行った。

一行は、到着2日後の6月15日(日)にハミルトン市内にある創立者ミス・カートメル宣教師の出身教会を訪問。礼拝に参加した後、ミス・カートメル宣教師が眠る墓地を皮切りに、6名の宣教師の墓地をバスで訪れ、それぞれの墓碑を丁寧に掃除し、献花をして写真を飾り、在りし日の思い出を語り合いながら祈りを捧げた。


▲きれいに整えられた墓石には、写真と記念誌、お花が飾られた(2014年6月17日撮影)

実際に宣教師から学んだ参加者も多く、「久しぶりに恩師である先生のお墓を訪れることができて、本当に感謝です」と涙ながらに祈りを捧げる場面もあった。「多くを語ることはなかった先生方から、立ち居振る舞いや生活のしかた、身だしなみをも学んできたのです」と感慨深く女学生時代を思い起こしていた様子が印象的であった。


▲ハミルトン市主催の記念式典で挨拶をするドン・クロス氏。クロス氏は東洋英和女学院の創立者の家系につながるサザランド家の子孫にあたる(2014年6月17日撮影)


▲ソロルド市の式典では、東洋英和女学院から目録と記念の品が贈呈された。(左から)深町正信学院長、松本幸恵同窓会会長、ソロルド市のA・T・ルチアーニ市長(2014年6月16日撮影)

今回の墓地訪問及び式典実現のためには、創立者であるミス・カートメル師の出身教会であるハミルトン市センテナリ―教会の前牧師アーウィン師の協力のもと、有賀誠一師(カナダ合同教会引退牧師)の綿密な墓地発見の努力があったといわれている。またハミルトン市とソロルド市の市長をはじめ地区議員、宣教師の親族、同窓会トロント支部の卒業生といった多くの善意と協力が今回の「桜プロジェクト」実現のために捧げられたという。


▲ハミルトン市主催の記念式典では、訪問団とハミルトン市の代表に加え、宣教師の関係者、親族らが集まるなど、ぬくもりにあふれる式典が行われ、式典の終わりには植樹された桜の前で記念撮影が行われた(2014年6月17日撮影)

同窓会会長の松本幸恵さんは、「学院創立の際に宣教師の先生方をはじめ多くの方々の尽力に加えて、彼女たちを支えた名もなきカナダ市民の皆さんの尊い力が母校の創立の力となったことを聞くに及び、毎年咲く桜の花を通して皆さんに感謝の思いを伝えることができることは、この上ない喜びです」と語っている。

一行は公式行事を無事に終え、トロントを出発して「赤毛のアン」のふるさとプリンスエドワード島へ向かった。6月21日(土)日本に帰国する予定である。

東洋英和女学院:http://www.toyoeiwa.ac.jp
同窓会:http://www.toyoeiwa.ac.jp/dousoukai/

【撮影/取材:平田誠】

(2014年6月19日号)



 
 


 
 
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