アラスカクルーズに参加(後編)
氷河を観賞、ゴールドラッシュ時代をしのぶ


〈 トロント 松井祐実・記/ 写真撮影:Richard Severin 〉

4日目の朝6時30分ごろ、クルーズ船「ザーンダム号」はアラスカ州のスキャグウェイ(Skagway)に到着した。スキャグウェイはゴールドラッシュの時代に誕生した町で、今も100年前そのままの街並みを残している。
ゴールドラッシュ時代にできた鉱山鉄道「ホワイトパス・ ユーコン鉄道」がカナダのホワイトホース(ユーコン州)へと渓谷を走らせていて眺めがとてもいいそうだ。


▲クルーズ船から見たホワイトパス・ユーコン鉄道の列車

鉄道はフェリーターミナルの目の前から発車するので便利だ。今回私たちは鉄道を利用したオプショナルツアーに参加しなかったが、参加した人たちは素晴らしい景色を見ることができてとても満足だったようだ。


▲スキャグウェイの街。ゴールドラッシュ時代がしのばれる

朝食後、私たちは街中を見て回り、ハイキングを楽しんだ。最初は曇っていたが次第に天気が悪くなってきた。ハイキングを切り上げ、町に戻ると土砂降りになったので図書館へ避難することにした。一向に雨が止まないので、仕方がなく濡れながらフェリーターミナルへ戻る。

そこでは毎日3時から「アフタヌーンティー」を開催していると聞いていたので行ってみた。何種類もあるティーの中から紅茶を選んだ。サンドイッチやケーキなどが運ばれてくる。紅茶で温まりホッと一息する。船は夜8時30分ごろスキャグウェイを出港した。


▲トレーシーアームの入り口

5日目の朝7時ごろ、船はトレーシーアーム(Tracy Arm)に入る。ここまで来るとさすがに寒さを感じ、持参したダウンジャケットを着る。
トレーシーアームは、アラスカ州の州都ジュノーの約100キロ南に位置するフィヨルドである。長さ約42キロの狭い水路の両側には切り立った峡谷が続き、フィヨルドの最深部ではツインソーヤ氷河を見ることができる。


▲トレーシーアームの最深部、南ソーヤ氷河。氷河の崩れ落ちる瞬間は見られなかったが、氷の塊がいくつも漂っていた


▲近くを流れる氷山。神秘的な青い色がとても美しい

2日前にジュノーから見物に行ったメンデンホール氷河で感動していた私であったが、このトレーシーアームはそれ以上であった。たくさんの氷河が自然に削られ、その塊が所々浮いている。その氷河の青さといったら今まで見たことがないくらい美しかった。
神秘的な青い色の氷山。降り積もる雪の重みによって押しつぶされた氷の結晶は光の屈折で青い光をよく反射するため、青く見えるのだそうだ。この青色をグレーシャーブルー(Glacier Blue)と呼ぶ。

今回のクルーズはグレーシャーベイ氷河へ行かないツアーだったのでちょっと残念ではあったが、トレーシーアームが見られて満足であった。


▲クルーズ船から熊が見えた。このトレーシーアームにはたくさんの野生動物が生息している


▲氷山に混じって浮かぶアザラシの群れ

さらにトレーシーアームには多くの野生動物が生息していて、船からグリズリーベアーや野生の鹿を見ることもできた。寒い中であったが、ホットチョコレートやスープのお陰でたくさんの人が数時間甲板で自然を観賞でき、すがすがしい朝を迎えることができた。船はトレーシーアームを午後2時30分ごろ出港。

6日目朝9時30分ごろ、アラスカ州最南端の町、ケチカン(Ketchikan)に到着。ケチカンの町は水路沿いに広がり、港から町の中心までは歩いて散策できるとのことだったので、港の前にあった観光案内所でもらった地図を片手に歩いて回ることにした。


▲ケチカンの Creek Street 。ゴールドラッシュ時代は歓楽街だったが、今は観光客向けお土産店と化している


▲緑色の可愛らしい建物がかつて娼婦宿だった「ドーリーハウス」。今は博物館になっている

少し早い朝ということもあってか、港周辺のお店は開いていないところもあった。どんどん歩いて行くと、クリーク・ストリートと呼ばれるエリアにたどり着いた。ここは1902年ごろのゴールドラッシュ時代に歓楽街になっていた場所で、30軒ほどの小屋に1〜2人の女性がいたそうだ。

ゴールドラッシュが終わりを告げると、通りは、その後、住宅や店舗に使われたという。当時を再現した博物館「ドーリーハウス」があり、入場料5ドルで雰囲気が味わえる。


▲サーモンが今にも息絶えようとしている様子

私たちが行った9月はちょうどサーモンの遡上(そじょう)のシーズンで、たくさんのサーモンが今にも息絶えようとしている光景を見た。たくさんのサーモンは体の色が黒から赤色に変わってきて自分たちの死を感じているようだった。クリーク沿いを歩くと、サーモンの死がいの悪臭が漂っていた。

ケチカンはサーモンの町としても知られている。キングサーモン、紅鮭、銀鮭、チャム鮭、ピンク鮭の5種類のサーモンが取れるそうだ。

町を歩き回り、お土産屋に立ち寄り、今年のシーズン最後だというジュエリーショップで無料のお土産のペンダントヘッドなどをもらう。

船は午後6時ごろ、ケチカンを出港。船で夕食を取り、バンクーバーまでのクルーズを楽しむ。


▲船内エンターテイメントのひとつ、マジックショー

次の日、船はバンクーバーへ向けて運航、丸1日海の上だった 。私たちは船の中を歩き回り、景色を眺め、船の最上階にあるカクテルラウンジからたくさんのクジラを発見。甲板に出てみることにした。
船の右方向、左方向とクジラが時々ジャンプをしたり、潮を噴く姿を何度か見ることができた。最後の最後にいいものを見ることができた。


▲バンクーバー、カナダプレースの港に早朝到着。朝のカナダプレースも奇麗で絵になる

船酔い持ちの私なので、クルーズに乗ることを少し心配していたのだが、揺れを全く感じることはなく、アラスカクルーズは思っていたよりも楽しかった。(終わり)

(2015年5月7日号)



 



 
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