【ひと】

花に「和と洋の融合」を目指す
フラワーデザイナー、清水雅美さん


〈取材・いろもとのりこ〉

トロント地域には和風生け花をたしなむ日本人、日系人はかなりの数にのぼる。しかし、洋風フラワーアレンジメントに和のテーストを取り入れて「和と洋の融合」を目指している人は少ないのではないだろうか。


▲フラワ−デザイナー清水雅美さん

そんな数少ないフラワーデザイナーのひとりが清水雅美(しみず・まさみ)さん。この道10年以上の経験と共に、基本である花の知識は約14年間勤めた花店でも学ぶ。昨年、花店を退職し、多岐にわたるフラワーデザインのビジネス「Flower Bell」を立ち上げた。

清水さんがフラワーデザイナーになったきっかけや道のり、そして「Flower Bell」ではどんな仕事をされるのかをうかがった。

■子育てを終え「自分にやれるものは何か」、そして花の世界に

清水さんは大阪府三島郡山崎(現在放映中のHNK連続ドラマ「マッサン」で一躍有名になったところ)の出身。神戸の短大で幼児教育科を専攻。卒業後5年間ほど幼稚園で先生をしていた。

「結婚後、のびのび子供を育てたいと思いまして、25年前にカナダに移住してきました」。ご主人は日系企業に勤務している。

3人の子供(現在23歳、21歳、16歳)を授かり、一番下の子供が2歳になったころ、「子育てが終わったら将来、カナダ社会で何か自分にできること、打ち込めることはないだろうかと考えました」

一時、日本でやっていた幼稚園の先生への道も考えたそうだが、資格の取得、言葉の問題もあって、「思い切って新しい仕事にチャレンジすることに決めました。昔から花が好きでしたし、手がけた作品を通して人種に関係なく、言葉の壁があっても自分の思いを伝えることができると思い、決心しました」

こうしてフラワーデザイナーへの道を進むことに。

■セネカカレッジで「洋」、生け花で「和」を学ぶ

フラワーデザインの基本を学ぶためにノースヨークのセネカカレッジで「プロフェッショナル・フローラルデザイン科」に入学、卒業。その後、花屋に勤め、花の知識を実践で勉強。また、生け花「草月」も学ぶ。

お客さまに「あなたの作品はとてもユニークだ。カナダ人にはないセンスがある」と言われて、このときに「何か人と違うものが作りたい。和と洋を融合させたユニークな作品」を目指すことを決意する。

「花店では最初は何も分からず、苦労しました。学校で学びながら、また、デザイナーとして仕事をしながらも14年間続けてこられたのはお花が好きだからこそです。そしてこれらの経験が花ビジネスのノウハウ、花の仕入れ方法などにもずいぶん役に立っています」

その間、花店勤務にも慣れた2007年ころ、自宅で「フラワーアレンジメント」のクラスを持つことになった。

■生徒一人ひとりの個性を大切に

清水さんのフラワーアレンジメントクラスは、トロント郊外、ユニオンビルの自宅スタジオで週に数回行われている。1月半ばのクラスにお邪魔してクラスの様子を見学させていただいた。


▲フラワーアレンジメントのクラス風景。この日のテーマは、竹をモチーフに和と洋の融合を目指す

当日の生徒さんは日本人ばかり5人(1クラスは目の行き届く5人までと決めているそうだ)。それぞれに使う花が用意されている。テーマはお正月にちなんで竹をあしらった花のアレンジ。まさに和と洋の融合である。


▲制作に集中し、だんだん仕上がって行く。花器代わりの皿は自宅から食器として使っているものを持参

清水さんが基本の理念を教え、あとは生徒さんのアイデアや想像力を聞きながら作り上げて行く。もちろん、途中でアドバイスをすることも度々ある。皆さん、試行錯誤しながら一生懸命に作業を重ねていく。完成したときの喜びはひとしおだ。

▲出来上がった生徒さんの作品から ▲生徒さんの作品のひとつ


「レッスンで一番心がけているのは、生徒さんの個性を精いっぱい引き出してあげることです。そして作り上げていく心のときめき、時に安らぎの時間ともなり、笑顔で帰っていただくのが何よりです」と。 作品への集中力は、ストレス解消にもつながりそうだ。最近は日本人クラスの他に中国人をはじめマルチカルチャーなクラスもできている。

■結婚式、誕生日、バレンタインデー・・・など多岐

ここで清水さんのフラワーアレンジメント、クラス以外の「Flower Bell」の仕事内容を紹介していただこう。


▲清楚なウエディング・ブーケ
 
▲ウエディングのインテリア用フラワーアレンジメント
 
▲ウエディング・ブーケ ▲ハッピーなムードいっぱい


「生花、造花、ドライフラワーなどを使用して、結婚式の花のプラニング、制作、設営。バレンタインデー、母の日、誕生日、クリスマスやイベント、あらゆる冠婚葬祭用の制作と販売などです」
およそ花に関するすべてを網羅しているようだ。そこで、これらの注文を受けたときにデザインに関して気をつけていることをうかがった。

▲シンプルでかわいい
 
▲和と洋の融合を感じさせるアレンジメント ▲心が和(なご)むブーケ


「特に結婚式などでは、自分の意見を押し付けないこと。いかに花嫁さんがイメージしているデザインに近づけられるか、何度もミーティングを重ね、いろいろな方面からアイデアを聞き、そのあと専門的な知識でアドバイスをしていきます。お客様が不安のない、納得のいくコンサルテーションを心がけています」

これまでに日系社会では、トロント補習授業校での入学&卒業の式花、J-TOWNでのイベント用フラワーアレンジメント販売、クリスマスクラフトセールの開催などにも職域を広げている。

仕事に使用する花はすべて自分で買い付けをする清水さん。「新鮮なお花を提供することが第一条件ですから、卸屋に空輸で届いたばかりの花を買い付けに行きます。カナダは日本に比べると花の種類、色がかなり少なく、欲しい花が手に入らないことが一番辛いですね」

■「フラワーセラピー」でお年寄りを元気に・・・

現在は多方面で活躍し、アレンジメント教室、お客さまの対応に追われる日々ではあるが、最後に将来の夢をうかがった。 「自分がおばあちゃんになる前にこれから時間を見つけて、お年寄りの方などにお花に触れていただくフラワーセラピーとして、笑顔を届け、元気になっていただくお手伝いがしたい、と思っています」

〈Flower Bell問い合わせ〉
◎メール:info@flowerbell.ca
◎ウェブサイト:www.flowerbell.ca
◎連絡先:Tel. 647-899-7468
*バレンタインブーケの注文を受付中(ディスカウントあり)。オンラインで申し込む場合はプロモーション・コード:enikkaflowerbellを入力。セール締め切りは、2月6日(金)。詳細はウェブサイトを参照のこと。

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【取材を終えて】
清水雅美さんの自宅でのフラワーアレンジメント教室に一歩足を入れると、花の香りがフワッと漂ってくる。それもそのはず、テーブルいっぱいに広げられた花々。見ているだけでも時間がたつのを忘れてしまうくらいひきつけられてしまう。花を見て怒る人はいないから、やはりセラピーにはもってこい。
それにしても清水さんの生徒さんへのきめ細かいアドバイスには感心させられた。

(2015年1月29日号)



 



 
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