トルコ12日間周遊ツアー(4)
重要遺跡エフェソス 〜 世界遺産トロイ


〈トロント 松井祐実・記 / 写真撮影:Richard Severin〉


▲Ephesus, Turkey

パムッカレで1泊した後、約3時間かけて重要遺跡エフェソス(Ephesus)へ。エフェソスはトルコの南西、エーゲ海沿岸を望む丘陵地帯にある小アジア最大の古代都市遺跡である。紀元前11世紀頃、ギリシャからやってきたイオニア人によって築かれ、港湾都市として繁栄した。


▲エーゲ海。地中海とはまたひと味違って、いつまでも眺めていたい気分にさせてくれる風景だ

港が土砂に埋まったり、 疫病などが発生したりしたため、市街地は沿岸から山間部に移動している。ローマ帝国の支配下になっても繁栄し続け、人口25万人ほどの 大都市へと発展した。


▲エフェソスのクレテス通り。ヘラクレスの門から図書館へと続く道路で、当時はたいへんにぎわっていたのであろう


▲エフェソス遺跡の中でも有名なケルスス図書館。アレキサンドリア、ベルガマと並んでギリシャの三大図書館の一つであった

町には野外円形劇場、図書館、裁判所、オデオン(音楽堂)のほか、公衆トイレ、公衆浴場の跡、変わった所では娼婦宿の跡なども見られる。保存状態も良く、都市が丸ごと残っている。こんな遺跡は珍しいのではないのだろうか。通りを歩いていると、当時の町の様子、市民の生活ぶりが目の前に浮かんできそうであった。

中でも、図書館はエフェソスでもっとも大きな建造物であり、1万2000冊を超える蔵書があったそうだ。余談であるが、当時この図書館から近くにある娼婦宿までは秘密の通路でつながっていたのだそうだ。


▲野外円形大劇場。高さ38メートル、直径158メートルの半月形で2万4000人も収容できるぐらい大きな劇場であった

また野外円形劇場は音響効果が良く、今まで見て来たクサントス、ヒエロポリスの野外円形劇場とは比べものにならないくらい規模が大きい。2万4000人を収容できるそうだ。現在でもコンサートなどに使われているという。


▲公衆トイレ跡。仕切りもない野外トイレだが、大理石で出来ていてなんと水洗式。この当時から下水システムがあったとは驚きである


▲娼婦宿の場所を示す広告。ちょっと分かりにくいが、左下に愛を意味するハートのマーク、足形は娼婦宿がある方向を示しているそうだ

今回私たちは行かなかったが、古代世界の7不思議のひとつアルテミス神殿もある。かつては、127本の円柱が並び、19メートルの高さを誇る、アテネのパルテノン神殿よりも大きな神殿だったそうだ。現在は柱が1本立っているだけの寂しい遺跡。このエフェソス都市遺跡は、歴史や遺跡に興味がなくても感動し興味を持てるほどすばらしい都市遺跡であると思う。

エフェソスを後に続いて向かったのがトロイ(Troy)遺跡。トロイは紀元前2500年〜2000年頃にエーゲ海岸の交易の中心として栄えていた。その後はローマ時代の紀元前300年頃まで栄えては滅びを繰り返し、常にその上に再建をするという形で、何と9層にわたる都市遺跡を形成している。その後、徐々に衰退し、5世紀には完全に忘れ去られてしまったようだ。

トロイ遺跡はドイツ人シュリーマンなくしては発見されなかったであろう。シュリーマンは子供の頃にホメロスの「イーリアス」という叙事詩を聞き、伝説といわれていた「トロイ戦争」の話を本当だと信じ、大人になってから実費でトロイ遺跡の発掘をした人物である。

ここまでだと夢とロマンのある人のように思えるが、結果としてシュリーマンは、発掘した財宝などをすべて自分のものにしてしてしまったという。さらに手当たりしだい発掘したこともあり、他の時代層を壊してしまった。今その財宝は行方不明でどこにあるのかわからないようだ。


▲有名なトロイの木馬。1975年に造られた伝説上の木馬の複製が遺跡の入り口にシンボルとして設置されている。階段を上って中に入ることも出来る

私自身、この旅行に参加するまでトロイのことで知っていたのは、ブラッド・ピット主演映画「トロイ」(2004年公開)とトロイの木馬だけで、他には何も知らなかったが、実際に訪れるのをけっこう楽しみにしていた。しかし、行ってみてがっかりだったのが本音である。


▲トロイ遺跡、第6市の城壁。紀元前1800年〜1300年頃、トロイが最盛期だった当時の城壁


▲聖域。儀式に使われた場所で、井戸は生贄(いけにえ)の血を貯めるためのものと、流すためのものの2つがある

トロイ戦争で出てくる木馬はあったが、観光客用に造られたモニュメントで、立派とは言いがたい。後ろはたくさんの石が積み重ねてある城壁。ほとんど石がごろごろしているか積み重ねて城壁になっているかで、ほかには何もない。再建を繰り返し、古い遺跡が下に埋もれてしまっている状態なので無理もないが、映画「トロイ」を思い浮かべていくと、がっかりすることになる。

トロイ遺跡観光後、フェリー乗り場まで約3時間ほどバスで走り、フェリー乗り場からバスごとフェリーに乗る。ここフェリー乗り場があるチャナッカレ地区は、エーゲ海の東端アジアとヨーロッパの間に横たわるダーダルネス海峡に面した港町である。


▲マルマラ海とその湾岸都市

ここからマルマラ海の対岸ヨーロッパ側に位置する港湾都市まで約1時間弱のフェリーの旅である。ダーダネルス海峡を渡りマルマラ海対岸の港にバスごと上陸し、一路イスタンブールへ。
マルマラ海はトルコのアジア側とバルカン半島の東ヨーロッパ側に横たわる海で、地中海への出口がダーダネルス海峡、黒海への入り口がボスポラス海峡になっている。(次号につづく)

(2014年12月4日号)
 



 



 
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