太陽と白い家並み、フラメンコ、オリーブ・・・
スペイン・アンダルシア地方を行く (4)
コルドバの巨大モスク「メスキータ」


〈 リポート・いろもとのりこ 〉

前日宿泊したカルモナから東へ約100キロほど行ったところに、かつてイスラム勢力が絶大だったコルドバ(Cordoba)がある。現在は人口約30万人の中都市だが、全盛期の後ウマイヤ朝時代の900年代中ごろには100万人を超える大都市だったという。


▲アンダルシアの地図

■イスラム教とキリスト教が共存する寺院、メスキータ

コルドバといえば「メスキータ」といわれるほど、アンダルシア地方でメスキータはグラナダの「アルハンブラ宮殿」に次ぐ有名な建物となっている。メスキータ(Mezquita)とは、スペイン語でモスクの意味。後ウマイヤ朝を開いたアブデ・ラーマン一世によって785年に建設が始まった。なんでもバグダッドのモスクに負けない規模のモスクを造ろうというお声がかりで建設されたそうだ。これまでに3回拡張され、2万5000人を収容する巨大モスクが完成した。


▲かつてイスラム教のモスクだったメスキータ


▲モスクの中にキリスト像が・・・

メスキータは、セビリアと同じくグアダルキビル川に面した町の中心地にある。中庭を通り抜けて、モスクに入ると目がくらむほどの大理石とくさび形の赤レンガを交互に組み合わせたアーチに遭遇する。一瞬、別世界に紛れ込んだような錯覚を覚える。このアーチはかつては1000本以上もあったそうだが、現在は約850本が残っている。


▲メスキータの中にあるカトリックの礼拝堂


▲礼拝堂のパイプオルガン

このメスキータが世界でも珍しい存在となったのは、イスラム勢力からカトリック教徒が権力をにぎった1236年から、内部にキリスト像や礼拝堂を設けたカテドラルが新設されたこと。まさにイスラム教とキリスト教が同居するモスクになったことだ。アンダルシア地方の象徴的文化遺産でもある。

実際、モスクの中にキリスト像が飾られているのを見ると不思議な感じだが、だんだん慣れてくると違和感を感じなくなる。ここに住む人たちもこのように2つの文化の交わりを生活の中に溶け込ませてきたのだろうか。

■広大な庭園が美しいアルカサル(宮殿)

グアダルキビル川に沿って、メスキータの西隣りにイスラム勢力からコルドバを奪回したアルフォンソ一世によって14世紀に建設した宮殿、アルカサルがある。宮殿そのものより、季節の花々と木々が植えられた広大な庭が目を楽しませてくれる。ここにもヨーロッパ式とアラブ式の庭園が共存している。


▲アルカサル(王宮=手前右)からメスキータを望む


▲アルカサル(宮殿)の庭園


▲アルカサルの庭。清らかな水と周囲の緑が美しい


▲アルカサルの屋根。右奥にはグアダルキビル川とローマ橋が見える

歴史的にはこの宮殿は、15世紀末にイスラム勢力最後のとりで、グラナダを攻略する拠点となっていた。また、コロンブスは新大陸発見の資金援助を仰ぐために、この城で王に謁見したという。さらに後期には宗教裁判所としても使われたそうだ。

■橋の要塞「カラオーラの塔」、ユダヤ人街

メスキータのすぐ南側のグアダルキビル川にかかるローマ橋がかかっていて、その橋を渡ると「カラオーラの塔」がある。この橋を守るための要塞だ。現在はコルドバの歴史博物館になっている。


▲ローマ橋。向こう側はこの橋を守る要塞だったカラオーラの塔

メスキータの北側の市街は迷路のような狭い石畳の道が入り組み、かつて経済を支えた存在として重要視されていたユダヤ人が多く住んでいた地区がある。しかし、彼らは1492年までに行われたキリスト教国によるレコンキスタ(再征服)によって追放されたのである。今でもメスキータの城壁の近くにユダヤ教会がある。

このほか「ドン・キホーテ」(スペインの作家、セルバンテスの作品)に登場する旅籠屋(はたごや)ポトロがポトロ広場の西側にある。また、パティオを挟んで東側に建っているのが「フリオ・ロメロ・デ・トーレス美術館」。主に20世紀初めに活躍したコルドバ出身の女性画家の作品がおさめられている。

次は、イスラム最後の王国の名残りを残すグラナダの「アルハンブラ宮殿」です。〈次号につづく〉

(2014年7月24日号)



 



 
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