エコフレンドリーの模範リゾート目指す
新興リゾート地、メキシコ・フアツルコ


〈トロント 小窪潤蔵・記〉

零下15度の極寒の2月初旬、トロントからジェット機で南へ飛ぶこと5時間、メキシコ南端でグアテマラ国境に近い太平洋岸のリゾート地フアツルコ(Huatulco)に到着した。ジャングル林に忽然(こつぜん)と現れた新国際空港に降り立つと、紺碧の空に熱帯の太陽がギラギラと輝き、日射しが強烈だ。気温はプラス30度。が、カラッとした空気で、そよ風も心地良い。




▲上空から見たフアツルコ。たくさんの湾が見える


▲かやぶき屋根の空港ターミナル。テキーラの原料、アガベ(リュウゼツラン)の群生園がある粋な空港です

スキューバダイビングが趣味の私は、毎冬、南国に飛び、これまでにカリブ海諸島を10数カ所、メキシコは3カ所を訪問している。今回も新しいダイビングスポットをネット検索している時に初めて目に止まったのが、このフアツルコだったのだ。

9つの湾と36のビーチに恵まれた美しい海と、緑豊かなジャングル、そしてシエラマドレ山脈の雄大な連峰が揃った抜群の自然環境。さらに、4000年以上も前から定住しているというメキシコ原住民(インディオの サポテカとミシュテカ=Zapotec & Mixtec)の大半が住み、その伝統芸術、歴史文化が豊かな地域とのふれこみだったので、早速1週間の旅行手配をし、飛んで来たのであった。


▲サンタクルス湾。ここに豪華クルーズ船が定期的に入港する


▲波打ちぎわでパンくずを投げると、魚群がサーッと足元に突進して来ます!

フアツルコはメキシコ政府がカンクンやアカプルコに並ぶ世界的リゾートとすべく、最近開発に本腰入れ始めた風光明美の景勝地だ。ただし、前者のように過剰開発にならぬよう、環境保全を前面に押し出したエコフレンドリーの模範リゾート地を目指しているとのことで、高層ビルは一切なし。

やっと注目され始めたばかりのリゾート地ゆえか、まだ全体的にとても静かでのんびりした所だ。ホテル客の大半は外部からのメキシコ人で、残りがカナダ人といった感じで、アメリカ人が非常に少ないのは意外だった。ホテル従業員も英語が片言程度の者が多く、こちらも片言のスペイン語と英語を混ぜてコミュニケートする場面が多かった。


▲これが私のフアツルコの別荘(ホテル)です!?


▲美しい花々に囲まれて、筆者


▲ホテルが立ち並ぶタンゴルンダのビーチにて。毎朝ここを散歩しました

小高い丘に螺旋(らせん)階段状に幾つかのビルを配置した感じの滞在ホテル。私はその最上段ビルの部屋をあてがわれたのだが、バルコニーからの眺望は抜群で、遠くにきらめく青い海と、緑豊かな山々が同時に眺められる。眼下には熱帯の花々が咲き乱れ、鬱蒼(うっそう)とした深緑のここかしこに白亜の家々が見え隠れする美しい街の風景が広がっていた。そして、毎朝バルコニー前の木々でさえずる小鳥たちの歌声で目覚めるのであった。


▲このカタマランボートに乗って、これからフアツルコ沿岸クルーズに出掛けるところです


▲コーヒー豆について説明するツアーガイド

▲フアツルコの中心ラ・クルセシタ市にある天井画で有名な教会 ▲教会内の天井画

▲カーペットの染料はすべて自然の素材を使う。赤の染料はサボテンに取り付く寄生虫を乾燥したものをすりこぎで砕きパウダーとし、それを水に溶かして使う昔ながらの伝統技術 ▲手織りのカーペット作り


ホテルからは、主な観光スポットを巡るいろいろなツアーが提供されていたが、私はカタマラン船沿岸クルーズ、市内見学、そしてコーヒープランテーション訪問ツアーに参加した。どれも面白かったが、特に標高1000メートルほどの山間部にあるコーヒー園で、コーヒー豆の栽培からコーヒーが商品化されるまでの全行程を学ぶツアーは、最高に良かった。

▲食料から衣料、家電製品まで何でも揃っている街の市場 ▲豊富な野菜やフルーツ


ドライブ途中で立ち寄った原住民中心の広大な市場も、北米ではなかなか見られない、どこか東南アジア的な雰囲気で、活気、喧騒(けんそう)、猥雑(わいざつ)さにあふれていて、実に面白かった。
そのほか、世界遺産となっている州都オアハカ市(Oaxaca)までの1泊2日のバスツアー(片道6時間)にも行きたかったのだが、 とても時間が足りなく、あきらめた。

とにかく多くの観光スポット、さまざまな体験型ツアーなど、魅力満載のフアツルコ。将来、ぜひもう一度訪問したい。ゆっくり滞在するには、できれば最低2週間は必要であろう。 お薦めの観光地です。

(2015年3月12日号)



 



 
(c)e-Nikka all rights reserved