【日本映画祭】

トロント日本映画祭(TJFF)大盛況のうちに閉幕
最終日は話題作「舞妓はレディ」上映
周防正行監督と女優・草刈民代さんが出席


トロント日系文化会館(JCCC)で開催の「トロント日本映画祭」(TJFF)は6月11日(木)に開幕、6月26日に閉幕した。 最終日には「舞妓はレディ」が北米初公開として上映された。この日、周防正行(すお・まさゆき)監督とこの映画に出演した草刈民代(くさかり・たみよ)さんがJCCC小林ホールに姿を見せ、挨拶をした。




「舞妓はレディ」は、2014年9月に日本で公開された。主演の上白石萌音(かみしらいし・もね)演じる地方出身の少女、春子が、京都の架空の花街・下八軒で舞妓を目指す成長物語を、歌とダンスを交えたエンターテイメント作として描いている。タイトルはオードリー・ヘプバーン主演映画「マイ・フェア・レディ」をもじっている。

ヒロインの春子は鹿児島弁と津軽弁を話す、およそ京都弁をあやつる舞妓さんとはほど遠い育ち。そこで「マイ・フェア・レディ」のヒギンス先生ならぬ、言語学者の京野法嗣(きょうの・のりつぐ)との特訓が始まる。春子の涙ぐましい努力で次第に舞妓への道が開けていく。その陰にはなるべくしてなった赤い糸の存在もあった。

公開同年の7月2日にはフランス・パリで開催された「Japan Expo」に招待作品として出品。第38回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞したほか、上白石がいくつかの新人俳優賞を受賞した。


▲周防正行監督

「未知の世界が映画作りの意欲に」

上映終了後、周防監督と夫人で女優の草刈民代さんは会場からの質問に答えた。

━━これまでいろいろなジャンルの映画を製作されていますが、これらの発想のもとになるのは何でしょうか?

周防監督「コミカルな作品やシリアスな作品などいろいろなジャンルの作品を製作してきましたが、もとはすべて同じです。つまり、それまでに知らなかった世界を知って驚き、そのエネルギーが映画製作へと導いたのです。
『シコふんじゃった』では、大学の相撲部が未知の世界でした。『Shall we ダンス?』では中年の間でダンスブームが起きていたこと。また、『それでもボクはやってない』では裁判制度のことについて知らなかったことを知らせたかった。
今回の『舞妓はレディ』は、もっとも日本的でありながら一般の日本人でも知らない『お茶屋』の世界を知ってもらいたかったのです」

━━主役の上白石萌音さんはどのようにして選んだのですか?

周防監督「オーディションです。約800人の応募があり、その中からまず約120人を選びまして半年間かけてダンスや歌、演技などの素養を見て決めました」

━━草刈さんはバレエ界出身ですが、女優、そして日本舞踊を演じることに違和感はありませんでしたか?


▲草刈民代さん

草刈さん「バレエにもコミカルやドラマチックなどいろいろな振りがあります。こうした経験が女優の土台になっていると思います。バレエやダンスは所作をマネするところから始まりますので、日本舞踊もマネから演じられるのでしょう。私はずっと踊ってきましたから、同年代の中年女性のふだんの仕草を演じるよりジャンルが違っても日本舞踊を演じる方が楽でしょう。
また、以前から夫にお茶屋さんにはずいぶん連れて行ってもらいまして、その雰囲気、楽しさを味わわせてもらっていたので、芸妓を演じるのも抵抗がありませんでした」

「私の作品がトロントで上映されたことに感謝」

「トロント日本映画祭」最終日の翌日、6月27日夜、中山康則トロント総領事公邸で、周防正行監督と草刈民代さんを囲むレセプションが行われ、映画、音楽、同映画祭関係者など約80名が出席した。


▲周防監督と草刈さんを囲んで、右は中山泰則総領事と千鶴子夫人、左はゲーリー川口トロント日系文化会館理事長(6月27日、総領事公邸にて)

その席で周防監督と草刈さんは、「海外でこのような大規模な日本映画祭が開催されていることに驚きました。私たちの作品が上映されたことに心より感謝します。作品を製作するときは、とりわけ世界に発信するということよりあくまでも個人的追求から作っています。しかし、結果として、より多くの方々に知られざる世界を知ってほしいと同時に、日本の文化を理解していただければと思います。今回トロントに来て、とても良い反響があったので、また、やる気が起きてきました」と語った。

「Shall we ダンス?」のように北米の多くの都市で公開され、広く行き渡ることを願ってやまない。


▲バイオリンを演奏する木村悦子さん

また当日、トロントで活躍するバイオリニストの木村悦子さん(トロント交響楽団アシスタントコンサートマスター)が、夫のウィリー・ウォンさん(トロント大学工学部准教授)のピアノ伴奏によりベートーベン「ロマンス・ヘ長調」を演奏。周防監督、草刈さんをはじめ出席の皆さんはその美しい音色に聴き入っていた。

〈リポート・編集部〉

【編集部より】映画「舞妓はレディ」は多くのファンの要望に応じて、8月27日(木)午後7時からJCCCで再上映されることになりました。

(2015年7月2日号)



 



 
(c)e-Nikka all rights reserved