【笑いの渦・落語公演】

桂文枝師匠と弟子の桂三輝・桂三語さん大熱演
バンクーバーの日系センターは過去最高の大入り


6月13日(土)、BC州バーナビー市の日系センターで「第六代 桂文枝バンクーバー公演」が行われた。


▲桂文枝師匠の話術に会場は笑いの渦に巻き込まれた

今回、テレビ朝日系列などで放送されている人気番組「新婚さんいらっしゃい」収録のためバンクーバーを訪れたが、この際だからということで、落語公演も開催されることとなった。文枝さんとともに弟子の桂三輝(かつら・サンシャイン)さん、桂三語(かつら・サンゴ)さんも来訪し、公演に加わった。出し物は文枝さんの「桂三枝」時代の作品を含めすべて創作落語である。

【今回の公演の題目は次の通り】
◎生まれ変わり(三枝作)     桂三輝(サンシャイン)
◎青い目をした会長さん(三枝作) 桂三語(サンゴ)
◎宿題(三枝作)         桂文枝
◎優しい言葉(文枝作)      桂文枝


▲熱演するカナダ人落語家・桂三輝さん

トロント出身のカナダ人落語家、桂三輝(サンシャイン)さんは、枕(まくら)でお得意の英語落語を披露、初めて日本の落語界に弟子入りした頃の敬語の勉強について話した。「ありがとう」という言葉は「どうもありがとうございます」・・・・と単語の数が多くなるほど敬意を払う表現になること、辞書を調べたら47種の意味があって、最後には「サンキュー」と書かれていたことなど、文化面における日本語と英語の関係もたくみに取り入れ、自らの体験を個性的に面白く語ったあと、本題に入った。師匠の創作「生まれ変わり」は輪廻転生(りんねてんしょう)で次世代の自分を選ぶ面白い題材であった。
三輝さんは2013年8月にも、北米巡回公演でバンクーバーを訪れているが、以前より日本語が磨かれている感じであった。

桂三語(サンゴ)さんは、高座に着くと、会場を見渡し、「バンクーバーの日本人が全部集まったような大入り、天気はよいし、人間がやさしい」などと感想を語り、「それに比べて大阪はややこしい」と笑わせて、本題へ。
本来の日本食、たとえば「素うどん」は「Udon with no topping」など英語表現を披露してから、「青い目をした会長さん」では、町内に引っ越してきたフィンランド人が町内会会長になった話が面白く語られた。


▲満席の会場

桂文枝師匠は、「皆様に会えるのを楽しみにしていました。お忙しいなか、おいでくださり・・・、でも本当に忙しい人は来てないですよね」と一発。三枝を続けて47年、文枝に脱皮した時のエピソードなども楽しく語った。

「宿題」では子供の算数の宿題を解けないお父さんの苦労話がリアルに語られた。
同じく文枝に改名してからの創作「優しい言葉」では、「海外に住むのにも一番大切なのは健康ですが、自分は朝テレビを見て30種類の野菜ジュースを飲んで、歩きに行きます」と健康生活を奨励。自身の生活の出来事に触れ、今回の「新婚さんいらっしゃい」の収録をアピールし、一人の司会者だけで45年続いた日本一長い長寿番組と語り、最後に「落語を聴いていただいて幸せでした」と結んだ。

落語は400年ほどの歴史を持つ世界に誇る日本の伝統芸能。そして口伝えでそのまま伝わってきたのではなく、常に時代を見据え、それぞれの時代に合うように変えられたり創作されてきた。
それがやがて古典として伝わった伝統笑芸だからこそ、味わい深いのであるといわれる。

桂文枝さんは、落語家、タレント、司会者などで活躍しており、現在、上方落語協会の会長を務めている。2012年7月16日、69歳の誕生日に「桂三枝」から「六代 桂文枝」を襲名した。文枝さん独特の創作落語で好評を得ている。
初めから終わりまで笑いの絶えない楽しい公演であったが、笑いだけでなく、文枝さんの品格・貫録にも圧倒されるものを感じさせられた素晴らしい芸であった。

今回のバンクーバー公演では、最初に設定した席数では足りなくなり、500席に増やしたが、まだウェイティング・リストが必要だったというほど人気のあるイベントであった。会場の日系センターは開設以来最大の集客だったという。

〈 リポート・妹尾 翠 〉

【編集部より】桂文枝さんのカナダ初公演は、2007年6月21日、トロント日系文化会館で開かれた「桂三枝落語独演会」で、この時も大盛況でした。

(2015年6月25日号)



 



 
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