太陽と白い家並み、フラメンコ、オリーブ・・・
スペイン・アンダルシア地方を行く (6)
イスラム色の濃い、グラナダの街を散策


〈 リポート・いろもとのりこ 〉


アンダルシアの旅もいよいよ終わりに近づいた。最後の地、グラナダ(Granada)のアルハンブラ以外の街の様子を紹介しよう。かつてグラナダ王国として栄えたこの地は、現在、人口約26万5000人の中都市。今でもイスラムの名残が色濃く残るユニークな街である。


▲アンダルシアの地図

■アラブの要塞都市、アルバイシン

グラナダの中心地からすぐ北に位置し、丘陵地になってちょうどアルハンブラ宮殿とダーロ川をへだてて向かい合っている地域がアルバイシンである。アラブの統治下にあったときは、城塞地域として重要な役割を占めていた。グラナダで最も古い地域でもある。要塞地だけに細い道は迷路のようで、いったん入り込んだら抜けられないような錯覚におちいる。


▲アルバイシンの展望台から見たアルハンブラ宮殿の夜景(2014年5月22日撮影)

丘の見晴らしのよいところにサンニコラス展望台があり、シエラネバダ山脈を後ろにひかえたアルハンブラ宮殿の全景を見ることができる。夜は宮殿がライトアップされるので、神秘的美しさはさらに増す。


▲アルバイシンの住宅街で見たアラブ式の家。美しい花や陶器が飾られている

このほかアルバイシンの中心地、ラルガ広場、アラブ様式に装飾された街並みと市内が一望できるロナ展望台などがある。今でもアラブ色の濃い雰囲気を味わうことができる地域である。

■ロマの住むサクラモンテ、フラメンコの里

アルバイシンからさらに北へ丘を上がって行くとサクラモンテという地区に出る。ここはロマ(旧称=ジプシー)たちが丘の斜面に穴を掘り、住居にして住んでいる。この洞窟住居は、夏は涼しく、冬は暖かいそうだ。この地区にサクラモンテ洞窟博物館があり、12のクエバ(Cueva =洞窟住居)が見られる。ここではロマの歴史や文化、実際の生活の様式も見ることができる。


▲サクラモンテのフラメンコショーを行うタブラオのひとつ「Cuevas Los Tarantos」。ここでショーを見た


▲タブラオ内は洞窟のようになっている


▲ロマ(ジプシー)の血が騒ぐ踊り手のフラメンコショー


▲踊り手と客席がすぐ近くなので熱演の汗が飛んできそう

サクラモンテ地区で一番有名なのがフラメンコショーを見せるタブラオ(エンターテイメント・バー)である。洞窟造りのタブラオでフラメンコショーをやっている店が5〜6軒ある。いずれも地元のロマのダンサーやギタリスト、歌手たちが血の騒ぐようなショーを、情熱を込めて演じる。踊る場所は狭いので、踊り手の汗が飛んできそうなくらい。ショーはたっぷり1時間半つづいた。

フラメンコショーは大体ホテルと契約していて、ホテルのフロントで申し込む。送迎バス、アルバイシンやサクラモンテのガイド付きツアー、フラメンコショー(フリー・ドリンク付き)などがセットになっている。私たちはアルハンブラ宮殿の前のホテル「ALIXARES」(後述)に泊まったので、そこで前日にフラメンコの予約をした。料金はすべて込みで30ユーロ(約45カナダドル)。ただ、フラメンコショーが始まるのは夜遅いので、行く日はお昼寝をしておいた方がよいだろう。ホテルに戻ったのは午前1時すぎだった。

■バル(バー)、レストラン、ギフトショップ街のあるカテドラル近辺

スペイン系の町はどこでもカテドラルがその町の中心地にある。グラナダも同じだ。カテドラル近辺に王室礼拝堂(イサベラ女王と夫のフェルナンド2世の遺骸が納められている)、博物館などがある。


▲グラナダの中心街。中央にカテドラルの尖塔が見える


▲カテドラルのすぐ近くのアラブ系ギフトショップ街「アルカイセリア」

カテドラルと平行して東へ一歩奥まった狭い通りに入ると、アルカイセリアと呼ばれるまるでアラブのような世界が現れる。同じようなアラブの工芸品を売るギフトショップがずらり並んでいる。

アルカイセリアを抜けると、ビブランブラ広場に出る。この広場の周囲はバル(Bar=タパスバー)やレストランが並び、選ぶのはよりどりみどり。ほとんどの店が広場に向けてパティオ席を設け、風よけのビニールテントを用意している。

グラナダでは、地元の人たちが行くバルではお酒を注文すると、無料でおつまみが出るところが多い。このおつまみでけっこうお腹がいっぱいになることも・・・。これらのバルはカテドラルより北の「ヌエバ広場」から西に入った Elvira 通りとその周辺の小路に多い。


▲山の斜面に広がるオリーブ畑

アンダルシア地方最後の訪問地、グラナダをあとにして今回の旅行の出発地マラガへ向かった。途中,行けども行けどもオリーブ畑の山々が連なり、スペインの特産オリーブが頭に焼きつけられるようだった。きっとトロントでオリーブを見るたびにアンダルシアのオリーブ畑を思い浮かべることだろう。(終わり)

〈Hotel ALIXARESのインフォメーション〉
アルハンブラ宮殿入り口の前にあるという絶好のロケーションにもかかわらず、宿泊料金がリーズナブル(1泊70ユーロ前後、朝食ビュッフェ込み)。バレットパーキングあり。夕食のビュッフェ(14ユーロ)ではパエリャや目の前で魚、肉類を焼いてくれるサービスもある。日本からのツアー旅行者グループもこのホテルを利用しているようだ。そのせいか、いろいろなサービスが早い。
www.hotelesporcel.com

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【取材を終えて】
初めてのアンダルシア地方旅行で感じたのは、スペインの経済がよくないせいか、物価がどこでもトロントに比べて安いこと。マラガの「イワシのグリル」なんて11尾で$6! どこでどうやって儲けるのだろうか?と、人ごとながら心配してしまう。バルのタパス(前菜)もほとんどが1皿1〜1.5ユーロ(CAN$1.50~$2)。

それで大失敗したことがある。カディス(Cadiz)のバルで、タパスを5〜6種注文したら、それが全部小型バゲットのサンドイッチだった。結局、中身だけいただいた。パンの山は夢にまで出てきそうだった。この地方ではそのサンドイッチが大変人気のようで、どこでもメニューにあった。注文したメニューは中身だけずらりと大きく書かれ、サンドイッチというのは一番上に小さく記してあったので気がつかなかった。というより1ユーロのサンドイッチは思いもつかなかった。

スペインは大都市から小都市に至るまで、どこででも闘牛場があり、競技が行われているようだ。昔、一度メキシコで闘牛を見たが、牛がかわいそうでとてもまともに見られなかった。スペイン人にしてみれば闘牛もりっぱな文化なのだろうが、どうも異質で今回も闘牛はパスさせてもらった。

アンダルシア地方では、どこでも人は親切で何を聞いてもよく教えてくれる。こんなことが、いつまでも印象に残るのかもしれない。

(2014年8月7日号)



 



 
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