最長在位の英国女王、クイーン・エリザベス2世
BC州副総督公邸で市民参加の祝賀ガーデンパーティー


〈 リポート・サンダース宮松敬子 〉

 美しい銀髪、あるいは、目も覚めんばかりに明るいドレスに合わせての帽子をかぶり、品よくまとめたベストドレッサーぶりは、英国民をはじめとする世界の多くの人々に好感をもたれているエリザベス女王(89歳)。


▲エリザベス英女王(2015年3月に撮影)〈Wikipedia より〉

 父君のジョージ6世の急死と共に即位したのは1952年2月6日で、翌53年6月2日には史上で初めて戴冠式がテレビ中継され、荘厳な式の模様が地球を駆け巡った。

 その女王が、9月9日(水)で高祖母(祖父母の祖母)のビクトリア女王(18歳で即位、81歳で死去)を抜いて、在位が歴代最長になった。はっきりとした数字で表すと、同日の午後5時半ごろ、高祖母の2万3226日(63年216日)16時間23分を超えたという。これによってエリザベス女王は英国史上最長在位の君主となり、加えて最高齢の君主でもあるということになる。

 女王自身はその日に特別な式典は望まず、スコットランドで行われた鉄道の開通式に夫君フィリップ殿下と共に出席するなどの公務をこなし、淡々として一日を送ったという。もしそれを祝えば「高祖母の死を喜ぶことにつながるから」との理由であった。
 ただ「人は長生きすると多くの節目を通り過ぎるもので私も同じことです。国内外から届いたたくさんの優しく感動的なメッセージに感謝します」とコメントを発表した。

 とは言え、ロンドン市内ではテムズ川で船のパレードが行われたり祝賀ムードが広がり、王立騎馬砲兵がグリーンパークで41発、名誉砲兵中隊がロンドン塔で62発の祝砲を打つなどの儀式が繰り広げられた。
 大々的な祝賀祭はなかったものの、ロンドンっ子たちが喜ぶ姿は、ニュースとして世界に流れ、それはまさに女王の人気を裏付けるものであったようだ。

 周知の通り、英国は世界に散らばる Commonwealth of Nation(英連邦加盟国)53カ国ほどをまとめている国で、その長に立っているのが女王である。
 カナダもその傘下の一つであるため、この国の国家元首として君臨するのは女王で、その下に女王の名代として総督(現在は David Lloyd Johnston 氏)がおり、各州には副総督が存在する。


▲副総督公邸の近辺には誰もが自由参加できることが書かれたポスターが張られた

 今回の祝賀は各州ごとに行われたのだろうが、BC州の場合は Judith Guichon(ジュディス・ギィション)副総督が、9月12日(土)にビクトリア市にある公邸の芝生の庭を開放して、市民が自由に参加できるガーデンパーティーを取り仕切った。
 この日は穏やかなそよ風の吹く快晴に恵まれた一日で、午後2時からのパーティーにはおよそ1000数百人が参加して華やかな雰囲気に包まれた。


▲庭園常設の舞台では当地でよく知られている The Commodores Big Band が終始演奏し雰囲気を盛り上げた 


▲入り口で来場者一人ひとりと握手するジュディス・ギィション副総督(右から2人目)

 誰でもが気兼ねなく参加できたのだが、条件としては「帽子と手袋の着用」がうたわれていた。カナダでそんなことを守る人たちがどれほどいるか疑わしかったのだが、当日行ってみると、案の定、ちゃんと規則を守っていたのは10%にも満たなかった。


▲こんな格好のカップルも・・・

 「それがなくてもパーティー会場に入れるのですか?」と聞いてみると、セキュリティーいわく「まあね、一応そう決められてはいるけど・・・」とあいまいな返事。いかにもおおらかなカナダらしく、決まりはあってもないようなものであった。


▲パーティーの前にスピーチをする副総督

 当然ながら最長在位をたたえる言葉が並んだが、中でも女王の人となりに及ぶ祝辞には参列者一同がうなずいていた。国民の人気を支えるのは、君主としての強い責任感とどんな時代にあっても柔軟な姿勢で適応してきたことが高く評価されているのは疑う余地がない。
 即位40周年(1992年)で、女王が使ったラテン語の「Annus Horribilis アナス・ホリビリス(苦難の年)」という言葉を記憶している人も多いだろう。

 庶民感覚で見ても、その年に限らず、英国王室は波風の多い家族問題が目白押しの一家である。チャールズ皇太子とダイアナ元妃がダブル不倫の末に別居、離婚、そして元妃の事故死。次男のアンドリュー王子、長女のアン王女の離婚。孫のハリス王子の醜聞も加わり、さぞや親として祖母として苦労の多かったことだろうと察する。

 英国の某世論調査によると、女王の人気度は過去2人の女王たち(エリザベス1世とビクトリア女王)の人気度を併せたものよりも高いとかで、「女王中の女王」との評価を得ているという。


▲気分はすっかり優雅な英国婦人


▲中でも一番目立ったのは赤い帽子と紫のドレスが特徴である「Red Hat Society」という婦人グループから出席した女性たち


▲来場者全員に配られたスイーツ

 会場に集まった人々は、女王が健康に留意してこれからも出来るだけ長く在位してほしいとの思いから最後に「God Save the Queen !」の歓声をあげ式典を終えた。

 なお付随だが、会場のBC州副総督公邸は2009年に天皇皇后両陛下が日加修好80周年でカナダを訪問をされた際に公式夕食会が開かれた場所である。
 また、1953年、エリザベス女王の戴冠式に出席のため、当時皇太子だった天皇陛下がカナダ経由で英国に行く際に、初めて外国の地で泊まられたのがこの副総督公邸であった。しかし、当時の建物は火事で消失し今の公邸は新しく建てられたものである。


▲公邸の正面玄関


▲2009年ご訪問の際の記念写真が庭のパネルに飾られている。皇后美智子さまもご一緒だったが、なぜか天皇陛下の写真しか載っていない

 皇后美智子さまが写真に入っていないことに関して、私は不思議に思い副総督公邸にメールを送り聞いてみたのだが、「ご訪問時の一番よく撮れている写真を載せただけで他意はない」との回答であった。


▲公邸の居間には、天皇皇后両陛下の公式写真と共に高円宮久子妃の写真も置かれている

(2015年9月17日号)



 
 


 
 
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