パワー・オブ・セール
銀行がモーゲージ支払い滞納の家を売る権利


〈 解説・服部江理子 〉

不動産のセールに関し、「Power of Sale」(パワー・オブ・セール)という言葉をお聞きになったことありますでしょうか。パワー・オブ・セールとは何かといいますと、ホームーオーナーがモーゲージ(住宅ローン)の支払いを怠ったため、モーゲージを出している銀行が家を売る権利を得て市場に売りに出すプロセスのことです。

通常、オンタリオ州ではモーゲージの支払い未納15日で、銀行はホームオーナーに「Notice of Default」の手紙を送ることができます。ホームオーナーはそれから30日以内に支払いをしなければなりません。支払いがない場合、「Statement of Claim」が発行され、パワー・オブ・セールのプロセスが始まります。

ホームオーナーがモーゲージの滞納をした場合にとられる手段として、パワー・オブ・セール以外にも「Foreclosure」(フォークロージャー)という方法もあります。アメリカでは、こちらのほうが一般的ですが、カナダではパワー・オフ・セールがほとんどです。
その理由の一つに、パワー・オブ・セールのほうが短期で売却ができますが、フォークロージャーでは、管轄の裁判所のオーダー(命令)が必要なこともあり、プロセスに長く時間がかかることがあげられます。




さて、そのパワー・オブ・セールですが、銀行は早く売りたいに決まっているし、家の維持もよくされていないのだから、きっと破格値で買えるのではと思いがちです。しかし実際には、銀行はきちんと市場価格を査定して、値段を設定するので、一概に安いとは限りません。

また、このようなパワー・オブ・セールの物件を購入する場合、通常、売り手である銀行や金融機関が用意した「スケジュールB」という、かなり細かい要綱が述べられた書類をオファーに添付することが要求されます。
一般の購入契約にはない項目で、特に注意すべき内容は、家にある家電など、通常、家の価格に含まれているものは、すべて「As is condition」すなわち、破損していたり、稼動しなくてもそのままの状態で購入しなければならず、売り手に修理など要求できませんし、売り手からの保証もありません。

家のサイズ、土地の大きさなども保証がありません。もし、テナントが住んでいる場合、リース契約が交わされているのか、家賃はいくらかなどの情報の売り手の保証もありません。
また、パワー・オブ・セールの条件ですが、売買契約が交わされた後でも、クロージングデー(家の引き渡し日)の前までに、以前の家のオーナーがモーゲージの全額を支払った場合、家はそのオーナーに戻され、契約は破棄となります。

したがって、パワー・オブ・セールの家を購入する際には、ホームインスペクションの条件をつけ、家の状態、部屋、および、ロット(敷地)のサイズの確認など、細かいところをチェックし、テナントがいる場合は、テナントと話をして詳細を確認したり、近所の人と話をして、くわしい情報を得るなどの調査をすることもお勧めします。
万一、前のオーナーがモーゲージの支払いをして契約破棄となることを避けるため、クロージングデーはできるだけ早めに設定したほうがいいでしょう。

先にも述べましたが、パワー・オブ・セールの物件が一概にお得だということはありませんが、通常、家の状態がよくない物件が多いので、価格は少し低めになっている場合は多いです。

どの家を購入する場合でも同じですが、特に、パワー・オブ・セールの家を購入する場合は、その特殊な条件を理解し、インスペクションも含め、きちんと家の調査を行ってから契約を進めることが肝心です。

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今回の記事の内容について、もっと詳しい情報をご希望の方、そのほか、家の購入、売却に関するご質問は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

服部江理子(はっとり・えりこ)
Sales Representative
Royal LePage Signature Realty
Tel : 416-371-0224
E-mail : eriko@royallepage.ca
Website : www.erikohattori.ca


(2015年7月9日号)



 
 


 
 
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