【世界の街角から】

トルコ12日間周遊ツアー(5)
トルコの食・文化・風習と親日関係


〈トロント 松井祐実・記 / 写真撮影:Richard Severin〉



トルコをイスタンブールから時計回りで1周したが、それぞれの地域がとても個性的で味わいがある。トルコへ行ってみて驚いたことは、トルコは食がとても豊かであるということだ。知らなかったのだが、トルコ料理はフランス料理、中華料理とともに世界三大料理の一つなのだそうだ。

確かに東西の食文化が入り混じって種類がとても多い。なかでもオリーブ、ヨーグルトはトルコが発祥の地とのこと。気候が温暖な地中海地方、エーゲ海地方では野菜、果物がとても豊富に採れ、トロピカルフルーツ以外はほとんど栽培が可能のようだ。

さらにワインも発祥の地という説もある。バスで移動中、車窓からいろいろな植物を栽培している風景を垣間見ることができた。


▲どこのホテルに行っても朝食のパンの種類は豊富。トルコ人はパンが主食で驚くほどパンを食べる


▲野菜の種類もとても豊富。無農薬の野菜で葉っぱが大きく、色も味も濃く、野菜を食べていることを実感する

ヨーグルト、白チーズ、オリーブ、ハム、蜂蜜、パン、野菜、果物はどのホテルに泊まっても、必ず朝食に付いている。パンの種類はとても豊富で、カナダでパンを美味しいと思ったことはあまりないが、トルコはどこへ行ってもパンがとても美味しかった。


▲どこのホテルにもたいてい置いてある蜂蜜のかたまり。自然いっぱいの味である

今回、12日間トルコを旅して、いろいろな料理を食べたが、どこへ行っても日本人の口に合い美味しいと思った。調理方法も豊富で、野菜は味が濃く、魚料理が意外にも美味しいので驚いた。

▲見た目は普通のさばのサンドイッチとカタクチイワシ(アンチョビー)のフライだが、これが絶品! 全く臭みがなく骨もなく、味もまろやかで魚が嫌いな人でもつい食べてしまう ▲マスの焼き魚。あまり焼き魚が好きでない私でも美味しくペロリと食べられた

▲カッパドキアの洞窟レストランのメニュー。大きな壺の中に入れたものを壺ごと焼いて、出来上がったら壺を割り、中身を食べるという煮込み料理。シチューのような感じで美味しかった

特に私が美味しいと思ったのは、茄子(なす)に肉の詰め物がしてあるトマト味の料理とカタクチイワシのフライ、さらにトルコ人の軽食、さばのサンドイッチが絶品であった。


▲トルコ名物のアイスクリーム「ドンドゥルマ」。アイスクリームだけでなくアイスクリームを売るお兄さんのパフォーマンスを見るのも面白い

デザートも豊富にあるが、ほとんどがとても甘い。ただトルコは砂糖大根(テンサイ)を使用しているためか、あっさりとした甘さである。
デザートといえば、変わったところではトルコには「ドンドゥルマ」と呼ばれる、伸びるアイスがある。味は普通のバニラアイスクリームと変わりないが、サーレップといわれる植物を使用することで、粘りのある伸びるアイスクリームができるのだそうだ。

また、トルコは絨毯(じゅうたん)も特産品であり、特にキリムといわれる毛足のない薄手の絨毯を幅広く使っているようだ。キリムはもともと移動生活を行う遊牧民であったトルコ人の祖先たちにとって、軽くて折りたため、持ち運びが出来る最適な家財道具の一つとして大切に使われてきた。


▲カッパドキアの絨毯(じゅうたん)工場にて、絨毯を織るトルコ女性。何種類もの色の糸を間違えずに織っていく大変な作業である

ガイドさんの話によると、もともとトルコの女性は結婚をする前までに7〜8枚の絨毯を織り何枚かの刺しゅうやレースなどを作らないと結婚相手が見つからないという風習があったそうだ。今ではその風習も薄れてきているようで、中央アナトリア地方で残っているくらいだそうだ。
中央アナトリア地方は気候的に作物が育ちにくいため、家庭の収入は女性が織る絨毯に頼るしかなく、それでしっかりした良い絨毯を織る女性には縁談が来るということらしい。

トルコを周遊してみてほかに思ったことは、イスタンブール以外の土地では女性が働いている姿を見ることはほとんどなく、レストラン、ホテルなどもほとんど男性が働いているのみであった。理由はどうやらトルコ人の嫉妬(しっと)深さからきているようである。

そのせいか、どこへ行っても見かける「ナザール・ポンジュ」。これはトルコ古来からの魔除けで、お土産屋さんでも必ず売っている。日本人の間では通称「目玉」といわれているように、吸い込まれそうな青い目玉は邪視から身を守ってくれると信じられている。割れると自分の代わりに邪視を受け止めてくれたということなのだそうだ。


▲トルコのお風呂、ハマム。内装はいたってシンプルであるが、スチームがすごく蒸し蒸ししていた

トルコには、また、「ハマム」といわれる蒸し風呂の習慣がある。日本のように入浴するのではないのだが、「ハマム」全体が蒸し風呂状態になっていて、中央にある大理石の台が暖かくなっているので、そこに寝そべったりして体を温める。日本の銭湯のようにお湯が出る蛇口と桶(おけ)のようなものがあるので、自分の石鹸(せっけん)やシャンプーを持っていって体を洗うこともできる。または別料金だが、あかすりやマッサージなどを頼むことができるそうだ。

最後に、トルコ人が親日家であることはよく知られていることであるが、その理由はあまり知られていないようである。1890年(明治23年)9月、親善訪日使節団を乗せたオスマン帝国の軍艦 「エルトゥールル号」が台風による強風と高波により日本の本州最南端の和歌山県串本町沖で座礁し沈没した。

犠牲者は500名以上という大惨事となったが、串本町大島住民の懸命な救助活動によって69名を救出することができた。住民たちはまた、自分たちの食料や衣類なども提供し、献身的な救助活動をした。日本政府は生存者69名を無事イスタンブールまで送り届けている。トルコでは今もこの事件のことを学校の教科書に載せているそうだ。これが日本とトルコを結ぶ友好関係の原点であるという。


▲トルコ中どこへ行っても必ず見かける猫たち。特にエフェソス遺跡の辺りは猫がたくさんだった

知らないことだらけのトルコであったが、トルコを知ってさらにトルコが好きになった。(おわり)

(2014年12月11日号)



 



 
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