【食べある記・トロント編】
古き良き時代のパリへ誘う
フレンチビストロ「COQUINE」(コキンヌ)


8月も下旬になると朝晩だんだん涼しくなって、秋の気配さえ感じる。こんな季節に行ってみたくなるレストランをご紹介しよう。


▲コーナーを利用したドーム型の入り口はパリのビストロ風

トロントのエグリントン通りからヤング通りを3ブロックほど南へ行ったところにフレンチビストロ「COQUINE」(コキンヌ)がある。一歩店内に入ると、そこはまるでパリのビストロ。
店名の COQUINE はフランス語で「いたずらっ子」とか、親愛をこめた「ろくでなし」または「愛人」などの意味があり、ビストロ的ユーモアから名付けたのだろうか?


▲アール・デコ調のインテリアにこだわった店内

▲アンティークや珍しい写真も ▲トイレの横に置かれた靴みがき椅子


1920〜30年代にフランスで発祥したアール・デコ調にこだわったインテリアは今どき珍しい。ところ狭しと飾っているその時代の写真や絵、アンティークの数々が当時にタイムスリップさせてくれる。
エッフェル塔の建築工程の写真や、極め付きはベースメントのトイレ横にある前時代的「靴みがき椅子」。どうしてこんなところに・・・。しかし、周りの雰囲気にすっかり溶け込んでいるから不思議だ。

料理はいわゆるクラシックなビストロメニュー。コンテンポラリーでも今流行のフュージョンでもない。少なくともほとんどがメニュー名から想像できる料理である。


▲ムール貝のワイン蒸し、フレンチフライ添え

オードブル&スープにはビストロ定番のオニオングラタンやエスカルゴ、ムール貝のワイン蒸し、スモークサーモンなどがそろっている。ちょっと変わったところで、カナダならではのプーティン(Poutine)やタコのテリーヌ(Terrine de Poulpe)、ラムチョップのグリル(Cotelettes d’Agneau)があること。


▲オードブルのラムチョップ

ふつう、ラムチョップのメニューはメインで出されることが多い。しかもけっこう値段が高い。この店ではオードブル用に1本単位でオーダーを受けている(1本7ドル)。ローズマリーとにんにくの香りがほどよく効いた絶妙な焼き加減のラム肉は添えられたディジョンマスタードと相性がぴったり。


▲チキン・ロースト。添え物のホールにんにくのロースト(左上)はやわらかく臭みがなくておいしい

メイン料理にはチキンのロースト、子牛のレバー炒め、ステーキ、ポークチョップのロースト、サーモンのグリルなどお馴染みの料理が中心。ちょっと変わったところで、モロッコ風味ラム肉の煮込み(Jarret d’Agneau)、白インゲンとスモークした豚バラ、鴨、ラム肉などを煮込んだフランスの地方料理カスーレ(Cassoulet)などの料理もある。

ほかにサラダ、パスタ料理も5〜6種そろえている。

ランチタイムのメニューで人気があるのはキッシュとミニバーガー・トリオ。キッシュはオーソドックスなキッシュ・ロレーヌと日替わりキッシュがある。
ミニバーガーはじゅわっとした肉の食感がいかにも自家製らしい。マッシュルームのソテーとブラウン色まで炒めた玉ねぎ、スモークド・モッツァレラチーズなどの添え物がひと味ちがったバーガーに仕上げている。サイズが小さいので食べやすく、「3つは食べきれない」というときはテイクアウトに。
このメニューは、ディナーではなんとオードブルに加わっている。


▲アイスクリーム包みクレープ

デザートは、クレーム・ブリューレ、レモン・タルト,アイスクリーム包みクレープなど6種がそろっている。いずれもボリュームたっぷり。(1品$8〜$9)

一見、店内は重厚に見えるが、いたってフレンドリーな雰囲気だ。近くに住む人たちが気軽にちょっと立ち寄る感じで、オーダーもオードブルだけやメインだけの人もいる。季節によってはパティオが人気。メニューの値段は10ドル~20ドルなかばが大半を占め、特別安くも高くもない。

この店の東隣りに同じ経営の「L’Express Cafe」(以前は「la Bamboche」ケーキ屋だった)があり、コーヒー片手にくつろぐ人やパンやケーキ類を求める人でにぎわっている。

COQUINE(コキンヌ)
2075 Yonge Street, Toronto(エグリントンから3ブロック南)
416-322-6767

■毎日オープン=ランチ&ディナー(土&日曜は午前11時30分〜午後4時までブランチメニュー)

www.coquinerestaurant.com

〈リポート・いろもとのりこ〉

(2015年8月27日号)



 



 
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