トルコ12日間周遊ツアー(2)
世界遺産「ハトゥシャシュ」と「カッパドキア」


〈トロント 松井祐実・記/ 写真撮影:Richard Severin〉



イスタンブールからバスで約6時間、首都アンカラへ。アンカラから世界遺産カッパドキアへ向かう途中、通常行かない別の世界遺産ハトゥシャシュで観光となる。ハトゥシャシュはアンカラから東に145キロほどの所にある。

まずハトゥシャシュ遺跡。ここは、紀元前18世紀ごろ、古代ヒッタイト王国の首都であったところで、ヒッタイトはエジプトで壮大な権力を持っていたラムセス2世も倒すほどの力を持っていたそうだ。


▲ハトゥシャシュの大神殿跡。大神殿は広大な土地に造られていた


▲王の門。とんがり帽子の像が発見された当時、人々はヒッタイト王だと思ってこの名前をつけたが、実際は兵士の像だったそうだ

そして、紀元前13世紀には世界最初の平和条約、「不可侵条約」がエジプトとの間で結ばれた場所でもあり、歴史的にとても重要な場所である。広大な土地には神殿や住居、城塞などがあったようだが、現在残っているのはいくつかの門や城門の一部だけで、あとは所々、石が置いてあるだけで、大神殿は今も発掘中である。


▲トゥタルヤ4世とシャルマ神のレリーフ。とてもきれいな形で残っている

町への入り口となる6カ所の門のうち、実際にあったのはライオンの門、スフィンクスの門、王の門。王の門のレリーフはレプリカで本物は博物館に収められているそうだ。


▲ギョレメ野外博物館内にある岩窟教会

さらにヤズルカヤ遺跡へ向かう。ヤズルカヤとはヒッタイトの聖所でヒッタイト最後の王、シュピルリウマ2世が父トゥタルヤ3世を祀(まつ)るために造られた場所で、紀元前13世紀に岩場をそのまま利用した露天神殿である。今は神殿の形は残っていなく土台だけである。岩場は広い部分、狭い部分があり、ヒッタイトは千の神を持つといわれるように、壁にはたくさんの神々が描かれている。


▲カッパドキア上空を飛んでいる観光気球。奇岩石と気球が夕日に染まり絵になる


▲ローズバレー。ピンク色の渓谷からこの名がつけられた。夕日を浴びた姿はさらにバラ色になってとても美しい

ハトゥシャッシュを後にバスで約3時間、カッパドキアへ。
カッパドキアではまず、ギョレメ野外博物館へ行く。ギョレメとはトルコ語で「見てはならないもの」という意味らしい。ここには迫害から逃れ定住したキリスト教徒が造った多くの岩窟教会が集まっている。現在見学できるのはごく一部であるが、一見の価値がある見事な野外博物館である。


▲カイマクル地下都市の内部。狭い通路や階段、低い天井で歩くのがやっとであった。昔の人は背が低かったのであろうか?

次の日はカッパドキアの終日観光。まず、カイマクル地下都市。ここは、地下8階(深さ55メートル)の巨大地下都市で、キリスト教徒がイスラム教徒の迫害から逃れるために作られたと考えられている。推定5000人から2万人が暮らしたとみられる。

とても狭い通路や低い天井で、生活をするのに不便であったのではないかと思われるが、教会、学校、ワイナリー、台所や食糧庫なども完備されていたようだ。通気孔もいたるところにあり、外からの空気を入れていたとされる。

カッパドキアには現在36カ所の地下都市が確認されていて、一部の地下都市同士は地下でつながっているともいわれている。この地下都市は、ただただ驚きの世界遺産である。


▲ウチヒサール。カッパドキアで一番高い所に位置する村で、たくさんの岩の中に大勢の人が住んでいたとは驚きである

次に訪れたのはウチヒサール。ウチヒサールはカッパドキアの中でももっとも高い位置にある村で、「3つの要塞」または「尖った砦(とりで)」という意味だそうだ。岩をくりぬいた住居がたくさんあり、最近まで人が住んでいた。また、岩にはたくさんの穴が開いていて、これは「鳩の家」といわれる鳩の巣だそう。
昔からこの地に住む人たちは鳩の糞(ふん)を集めてブドウ畑の肥料にしていた。


▲ゼルベの谷。たくさんのキノコの形をした奇岩石があちらこちらに点在。自然の力が起こした不思議な光景である。

続いてゼルベの谷。ここはキノコの形をした岩が連なる奇岩群地域で、ラクダの形に見えるラクダ岩や三姉妹の岩など見ることができる。

夕日が当たると、また違ったカッパドキアのすばらしい不思議な風景が広がる。
カッパドキア付近には洞窟に住んでいる家族がたくさんあったが、今ではかなり少なくなってきているそうだ。そのうちの1家族、3世代にわたり住んでいるという家庭を訪問する。


▲訪問した洞窟の家のリビングルーム。外から見たのとは感じが違い、わりと居心地がよさそうだった

階段を上り、入り口で靴を脱ぎ、狭い入り口を入るとキッチン、そのまま進んでいくとかなり広いリビングが広がる。ツアー客36名が入っても狭さを感じなかったことでも広さがわかると思う。床にはたくさんの絨毯(じゅうたん)が敷き詰められている。すべてこの家のお母さんの手作りの絨毯だそうだ。テレビもあり、普通の暮らしをしている。洞窟の中は夏涼しく冬暖かいそうで、私たちが行ったときも、外はちょっとひんやりだったが家の中は暖かかった。

リビングの下にも階があり、そこは寝室になっているとのこと。高さも十分で、快適な暮らしをしているようだ。この家のお母さんいわく、洞窟で暮らすことには特に不便は何も感じていないそうだが、ただ世界文化遺産であるため、中を改装、改築したりと勝手なことができないことが唯一難点であると。もし政府に断りなく改装、改築などをした場合は、刑務所行きとなるそうだ。

カッパドキアは広大な範囲に見どころが点在しているため、観光には少なくとも2日は必要である。

〈次号につづく〉

(2014年11月20日号)



 



 
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