【食べある記・トロント編】

体にやさしい独創的料理
「Windup Bird Cafe」─シェフは日本人女性!


トロントのダウンタウン、カレッジ通り(College St.)にいっぷう変わった名前のレストラン「Windup Bird Cafe」(ワインドアップ・バード・カフェ)がある。近辺にはチャイナタウンやケンシントンマーケットがあり、同じカレッジ通りにはアラブ料理やスペイン料理などエスニック系レストランも多い。


▲店のロゴ「ねじ」が目立つ外観。横にパティオもある

店名の「Windup Bird」は、村上春樹の小説「ねじまき鳥クロニコル」(英訳版「The Wind-Up Bird Chronicle」)から付けたという。店のオーナー3人のうち2人が作家で、村上春樹の大ファンだそうだ。

メニューの構成もユニークだ。一般的な前菜、メイン、デザートなどの分け方ではなく、料理を供する食器、または供し方によって分けている。たとえばディナーメニューでは「IN A JAR 」「IN A BOWL」「ON A BOARD」「UNDER THE KNIFE」「IN A SKILLET」・・・というふうに。さすが作家が経営する店だけあって、遊び心が満載?


▲店内はゆったりした空間。ケーキ類のテイクアウトコーナーもある

さらに一つひとつのメニューに、ベジタリアン、グルテンフリー、乳製品フリー、ナッツ類入りなどの表示がマークで示されているのもユニーク。アレルギーの人が安心して食べられるように気配りがされている。

一見フュージョン風だが、最近流行の奇をてらった料理ではない。材料の組み合わせと料理法が独創的で、どのメニューも試してみたくなる。中には、トーフ、ガンモドキ、ワサビ・タコなど、「えっ?」と思わせるような文字がメニューに入っている。

そのわけが分かった。何とこの店のシェフは日本人女性なのだ! 3人の経営者(パートナーシップ)のひとり、小林由美子さんである。ジョージブラウン・カレッジでお菓子のコースを取って学び、他店でも修業を重ね、昨年12月にこの店をオープンした。メニューはすべて由美子さんの手によるもの。

「基本的には地元の季節の材料を使って体に優しい料理作りを心がけています。最近はアレルギーの人が多いので、安心して食べていただけるよう工夫しています」と由美子シェフ。


▲アボカドと豆腐のグラタン

メニューの中からいくつかを紹介しよう。
「IN A BOWL」の「アボカドと豆腐のグラタン」($10)はクリーミーな豆腐とアボカドの味がマッチした逸品。上に添えられたフライド・オニオンのカリカリした食感と味が、いっそう豆腐を引き立ててくれる。


▲ガンモドキ豆腐パティ


▲独特のソースが決め手。ロースト・ラム

「IN A SKILLET」にある豆腐バーガー風の「ガンモドキ豆腐パティ」($7)はホームメイドのガンモドキとソースが自然体でおいしい。
一般的なメニューのひとつ「ロースト・ラム」($15)を試してみる。やはり、どこか他店とはちがう。ソースの隠し味にグルテンフリーのしょうゆが使われていて日本人好みに仕上がっている。

ほかにスープ、サラダ、「UNDER THE KNIFE」(生鮮もの)メニューには生ガキ、ワサビ・タコ、鯛(たい)のセビッチェ、サーモンタルタル、テンダーロインビーフのカルパッチョなどがある。


▲アプリコットのココナツタルト


▲アップルパイとチョコレートケーキの組み合わせ

ホームメイドのデザートは、特に由美子シェフが力をいれている。グルテンフリーのチョコレートケーキやアプリコットのココナツタルト、パッションフルーツ・ムース、マンゴ・チーズケーキなど。りんごなど季節の果物を使ったパイも人気のひとつ。

ランチとディナー、土曜と日曜にはブランチメニューもある。このブランチは人気が高い。

ワイン、ビール(地ビールのドラフトもある)、日本酒、それにこの店のオリジナルカクテルがそろっている。「ストーリーブック・カクテル」のメニューに「ノルウェーの森」というカクテルがあるのが面白い。

このレストランではオーナーの交友関係で作家たちが多く集まり、本や詩の朗読会、子供向けクッキングクラスなどのイベントもけっこう頻繁に催されている。

■Windup Bird Cafe
382 College St. Toronto(スパダイナとバサーストの間)
営業日:火〜土曜ランチ&ディナー、日曜ブランチのみ(月曜休み)
予約:647-349-6373

www.windupbird.ca

〈リポート・いろもとのりこ〉

(2014年10月16日号)



 



 
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