【インタビュー】

「人と人の信頼関係を築く外交が大切」
中山泰則在トロント日本総領事


トロントの 中山泰則(なかやま・やすのり)日本総領事は、9月8日に着任して以来、活発に動き始めている。
ピアソン国際空港に降り立つと日系コミュニティーの有志の出迎えを受け、その日の晩には、国際協力基金トロント日本文化センターで開催された日本人映画監督歓迎レセプション「ジャパン・フィルム・ナイト」に駆けつけた。スピーチを行うとともに、トロント国際映画祭の関係者らと交流のひとときを持った。
「カナダは初めてですが、到着早々、日加双方の歓迎を受け、温かい心遣いに感銘を受けました」


▲中山泰則トロント総領事

ご覧になって、トロントはいかがですか?
「トロントはいろいろな魅力にあふれる所ですね。オフィス街は活気を感じるし、トロント大学の周辺はきれいな街並み、北のほうの住宅街は緑豊かで世界でも有数の美しさだと思います」
第一印象は、上々のようである。

トロント日本総領事としての抱負をお聞かせください。
「任務の柱として、在留邦人・日本関係企業への保護・支援、日系社会の皆様との連携、日本とカナダ、特にオンタリオ州との関係をより一層強化することなどが挙げられます。そして、日本の伝統文化・ポップカルチャー、日本語教育、青少年交流、日加双方の人的交流、さらに姉妹都市の交流にも力を入れていきたいと考えています」

在留邦人、移住者、日系人とどのように接していきたいとお考えですか?
「皆さん、カナダ社会の一員として溶け込んでおられるように見受けられますが、具体的にはカナダ社会への入り方が少しずつ異なっている面があるようです。その一つ一つが大切だと思うので、それぞれの状況をふまえてお付き合いし、支援していきたいと考えます。
特に日系人の方々は、戦中・戦後に大変ご苦労されたと伺っています。今、カナダ社会において日本に対して良い印象があるのは、日系人の方々が、長年にわたり、たゆまぬ努力をしてこられたことに負うところが大きいと伺っております。その点をふまえて日系人の方々との関係を一層強化していくことが大事だと思います」

中山総領事は1958年11月5日、横浜生まれ、55歳。東京大学法学部卒業後、外務省入省。外務省研修で英国オックスフォード大学に2年間留学、政治経済を専攻している。
外務省では、EU(欧州連合)日本政府代表部参事官、在インドネシア大使館参事官、領事局外国人課長などを経て、2006年在フィリピン日本国大使館公使、2009年軍縮会議日本政府代表部公使、2012年経済産業省大臣官房審議官(通商戦略担当)などを歴任。


▲執務中の中山総領事

「32年間の外務省生活で、トロントに着任する前は、イギリス、ドイツ、インドネシア、ベルギー(EU代表部)、フィリピン、スイス(ジュネーブ軍縮代表部)の6つの国に駐在しました。それぞれの任地で忘れられない思い出があります」

そのなかで特に思い出に残っていることを一つ披露してください。
「1996年から99年までジャカルタにある在インドネシア日本大使館に勤務していたのですが、98年に政権交代に絡んで暴動が起きました。その時、在留邦人に危険が及ぶことが懸念されまして、国外に在留邦人を脱出させるオペレーションを行いました。私は政務班長の立場で、主に情報の収集と分析に携わりました。結果的に邦人に被害がなかったので、ほっとしました」

外交の基本姿勢はどうあるべきだとお考えですか?
「外交とは、人と人との信頼関係が基礎となります。30年以上外交の仕事をしてきて、このことを強く感じます。いかに困難な状況においても、個人的な信頼関係が築かれていると、何らかの道が開かれるものです」

趣味は?
「特別な趣味はありませんが、強いていえば、江戸時代の風俗・文化に関心があり、歌舞伎を見たり落語を聞くのが好きです。時代小説の『半七捕物帳』なども読みますね。また、ジョギングもします」

トロントでのご活躍を期待しています。
「在任中は、出来るだけ多くの方々とお会いして、お話を伺って、何事をするにも誠心誠意努め、皆様のお役に立てればと考えています。ご指導・ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いします」

〈インタビュア・色本信夫〉

(2014年9月25日号)



 
 


 
 
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