【早春の風に吹かれて】

「Nori Tori」ってご存じですか?
BC州ジョージア海峡ガブリオラ島に行ってきました


〈 ビクトリア市・サンダース宮松敬子 〉

まだ2月だというのに、BC州ビクトリアではすでに春の兆しがそこここに感じられます。今年は暖冬とのことですが、余りに早い暖かい日々に、スキー場以外は文句を言う人はいません。
そんな早春の風が肌に心地よい2月8日の日曜日、ビクトリアの日系人グループの企画による「Nori Tori」という毎年恒例のイベントが行われました。

最初にこの耳新しい言葉を聞いたとき、それがすぐに「海苔採り」(のりとり)とは思い付きませんでした。もちろん海苔が海に横たわっているわけではなく、つまり海辺に群生する「海草」を採って乾燥させ「海苔風」に仕上げることなのです。



場所はバンクーバーアイランドと本土の間に横たわる大きなジョージア海峡にある Gabriola Island(ガブリオラ島)。この海峡には大小無数の島が点在し、そのどれもがそれぞれの特徴を有し風光明美なのです。どの島にもそこに一年中住んでいる人もいれば、別荘を持ち、季節のよい時にだけ訪れる人もいます。

バンクーバーアイランドからこの島に渡るには、Nanaimo(ナナイモ)という街(ビクトリアから北へ車で1時間半ほど)の波止場から出るフェリーを利用します。


▲ナナイモのフェリー乗り場

海峡から見るナナイモの街にはモクモクと煙をはく製紙工場が見えます。においを伴っているため慣れない者にはちょっと不快なのですが、街の人々は「住めば気にならなくなる」と言い、「Smell of Money」と笑います。経済発展に貢献してくれていることの方が大事と思っているようです。


▲タンカー船

フェリーは20分ほどで到着しますが、海峡には大きなタンカー船が何隻も見られ、その深さが想像されます。

よく整備された船着場から15分ほどの所にある海草採集に適した海岸には、近くに灯台が見え、何とものどかな風景です。今年は暖冬で寒さは感じられないとは言え、なぜ2月のこの時期かと言えば、まだ海草が柔らかく摘み取り易いうえ、味もまろやかなためとのこと。


▲灯台の遠景

作業を開始する前には、まず長靴にはき替え、ひざをつけるようにニーパットを巻いてから、道具一式を持参して海岸に向かうのです。何と見渡す限りどの岩にも海草がこびりついており、どこから始めたらいいか迷うほどです。


▲道具一式


▲見渡す限り海草の宝庫


▲岩にこびりついた海草


▲片手で海草をつまみナイフやハサミで切り取る

みんな冗談を言いながら、片手で海草をつまみ、ハサミやナイフで切り取る作業を黙々とこなし、30分ほどで持参のバケツに半分くらい採集しました。


▲採集風景


▲バケツに集めた海草

このあとは、この島にコテージを持っている日系人のお宅に集まって、各自持参のポットラック(持ち寄り料理)を楽しみ、帰途につきました。

すでに何回もこのイベントに参加している人たちは、四方を板で囲い、中に網を張った手作りの自然乾燥用の道具を持っている人もいるようです。ちょうど梅干しを作る時のように、干しては取り込む作業を何回か繰り返し完全に乾燥させるとのこと。
また食料乾燥機で処理する人もいるようです。


▲電気乾燥機で乾燥させる

しかし私はそんな道具がないため、全く自己流を試みました。
まず海草から細かい砂、砕けた貝殻、小さな虫などを取り除くために何回も洗浄します。
それをパーチメント・ペーパーを敷いた上にのばし、焦げないように注意しながらオーブンでブロイルしました。市販の寿司用海苔からはほど遠いのですが、パリパリして残った塩気が程よくビールのおつまみになります。


▲パーチメント紙の上にのばしたもの

また数時間以上お鍋でゆっくりと煮て柔らかくなったら水気を切り、日本料理定番の醤油、みりん、砂糖で味付けすると「自家製佃煮(つくだに)風」になり温かいご飯と共に楽しめます。


▲海苔の佃煮風の出来上がり

これでもか、と思うほど洗浄はしても小さな貝殻などが多少残りますが、そこはご愛嬌。手作 りの良さと思えば「それまた楽し」です。

(2015年2月19日号)



 
 


 
 
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