長芋・小麦粉・和牛・・・
網走市物産紹介イベント
バンクーバー総領事公邸で開催


釧路・バーナビー姉妹都市提携50周年イベントを終えて、7月13日には、在バンクーバー日本国総領事公邸で、日本食品扱い業者・レストラン業者などを招いて網走市物産紹介イベントが行われた。
網走の産物といえば、カニ、ホタテ、イクラなどの海産物やジャガイモ、ごぼう、長芋、甜菜(てんさい=サトウダイコン)、大麦、小麦、大根、アスパラガス、とうもろこしなどが有名である。しかし、ほとんどの産物がカナダでも作られていて、これらをカナダに輸出というのはどんなものであろうか?という思いもあったが、まずは今回の物産品を紹介する。


▲(右から)長芋、小麦粉、でんぷん、あずき、など

【長芋】
釧路の推奨商品にもなっている長芋は、栄養価が高くコクのある独特の風味を持った健康野菜で、古くから「山うなぎ」といわれるほど滋養強壮によい食べ物とされていた。漢方では強精・糖尿病・心臓病・健胃・整腸・慢性胃炎・かぜ・せき止めなどによいとされている。

オクラや納豆などと同じのネバネバはたんぱく質のマンナン(食物繊維の一つ)が結合したムチンという粘質物で、ビタミンB群・ビタミンC群などの栄養成分亜鉛やカリウム・鉄などのミネラル成分とがバランスよく含まれ、さらにアミラーゼやジアスターゼ、ウレアーゼ、オキシターゼなど多くの消化酵素も含まれており、消化促進作用が抜群である。

また、特殊たんぱくの抗ウイルス作用、脳や肝臓などを組織する強塩基性の物質コリンが含まれ、細胞膜の浸透圧や脂肪代謝の調整にもよいとされている。

徳利(とっくり)形が特徴であるが、この徳利に近い形にするまでに何十年もの品種改良がなされてきたとのこと。カナダにはすでに中国産の長芋が普及していて、価格競争に勝つにはかなり大変な状態である。しかし単なる食品としてではなく、栄養、品質、安全性を考えると、健康食品カテゴリーとして十分通用しそうである。

試食用サンプルでも、釧路産は粘り、甘み、まろやかさがあっておいしさを感じたが、比べて食べると他の国の品は水っぽく癖のある味で、むしろ大根に近い感じであった。

▲ブルーカラーの流氷ビール ▲網走産とカナダ産の小麦粉で作った試食用パン。左は網走産「春よ恋」、右はカナダ産


【網走ビール】
オホーツクの空・海・流氷をイメージしたブルーカラーのドラフトビールは、流氷を仕込み水に用いた発泡酒で、青色はクチナシを使っている。長芋も使っているとのこと。ブルービールとして話題性もありパーティーなどに喜ばれそうである。コクがあり軽い飲み口。

【小麦粉】
東洋一の大きさを誇る麦類乾燥調整工場で念入りに作った小麦粉。春巻き小麦「春よ恋」はパンに最適。秋まき小麦「きたほなみ」はうどんに最適である。
試食サンプルにはパンが焼かれていたが、網走産は見るからにきめが細かくふわふわでまろやかな味であったのに対し、カナダ産の小麦粉で作ったパンはボソボソした味気ない感じであった。今回の料理を担当した公邸シェフの岩坪貢範氏は「とても扱いやすい粉」とコメントをくれた。

【あばしり澱粉】
澱粉(でんぷん)専用に栽培されているジャガイモで作られている。

【あずき】
いわゆる本来の小豆(あずき)の色を保ったあずきは、オホーツクの冷涼気候風土でよりおいしさを増すという。

▲魚醤油。さけ太郎(右)とます次郎(左)。どちらも「うすくち」と「こいくち」がある ▲あわゆきソースで思わぬ美味しさの野菜マリネ


【さけ太郎】【ます次郎】
おのおの、鮭(さけ)または鱒(ます)に天日塩と米麹を加えて発酵・成熟させた魚醤油で、肉料理、野菜料理の調味料、また、隠し味としても最高。

【しろゆきソース】【あわゆきソース】
「しろゆきソース」は網走産のたまねぎ、「あわゆきソース」は同じく網走産の大根をたっぷり使った醤油ベースのソースであるが、ステーキ、ハンバーグや野菜サラダのドレッシングとしてそのままかけて使用でき、何ともいえないコクを増すソースであった。

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岡田誠司バンクーバー総領事は、スピーチで次のように語った。
「現在日本の農業は国内でも厳しい状況で、守りの農業でなく攻めの農業も考えなければならない時代ですが、日本の農産物を海外に紹介するのは難しいことです。でも、やってみなければわからない。6月に長芋のプロモーションの話を聞いた時には、カナダではたくさん出まわっているので、どんなものかと案じていましたが、カナダにも日本産物の良さを知っている人が多く、これはいけるのでは、と思いました」


▲水谷洋一網走市長

網走市の水谷洋一市長は、「網走はバンクーバーとよく似た気候風土で産物も美味しいところ。市の誇る三大メジャーは農業・水・観光です。長芋、小麦粉、網走和牛など産地特有の美味しいものがたくさんありますから、ぜひ試してほしい」と紹介。


▲オホーツク網走農業共同組合代表理事・組合長の岡本一男氏

オホーツク網走農業共同組合の代表理事・組合長の岡本一男氏は、スライドを用いて長芋の栽培から収穫、発送の過程を説明した。また、虫よけ対策のために毎年畑を変えていることなど農場管理について述べた。長芋の特徴、生産者側での管理、営農集団組織を核とした大型畑作経営の展開や政府の援助についても言及、現在、円安で外国との価格差が狭まっているので海外へのセールスには良いチャンスなどと生産・産業を含めた展望を語った。

▲魚醤油に一晩漬けたサーモンカルパッチョ ▲味・舌ざわりとも最高のローストビーフ


▲冷凍アスパラガス・ピューレのスープ ▲網走産でんぷんを使用したBC州産ベリーのプリン


今回の網走産物を使った応用料理のランチが振る舞われ、魚醤油に漬けたサーモンカルパッチョ、あわゆきソースに一晩漬けた野菜料理、冷凍アスパラガス・ピューレを使った冷スープ、ビートシロップ使用のヨーグルトムース、あわゆきソース使用の和牛カナッペ、長芋そば、あわゆき・しろゆき二種類ソース使用の和牛ローストビーフなどの説明も今回のメニューを考案した公邸の岩坪シェフによる説明も行われた。

すでに長芋は米国ロサンゼルスでも扱われているし、ベーカリーを経営している人たちにとっても、網走小麦粉使用のパンは朗報と思われるから、海外輸出も可能な分野であろう。

〈 リポート・妹尾 翠 〉

(2015年7月23日号)



 



 
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