版画家・松原直子創作活動50 周年記念展覧会
10月1日〜31日、トロント Abbozzo Gallery


 オンタリオ州オークビル在住の版画家、松原直子さんは創作活動を開始してから今年で50周年を迎えた。これを記念して、トロント・ダウンタウンの Abbozzo Gallery(アボゾ・ギャラリー)で「DANCING WITH WOOD」と題する展覧会が開幕した。開催期間は10月1日(木)から31日(土)までの1カ月間。展覧会では松原さんの版画人生50年を集大成した作品の中から選び抜かれた65点が展示されている。


▲松原直子さん


▲松原さんの夫、デービッド・ウオーターハウス氏のバグパイプ演奏


▲オープニングに出席した来賓の皆さん 

 10月1日に開かれたオープニングレセプションは、松原さんの夫、デービッド・ウオーターハウス氏(トロント大学東アジア研究学部教授)によるバグパイプ演奏で始まった。会場には、各界アーティスト、美術館キュレーター、関係機関の文化広報担当者、アボゾ・ギャラリー経営者、中山泰則トロント総領事、友人・知人らが多数出席し、盛大であった。

 松原直子さんは、1937年徳島県生まれの京都育ち。1960年に京都市立美術大学を卒業後、フルブライト奨学生として米国ピッツバーグのカーネギーメロン大学大学院に留学、マスター・オブ・ファインアーツ(MFA)を取得。その直後、特待生として英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートに留学。1965年から68年までアメリカのプラット大学(Pratt Institute of Technology)、ロードアイランド大学で版画を教える。その後、世界各地を舞台に芸術活動を精力的に展開している。

 1972年以来、オンタリオ州オークビルに居を構え、自宅敷地内アトリエで版画作品の創作活動に励んでいる。今までに世界各地で個展を続け、20冊に及ぶ版画本やポートフォリオを出版している。
 松原さんの作品は、アメリカ各地、日本、カナダ、ドイツ、オーストリア、英国、ウエールズ、アイルランド、イスラエル、オーストラリアなど50余りの著名な美術館に所蔵されている。
 作品を通して世界各国での文化交流の功績をたたえ、日本政府から昨年10月に外務大臣表彰を受けている。

 
▲Kenkun Jinja(建勲神社=けんくんじんじゃ)京都(1977) 


▲Silk Threads Waft from the Nose of a Dog(2002) 

▲Rhapsody(ラプソディー)(2015)  ▲Summer Pond (2013)



▲Dancing Tree(1967) 


▲Kagura(神楽)(1977)


▲Fire Flower(2014)

▲Hiroshima(広島)(1998) ▲Shojo(猩猩=しょうじょう)(2014) 



▲Tibetan Sky(チベットの空)(1986) 


▲Egg Hatching(2007)


▲Dojoji(道成寺)  (2002)

【松原直子さん、一問一答】

大規模な個展となりましたが、開催に至ったいきさつは?
「今回、たまたまスペースの大きなお部屋が5つもあるアボゾ画廊で個展をさせていただくことになりました。新作だけでなく少し古いものもかいつまんで並べましょうということで、展覧会が実現しました。私の個展のカタログに論文をお書き下さったロイヤルオンタリオ美術館(ROM)キュレーターのアーリーン・ゲアマッハー博士が『Dancing with Wood : 50 Years of Woodcuts by Naoko Matsubara』という全くぴったりのタイトルを考えて下さいました」

この50年間、力を注いできたことは何ですか?
「こうして作品を並べてみますと、1960年代から2010年代までと、長いようで短かった50余年だったと感慨深いです。どの年代も、一生懸命、自分のオリジナリテイーを保ちつつ、この限られた木版という範疇(はんちゅう)で、最大の発見発明をしようと努力してきました。スタートした時点から、幸いに世間に認められ励まされました。でも、みなさんが褒めて下さるそのスタイルや方向と同じところにとどまらず、もっと新鮮な時代を反映した、そしてさらに木版画の新しい可能性を追求して変化を重ねて今日にいたりました」


▲Tagasode「誰が袖」 (2014)

鮮やかなカラーを使用している作品も多いですが・・・
「チベットの一連の作品を創作した1980年の終わりころから、色をふんだんに使い、抽象の方向に心血を注いできました。色は神様だと感じるほどです。最近の大きな17色の木版画『誰が袖』は、私の会心の作であり、これが、来年招待されているベルリン美術館の個展の中心を飾ります。また、『誰が袖』の横に並べられた2点の作品『Janusian A, B』という作品は、日本の優れた和紙の繊維を作品の中に生かしてみせたいと、一部、表からではなく裏から刷りました。ですから、過去と未来が見えたというローマ時代の神様の名前 Janus から名付けました。ある友人は、私の付けるタイトルが文学的で素晴らしいと褒めてくれたので、気を良くしています」

 松原さんは「多くの方が展覧会に来てくださるよう、心から願っています」と付け加えた。
〈取材・編集部〉

■松原直子版画創作50周年記念展覧会
・期間:10月1日(木)〜31日(土)午前11時〜午後5時(日・月曜休み)
入場無料
・場所:Abbozzo Gallery
401 Richmond St. W. #128 (Spadina Ave. の東)
416-260-2220 /トールフリー:1-866-844-4481
www.abbozzogallery.com

(2015年10月8日号)



 
 


 
 
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