【太鼓芸能集団】

「鼓童」カナダ5都市でコンサート開催
中心的メンバー・坂本雅幸さんにインタビュー


〈 取材・編集部 〉

日本国内はもとより海外でも幅広く演奏活動を繰り広げる太鼓芸能集団「鼓童」。北米ツアーの一環として、1月から3月にかけてカナダの5都市を巡演する。今回は「鼓童ワン・アース・ツアー2015〜神秘」と銘打って、バンクーバー(1月29日)を皮切りに、ケベックシティー(3月5日)、モントリオール(3月7日)、オタワ(3月9日)、トロント(3月12日)でコンサートを開催する。
カナダツアーの鼓童一行は、演奏者が15人、それにスタッフが加わる。年齢層を見ると、下は21歳から上は31歳まで、平均年齢は24歳だという。

本紙は、鼓童で中心的メンバーとして活躍している坂本雅幸(さかもと・まさゆき)さんにお話を聞く機会を得た。1月18日、スカイプで坂本さんにインタビューさせていただいた。


▲坂本雅幸さん(撮影・岡本隆史)


▲自身が作曲した「霹靂」(へきれき)を演奏する坂本雅幸さん(撮影・岡本隆史)

まず、略歴をご紹介しよう。
坂本雅幸さんは1984年、岡山県久米町(現在の津山市)生まれ、30歳。2003年、新潟県の佐渡島にある「鼓童村」の研修所に入所、2006年よりメンバー。主に太鼓を担当、ソロやセンターポジションを務める。
日本国内および外国での公演はもとより、さまざまなジャンルのアーティストとの共演・外部演出作品などに数多く出演し、アンサンブルの要(かなめ)として舞台をリードする。力強さと繊細さを兼ね備え、さまざまな演目をしなやかに打ちこなしてゆく鼓童の中心的奏者である。
自身が作曲した「霹靂」(へきれき)で「神秘」公演のクライマックスを飾る。


【Q】今回のカナダツアーのテーマは「神秘」と伺っていますが、特にどのような点に力を入れているのでしょうか?

太鼓をメインにして、そこに照明の効果を加えます。暗闇から始まって光に移行する「闇と光」、そんな演出を試みているのです。
日本の地方の伝統芸能をふんだんに取り入れているのがポイントです。たとえば、島根県石見(いわみ)地方の神楽の大蛇(おろち)、秋田の「なまはげ」、三宅島や秩父のお祭りの太鼓などを採り入れて、神秘的な演出の舞台をお届けします。 このため、私たちメンバーは、それぞれの地方に足を運んで、何カ月も地元の人から教えてもらいました。


▲鼓童の「神秘」(撮影・岡本隆史)


▲「明けの明星」(撮影・岡本隆史)


▲「なまはげ」(撮影・岡本隆史)


【Q】太鼓と異種のものとのコラボレーションという人もいますが、太鼓表現のダイナミズムと日本に伝わる神事・民族芸能との融合について、ご説明ください。

鼓童の舞台は太鼓がメインなので、コラボという感覚はありません。大蛇や獅子にも太鼓が入っていますからね。
海外公演でよく「日本は仏教と神道の国だが、太鼓は神や仏とつながりがあるのか」と質問されます。こんな時、「直接のつながりはありませんが、舞台創作の中で、元の芸能と信仰とのつながりを再認識しています」と答えています。
また、「なまはげ」には太鼓も踊りもありません。そこに、自分たちで音楽を加えて、お客様に何かしら想像をふくらませてもらえるのではないかと期待しています。


【Q】芸術監督の坂東玉三郎氏は有名な歌舞伎役者ですが、その玉三郎さんが鼓童の演出をしておられる。どのような指導をされているのでしょうか。

玉三郎さんは歌舞伎の第一線で活躍しておられ、日本の伝統芸能の最前線に立つ方ですが、一方で、西洋文化も何でも取り入れる度量の広い方でもあります。
今から15年ほど前、鼓童が創作上の壁にぶつかっていた当時、それを打ち破るために玉三郎さんが招かれました。

そして、舞台を創作すること、舞台人としての在り方、体調管理の仕方など、あらゆることを指導していただきました。 たとえば、舞台に出る衣装一つについてもご指導をいただきました。はんてん、締め込みなど、従来のスタイルから大きく変わりましたね。
初めのころは、戸惑うことがありましたが、太鼓の表現としても、いざやってみると、それが腑(ふ)に落ちるのです。


▲「神秘」の稽古で指導する坂東玉三郎さん(撮影・岡本隆史)


▲稽古の合間に和やかな歓談のひととき。右端は坂東玉三郎さん(撮影・岡本隆史)

玉三郎さんは臨機応変の人でもあります。開演直前でも、演出を変更することがありました。たとえば、パリ公演のとき、会場の観客の雰囲気を読み取って、急きょ、舞台で派手な演技はやめようということになったこともありました。 新しい演目で、なかなか挑戦できずに悩んでいるときなど、玉三郎さんの言葉は力になります。


【Q】カナダでは、鼓童をはじめ、他の太鼓集団が来演している影響などもあるせいか、全国各地に太鼓グループが誕生しています。それに関してご感想をお聞かせください。

カナダもそうですが、ヨーロッパやアフリカなど、世界中どこに行っても和太鼓のグループがあるのは、うれしいことです。 地域のコミュニティーなどが、これから力を合わせて和太鼓の更なる普及に励んでいかれるといいですね。私たち鼓童も、これからますますレベルアップしなくてはならないと考えています。

アメリカやカナダのいくつかの太鼓グループとの交流会も行っています。2年に一度、北米の太鼓奏者を佐渡に招いて太鼓ワークショップを開いています。カナダ関係では、モントリオールの嵐太鼓(あらしだいこ)とは、何年間にもわたり交流を図ってきていますが、他の太鼓グループとももっと輪を広げたいですね。


▲鼓童の「獅子舞」(撮影・岡本隆史)


▲「あじゃら」(撮影・岡本隆史)


【Q】今回のカナダツアーにあたり、太鼓ファンの皆さんに一言、どうぞ。

坂東玉三郎さんの演出作品を、カナダで上演するのは今回が初めてです。それだけに、鼓童のメンバー一同、しっかりと玉三郎さんの舞台をやり遂げたいと張り切っています。
玉三郎さんの演出によって、今まで知らなかった方々にも鼓童の演奏が興味を持っていただけることを期待しています。
太鼓だけではなく、視野を広げて、芸術として私たちの舞台を見てもらえれば、うれしいです。

■「鼓童ワン・アース・ツアー2015〜神秘」
 カナダコンサート日程
・1月29日(木)バンクーバー Queen Elizabeth Theatre
・3月5日(木)ケベックシティー Grand Theatre de Quebec
・3月7日(土)モントリオール Place des Arts − Salle Wilfrid Pelletier
・3月9日(月)オタワ Southam Hall
・3月12日(木)トロント Sony Centre for the Performing Arts

鼓童ウェブサイト:www.kodo.or.jp

(2015年2月12日号)



 



 
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