モン・サン・ミッシェル 
ゴシック、ロマネスク2つの建築様式の修道院


〈 トロント 成松寿子 〉

パリから約350キロ北、ノルマンディー地方の海岸線から沖に1キロほど突き出た小島に海抜150メートルに達する修道院が高くそびえています。「モン・サン・ミッシェル(Mont-Saint-Michel)」は、南米ペルーの「マチュピチュ」と並んで世界の旅人の垂涎(すいえん)の的と言われます。


▲モン・サン・ミシェルに向かう観光客の列

石段は上の教会まで300段、教会の内陣はイギリスとの百年戦争で破壊されたため、尖(と)がっているゴシック様式に改築されています。身廊は建築当初そのままの丸みを帯びたロマネスク様式で、美術史上ふたつの様式が一堂に見られる稀有(けう)な建物です。
クロイスターズ(回廊)は2列のコロン(円柱)が並び、その美しさは卓越。名物料理はふわふわの「オムレツ」、本土と島の間の潮は干満の差が大きく、島との堤防がなかった頃は多くの僧や巡礼者が溺死(できし)、1979年にユネスコの世界遺産に登録、うんぬん。


▲モン・サン・ミシェル全景

パリからの観光バスツアーに参加しました。朝7時15分、定刻にルーブル美術館の隣から出発。旅程は14時間、夜9時15分にパリに戻る予定。参加費は大人115ユーロ(約CAN$165.00)です。

途中の休憩は20分のみ。パリのバスの発着所付近のカフェは午前7時半ごろにならないと開かないため、お腹をすかした乗客は我れ勝ちに休憩所へ急ぎます。モン・サン・ミッシェルへ着いたのは午後12時30分ごろ、長いバスの旅でした。


▲大通り「Grande Rue(グランド・リュ)」の細い坂を上る


▲名物オムレツの代わりにそば粉のクレープを食べる

バスを降りて、モン・サン・ミッシェルに向かいました。島の入り口の門から修道院に続く大通り「グランド・リュ」の坂道を歩いて行きます。大通りは狭い道で、両側にはお土産店、レストラン、ホテル、小博物館などがひしめき合っています。 レストランで、オムレツの代わりにそば粉のクレープを食べました。空腹だったためか美味しく感じました。


▲石段、石段・・・そして石段


▲観光客がぞろぞろ。左は新しい橋。今年7月22日に開通した

いよいよ修道院にたどり着く。石段、石段・・・そして石段。
高い所から下を見下ろすと、島と本土を結ぶ道路には観光客がぞろぞろ歩いているのが見えます。完成したばかりの新しい橋も立派です(この橋は今年7月22日に開通しました)。


▲ゴシック様式の内陣


▲ロマネスク様式の身廊

さて、修道院の内陣です。8世紀にカトリックの司教が神のお告げを受けて小さな礼拝堂を建てました。これがモン・サン・ミッシェルの始まりなのだそうです。その後、10世紀になって修道院の建設が行われ、何百年もの間、増築や改築が繰り返されてきました。
ゴシック様式の建築には目を見張るものがあります。
また、ロマネスク様式の身廊も、歴史を感じさせてくれました。


▲円柱が2列に並ぶ回廊


▲回廊内部

最上階にある回廊は、円柱が2列に並んでいて、中庭の草花の色と見事に調和して神秘的でさえありました。 回廊の内部の壁面には細かい模様が無数に彫刻されていて、当時のアーティストたちの卓越した才能ぶりがしのばれました。


▲帰りがけに見かけた引き潮の海を歩く家族連れ

帰りは午後3時30分に島の入り口の門に集合、と言っても必ず誰かが遅れます。あとパリまで2時間という途中の休憩所でアクシデント。バスのエンジンがおかしいということで、新しいのと交換するため、そのエンジンが到着するまで待機しなければならないとのことです。
「エンジンはパリからくるのではなく、近くの町から届きますから、さほど時間はかからないでしょう」
ドライバーは乗客に親切に説明します。
メカニックとドライバーの奮闘ぶりが、休憩所からよく見えます。
「他のバスを回してもらうように手配しました」
そして、バスが休憩所に着いたのは午後11時30分。パリに向かって出発したのは11時35分。夜中です。パリ市内に入ったのは午前1時35分。パリで、私がホテルの玄関に着いたのは午前2時5分前でした。

ホテルの入り口では、(前日の)朝早く、「行っていらっしゃい」と見送ってくれた同じ夜勤のフロントマンが言いました。 「えっ? 今戻ったの? でも、モン・サン・ミッシェルは素晴らしかったでしょう? 忘れられない一日になりましたね」

■モン・サン・ミッシェルのウェブサイト
www.ot-montsaintmichel.com

(2014年9月4日号)



 



 
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