バンクーバー在住日本人退職者の「桜楓会」
「設立30周年記念式典と懇談夕食会」開催


バンクーバーとその近郊に住む日本人退職者を中心とする桜楓会(おうふうかい)は、今年30周年を迎え、8月9日、バンクーバー市内コーストプラザ・ホテルで「桜楓会設立 30 周年記念式典と懇親夕食会」が開催された。
桜楓会は退職後のカナダ生活を楽しもうという目的で設立されたもので、会員はさまざまなイベントを楽しみ、多くの情報を得ることによって生活の向上を図っている。

同会は1984年よりこの話が持ち上がり、1985年に設立。日本人の心を象徴する桜とカナダの国旗に使われている楓を合わせて「桜楓会」と命名された。
式典では、久保克己会長による開会の挨拶に続き、岡田誠司バンクーバー総領事の祝辞と音頭で乾杯が行われた。


▲お祝いの言葉を述べる岡田誠司バンクーバー総領事


▲会場風景

岡田総領事は「1984年はオタワでの勤務が始まった年でした。最近、知り合いの国会議員がカナダへの移住を考えていて、こちらの状況を知りたいという連絡があり、さっそく桜楓会役員の久保さん、山下さんにお話を伺いましたが、とても素晴らしい会だと思いました」と語った。

高齢者も在籍する会なので、暗くならないうちに帰れるようにという心配りから、式典は午後3時から開始。来賓挨拶後にはすぐに食事会が始まり、一段落して、スライドを使って桜楓会の設立当時からの説明や思い出話が語られた。

鹿毛達雄氏、誕生期「カナダで第二の人生を」を語る

第一期の誕生期について1985年設立前からの状況を同会の生みの親でもある鹿毛達雄(かげ・たつお)氏が次のように説明した。

「1977年に日系移民100周年記念を迎え、その頃、パウエル祭や移住者の会などが始まりました。
1967年にはカナダの移民法で世界中から手に職のある20〜30代の若者がたくさんやってきましたが、日本からの移住者は少なかったのです。日本は豊かな時代で海外で働く必要もなかったからですが、日本人を増やす手立てがないものかといろいろ調べたところ、退職移住のカテゴリーが見つかりました。
条件は55歳以上、現在仕事をしていなくて健康な人、ということで国際協力事業団などにも声をかけ、1983年に海外移住雑誌に『老後をカナダで』という記事を載せました。日本は好景気で物価高などの状態だったので、カナダ生活をアピールする好条件でした。
その頃、私の勤めていた『モザイク』に日本からの連絡があったり、退職した人々もやってくるようになり、情報交換の場を作ったらという話も出て、これが桜楓会発足のきっかけとなりました。
『退職移住者』という言葉は年寄りくさいということで、1985年2月の集会で『桜楓会』の名前になりました。そして手書きの会報も発行し、勉強会もはじまりました。裁判所見学やピクニックなども、そして陶芸グループも出来ました」

1986年から1991年までの成長期については、アンディ九十九(つくも)現副会長が説明。

この間に会長を務めた人がいないので、1987年に、シルバーコロンビア計画の視察団がやってきた時のことや、1989年のウィスラー・バス・ツアーのことなどを、当時の写真を映し出しながら、九十九副会長が説明した。

桑原誠也氏,成長期を語る

1992年からの拡大発展期について、第10代目会長(11年間)の桑原誠也氏が説明。

「12カ国の世界おもてなし家庭料理講座、アウティング、健康講座、社交ダンスクラス、コンピューター講座、ゴルフ、手芸の会、マージャン大会、さくらんぼ狩り、クルーズ、オリンピック半島旅行などスライドで紹介。
中でも『男子厨房に入ろう会』は5年間も続きました。これは、『ワイフに先立たれたら食べていけない』という会員の発言から、まず米の炊き方から始まって、毎日の総菜作りの料理教室でしたが、男性も料理くらい出来ないと、ということで人気のプログラムでした」


山下俊忠氏,充実期を語る

2009年からの充実期について、第11代会長(6年間)の山下俊忠氏が説明。スライドで活動の説明も行われた。

「この時期は、規約改正や掲示板新設、ニュースレターのインターネット配信、ホームページ開設など、組織も充実していきました。郵送料の節約で年会費も値下げです。年間10回ほどのイベント、海外旅行のほか、天皇皇后両陛下のカナダご訪問の際には300本の日の丸の手旗も作りましたし、東日本大震災の募金も行いました。夏のBBQと新年会もすっかり定着してきました」



▲今後の展望を述べる桜楓会の久保克己会長

久保克己氏、桜楓会の展望を語る

現会長の久保克己氏は、これからの桜楓会の展望について語った。

「素晴らしい人生を歩み、日本でもさまざまな貢献をしてきた素晴らしい先輩がたくさんいて、気候、自然環境、治安も素晴らしいし、いろいろな文化のあるところで、さらなる充実感を持って暮らしていけるようなプログラムも企画したいですね。
自分たちが楽しむだけでなく、豊富な知見、経験を持っている会員たちと若者たちの交流を行い、人生の知恵を伝承できたらと思っています。若者たちの意見も反映し隣組や日加ヘルス協会などとも協力し合い、情報を共有しながら進めていきたいです。 最初25〜26人の会員で始まった桜楓会も、現在は121世帯、189名の会員にまで成長し、日系グループとしては最大の人数だと思います」

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▲表彰状を受ける最年長の上甲カネコさん(93歳)

桜楓会設立当時からの活動について語られた後、1990年の入会以来25年間という最長期間の会員である上甲(じょうこう)カネコさんへ、 久保会長から表彰状が手渡された。
墨絵芸術家としての仕事のため離婚、1988年に単身で来加した上甲さんは1990年より桜楓会会員となる。「桜楓会では、ただ楽しませていただいただけなのに、こんな表彰状など頂 いて・・・」と挨拶した。



▲感謝状を受ける功労者。(左から)鹿毛達雄氏、桑原誠也氏、山下俊忠氏

そして、長年、会のために尽くした功労者、鹿毛達雄氏、桑原誠也氏、山下俊忠氏の3名に感謝状が送られた。今後、名誉会員として永久会費無料となるとのこと。

桜楓会は組織の基盤もしっかり組み立てられ、きめ細かな企画のもとに心配りのあるプログラムが作られ、メンバーが安心して楽しめる会である。
この30周年記念イベントはメンバーにとって楽しい思い出にひたったひとときでもあった。

〈 リポート・妹尾 翠 〉

(2015年8月20日号)


 



 
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