「林家三平・イン・バンクーバー」公演、大盛況
海老名一家の落語・ミュージック・バラエティーショー


 11月10日(火)、「林家三平 in Vancouver」と題して、落語、ミュージック、そして語りを含むバラエティーショーがバーナビーの日系プレースで開かれた。
 今回はいわゆる一般の公演会と一味違った趣であった。バンクーバーを拠点とするバンクーバー・メトロポリタン・オーケストラ(VMO)の指揮者ケン・シェ氏(Ken Hsieh)が4年前に九州交響楽団のコンサートツアーを行った時、司会を務めた二代目林家三平師匠と出会って以後、家族同様の付き合いが始まり、カナダの話を聞いた三平一家、つまり海老名(えびな)家の人々がいつかカナダを訪れたいと願い、今回の家族出演の公演が実現したものである。


▲海老名香葉子(えびな・かよこ)さん

 バラエティーショーは三平夫人で女優でもある国分佐智子さんの爽やかな司会でスタート。在バンクーバー日本国総領事・岡田誠司氏の開会の挨拶に続き、三平師匠の母・海老名香葉子(えびな・かよこ)さんの語りで幕開けとなった。

 エッセイスト・作家・児童文学者でもある海老名香葉子さん(82歳)は一門をささえながら仕事も続けている。第二次世界大戦の東京大空襲で戦災孤児となったこと、そして命の尊さを実感したことなど、みずからの生い立ち、海老名家の構成など語った。また、カナダでの初期の日系人の戦中戦後の苦労をねぎらい、亡くなった人々の冥福を祈り、「いつも笑顔でいるのよ」と言ってくれた母親の思い出ばなしを語った。

 続いてコンサートでは、地元バンクーバー交響楽団などで活躍している長井明氏とせり夫人のバイオリン・デュオで、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」、マスネの「タイスの瞑想曲」を披露した。


▲ピアノとカルテットの伴奏で熱唱する泰葉(やすは)さん


▲「ピアノダディー」弾き語りの泰葉さん

 そして三平師匠の姉であるシンガーソングライターの泰葉(やすは)さんの歌が、ストリング・カルテットとケン・シェのピアノ演奏をバックに披露された。軽快な「下町スウィング」をはじめ、香葉子さんが夢の中で自分の母親と出会った時のストーリーを曲にした「桜舞う日は」、デビュー曲「フライデー・チャイナタウン」、ピアノ弾き語りで「ピアノダディ」、そしてベートーベンの「歓喜(よろこび)の歌」が演奏された。
 かわいらしく愛嬌タップリの泰葉さんのリズミカルな歌声は観客を引き込み、会場も手拍子で盛り上っていた。それぞれに今回の選曲は海老名家にとって、思い出の深いものであった。


▲ミュージック部門のリハーサルで指揮を・・・。茶目っ気たっぷりの林家三平師匠

 公演当日の午後のリハーサルが初めての合わせとあって、歌とピアノとストリング・カルテットを泰葉さんのイメージに合わせるのにかなり苦労しているようであったが、さすが多くの場を踏んだプロ同士。本番では充実した演奏を聴かせてくれた。


▲落語「みそ豆」を演じる三平師匠 

休憩をはさんで林家三平師匠の落語。
 二代目林家三平師匠は、落語界の先輩、林家菊丸、立川談志、笑福亭鶴瓶などのエピソードをおもしろおかしく語り、聴衆を笑いの渦に引き込んでいった。また、バンクーバーのお客への特別な出し物として、彼が9歳のときに亡くなった父親(初代林家三平)の唯一の直伝古典落語「みそ豆」も披露された。この題目は日本でもめったに行わないとのことであった。


▲最後に家族そろって挨拶。(左から)林家三平師匠、海老名香葉子さん、泰葉さん、国分佐智子さん

 今回のバラエティー・ショー。それも家族そろっての出演というのは初めてということで、海老名家全員もこの公演開催への喜びも大きく、すっかりバンクーバーが気にいった三平師匠は、今度はぜひ英語落語を披露したいと意欲を語った。

 今回の公演は日系プレース基金主催。日系センター運営資金のための募金コンサートとして行われた。この日、用意した座席250席は満杯となり、大盛況のうちに幕を閉じた。

〈リポート・妹尾 翠〉

(2015年11月26日号)



 



 
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